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0935・エルシアとブレンダ その2




 Side:アレッサ



 わたし達の所に来て昼食を一緒に食べているこの二人。何というか怪しい。わざわざこっちに来て、わたし達に声を掛けてきているのよねえ。悪意は無い感じだし、敵意も無いんだけど………何か引っ掛かるわ。しっかり視てあげましょうか。



 「それで、さっきの帝国軍の話に戻るんだけど、300も居た連中によく4人だけで勝てたね? 普通は夜でも目が見えるって言っても無理じゃないかい?」


 「そんな事はないよ。私達はまず帝国軍の位置が分かっている。そもそも夜目が利くっていうか、暗視が可能なだけじゃない。気配や魔力だって感知できるから、敵の居場所なんて丸分かりなんだよ」


 「で、気配や魔力を感知して、それが味方じゃなきゃ遠慮なく撃てばいいだけなのよ。わたしとミクが狙撃銃でイリュとカルティクが小銃。それで敵をどんどんと撃って倒してたら、大きな声で「北東を撃て」って敵が言い出したのよ」


 「夕方頃に橋の向こう側で気配がしてたのは知ってたんだけど、夕方頃に見張った場所のまま私達が動いていないと思いこんでいたみたいね。だからこそ北西側には全くと言っていい程に弾が飛んでこなかったわ」


 「ああ、その流れなら確かに飛んでこないでしょうね。敵軍は夜目が利かず、北東に居ると勘違いしたままでは……。そういう意味でも有利な状況を作り出しています」


 「それからは敵を撃ち殺し続けていたんだけど、流石に敵も殺され過ぎたのか、後退して木に隠れる奴等が多かったんだけど、一人だけ前に出てきて暴れるヤツが出たの。で、私達はこれ幸いにと前に出てきた一人を無視して戦い続けた」


 「え? 何でだい? 出てきたんだから倒せばいいだろうに」


 「わたし達はその一人を無視して、橋の向こうに居る敵軍のみを狙い続けてた。そしたら敵は勘違いし、王国側まで近付けば撃たれない。そう誤解して、逆に王国側に押し寄せてきた。暗闇とあまりに殺されるからパニックになったって感じね。もちろんワザとだけど」


 「「………」」


 「一人狙われていないヤツが大きな声で、「こっちまで来たら敵は攻撃出来ない」なんて言うのよ? 私達からすれば、帝国軍を罠に嵌めてくれてありがとうって感じ」


 「で、敵のリーダー格。おそらく別働隊の指揮官だろうけど、そいつも王国側に渡ってきてから発砲。どんどんと攻撃を重ねてやったわ。更にミクが囮として前に出てくれたから、更に狙いやすかったし」


 「囮って……。仲間が囮の役をしたってのかい? それを許すのもどうかと思うけどねえ」


 「ミクが持っているタワーシールドを抜ける銃なんて無いわよ。流石に大砲だと分からないけど、夜間に大砲を使うなんてあり得ないからね。タワーシールドさえ構えていたら死ぬ事は無いわ。私達は射線上に居なかったし」


 「囮になったミクが敵の弾をタワーシールドで防いでいる間に更に攻撃。相手はどんどんと死んでいって、遂に逃げ出したってわけ。わたし達はそれを更に追撃していったのよ。そもそも夜目が利くわたし達から逃げられる訳ないでしょ」


 「あー……そういう事かい。そりゃ酷いと言うべきか、最初から最後まで掌の上で踊らされてたって言うべきか。どのみち帝国の別働隊は相手にならなかったんだね。とんでもない四人だよ」


 「それよりも貴女達は何故私達に近付いてきたのかしら? 銀ランクのハンターが、食事をタカりに来るって変よねえ?」


 「いや、美味しそうな匂いがしたから近寄っただけさ。それ以外には何も無「ダウト」いよ」



 あからさまに【真偽の瞳】が反応したわね。「それ以外に何も無い」って部分は完全に嘘だけど、それ以外は嘘じゃない。美味しそうな匂いというのは事実だって事ね。ま、そこはどうでもいいんだけど。



 「貴女。いや、エルシアは嘘を吐いてる。わたしは【真偽の瞳】という特殊なスキルを持ってるの。だから視るだけで嘘を吐いているかどうかが分かるんだよ。……それで、何故わたし達に近付いてきたの?」


 「…………面倒なスキルを持ってるねえ。いや、だからこそ王太子殿下の依頼から逃げ出したのか。そんなスキルを持ってるんじゃ、貴族関係が面倒臭い事ぐらい知ってるだろうし」


 「何が裏にあるのかと思ったら、この国の王太子だったの? 面倒ねえ……この国出ようかしら?」


 「それは待ってもらえると助かります。私達は調べろと依頼されていただけですよ。王太子殿下の依頼を袖にして王都を出た者が、辺境の地に入って帝国軍との戦いに参戦したと。スパイかどうかの調査ですね」


 「いやにハッキリと言うのね? まあ、アレッサが居る限り嘘は全てバレるけど」


 「それもありますけど、別に調査対象にバレても問題ないからです。というより、王太子殿下がどうこうは建前でしかありませんよ。本音は王太子殿下の依頼と分かって撥ね退ける者が、厄介な者か否かの調査ですから」


 「厄介な者?」


 「広域盗賊団や<栄光の大帝国>みたいな、バカな連中の関係者かどうかだよ。アンタ達を見ていて、そういう連中の関係者とはとても思えないからね。辺境伯殿が知りたかったのはそこであって、王太子殿下は二の次さ」


 「私はカルマイン子爵家の者、エルシアはラウムハーン子爵家の者であり、辺境伯殿とは懇意にしているのです。そこからの依頼ですね」


 「私達のような異物の根っこが分からないから調査しろって言われたわけね。まあ、辺境伯としては正しいんでしょうけど、私達に対しては失敗ねえ。むしろ正面から堂々と聞いた方がいいわ。そもそも私達にやましい事は何も無いのだし」


 「そうね。そもそもの始まりは王都のハンター協会の所為よ? あそこの受付嬢が、私達の実力を見て都合よく指名依頼を請けさせて来たのよ。それも沢山ね」


 「そうそう。それが面倒だと思っていて、王都での用事も終わったから出て行こうと思ったその日よ? 王族からの依頼がどうこうと言われたのは。こっちを都合よく使うのもいい加減にしろって思うのも当然でしょ」


 「わたし達は名を売りたいとか、そういう事は一切無いの。というより面倒だから目立ちたくないのよね。ある程度は仕方ないにしても、貴族関係が関わってくるとかいうのは心の底からお断り」


 「本当にね。貴族関係に引っかかったら、自分達の都合しか考えていない無茶振りばっかりよ? 誰がそんな面倒な事をするのかしらね。分かってる危険と面倒に飛び込むバカなんて居ないわよ」


 「………まあ、そういうところが無いとは言わない。でも、名が売れればそれだけ大きな依頼も請けられるし、収入も増えるけど?」


 「それと面倒臭さを天秤に掛けて、有名になるより面倒から逃げる事を選んだのよ、私達は。そもそも収入なんてダンジョンに行ってモンスターを狩ってれば済むでしょ。そこまで大金も必要ないし、お金を持ち過ぎても変なのに狙われるだけよ」


 「そうですね。あの愚か者どもは、お金を持っていると思えば私達でも襲ってくる。銀のハンター証が見えていないという、あり得ない事すらありましたし」


 「ああ、あったねえ。堂々と銀のハンター証を下げてるのに、アタシ達にボコボコにされるまで気付いてなかったのは流石に驚いたよ。欲に塗れると、見るべき物すら見なくなるんだ」


 「それは普通に自業自得ね。とはいえ、バカなんてそんなものだけど」



 本当にね。それにしても私のスキルを明かしたからか、本当の事しか言わなくなったわね? おそらく元々会話に嘘を混ぜるタイプじゃないんだろうけど。


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