0931・帝国別働隊との戦闘
Side:ミク
帝国軍がゆっくりと動き出した。奴等は真っ暗な中で少しずつ、なるべく音を立てないように動いている様だ。私には丸見えなので滑稽な姿でしかないのだが、配置についている感じだろうか。ちなみに3人とも敵が見えているので、真っ暗な中でも問題無い。
そんな中、小隊長の男が立ち上がって布のような物を振り始めた。ある程度の時間その布を振った後、夜番として起きていた小隊長の男は焚き火に残っていた木などを全て投入。そしてゆっくりと北東方向に歩いて移動を始める。そして……。
バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!……。一気に銃声が鳴り響き、焚き火の近くで寝ていた小隊の隊員達を次々に殺していく。焚き火という目印があるからか、小隊の者達は手当たり次第に撃たれてしまった。
銃声が途絶えた後、私達は配置について敵に対して反撃を行っていく。アレッサと私は狙撃銃。イリュとカルティクは小銃での反撃だ。私達の銃は1発ずつ装填しなければいけないので面倒だが、しかし相手もそこまで連射が出来るという訳では無い。
確実に始末していけば私達の勝ちとなる。だから始めるのだが、先に小隊長の男を確保しておかねばならない。そちらに関してはノノにしてもらっているが、どうやら上手くいったようだ。既に麻痺の香りを注入されて動けなくなっているのが分かる。
ノノには小隊長の男を安全な場所に連れて行くと共に、小隊の中でまだ生きている者も安全圏に連れて行く事を頼んでおく。透明化すればバレずに出来るので問題は無い。それでは私達も反撃を始めさせてもらおうかな。
ドン!ドン!バン!バン!。4発の銃声が鳴り、4人の敵が死ぬ。帝国兵が死んだ事により、まだ敵が存在する事を理解した相手は慌て始めた。
「敵はまだ生きているぞ! 焚き火の近くの者が動いていない以上、北東方向のハンターの女どもだ! 北東方向を撃て!!」
バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!……、見当違いの方向に打ち込まれる銃など気にする事もなく、私達は再装填して敵に撃ち込んでいく。そもそも私達の場所を理解したとしても、わたし達には当たらないので意味は無い。それに当たったとしても死なないので、全く意味が無いのだ。
とはいえそれは帝国側も知らない事だし、彼等がここで皆殺しにあったとしても責められないだろう。何故なら絶対に勝てない相手と戦っているようなものなのだ。だからこそという訳ではないが、なるべく苦しまずに死なせてやる為に私達は頭を撃ち抜いている。
敵側からも「バン!バン!」という音が響き、こちらに対して反撃を試みているのだが、全く持って当たらない。銃声を聞けば北東方向ではない事は分かる筈なのだが、人間種の耳が悪いのか、それとも混乱している所為なのか、見当違いの方向にばかり撃っているようだ。
私達はそれを気にする事なく着実に一人ずつ殺害していき、相手の数を少しずつ減らしていく。相手は的確に確実に殺してくるこちらに恐怖を感じたのか、後退して木々の後ろに隠れる者と前へと出てくる者に分かれた。
「出てこい、女ども!! オレ様がブチ殺してやる!!!」
小銃を片手に走ってきた男が、橋を越えてこちらにまでやって来た。私は【念話】を使って、意図的にその男を殺さないように言っておき、他の対岸の帝国兵だけを撃っていく。そうする事で敵は間違った学習をする筈だ。
ドン!バン!ドン!バン!という音と共に帝国兵が死ぬが、それは遠くに居る帝国兵であって、橋を超えてきた帝国兵ではない。そしてそれに気付いた帝国兵が大きな声を上げて味方に教える。
「お前ら! 橋を越えてここまで来るんだ! そうすれば敵はこっちを撃てねえ。何故かは知らねえが、一気にこっちまで来い!! 敵さんは懐にまで潜り込めば殺せねえみたいだぞ!!」
間違った情報を大声で叫び、それを聞いた帝国兵がゾロゾロと出てき始めた。私は再び【念話】で皆に話し、奥の敵から先に殺すように皆に説明。帝国兵をこちらに釣り出す為だと分かった皆は、奥の帝国兵から殺していく。
それらが分かったのだろう。帝国兵は我先にと橋に殺到し、それらを無視して私達は対岸の奥に居る帝国兵を狙っていく。ここに来ている帝国兵は別働隊とはいえ、数は少なくない。そして全てを殺すには、銃では時間が掛かり過ぎる、
だからこそ私は間違った情報を思い込ませ、それを叫ばせる事で相手をこちら側に引き寄せたのだ。私達は北西方向に居り、更にバラけている為に敵の弾に当たったりなどしないし、未だ敵は私達の場所すら認識していない。
そんな中、ついに気配において帝国兵の一番後ろの者達まで動き出した。おそらくはこの別働隊のリーダーなんだろうソイツは、周りを他の兵に囲まれながらも走りこんできた。私達は上手く外側の兵だけを撃ち殺し、そのリーダーに橋を渡らせることに成功する。
「くっ! 敵が何故この暗闇の中で的確にこちらを狙えるのか知らんが、こちらにまで来れば確かに撃たれる事は無いようだな。しかし、いったいどういう理由で踏み込まれたら撃てんのだ? まるで意味が分からん」
そんな事を言っている相手に対して私が姿を現す。当然タワーシールドで身を隠しながら私は出るのだが、敵は真っ暗な所為か私に気付いていない。なのでリボルバーを撃ち込み、敵を殺した事でようやく気付いたようだ。
「くそっ! こちらに来たとて撃たれているではないか! 皆の者、周りに気をつけろ! 敵が潜んでいるぞ!! ………あそこだ! 北西方向に何やら動く物がある! 撃て! 撃ち殺せ!!」
バン!バン!バン!バン!バン!バン!……と敵の銃声が響くものの、私の持つタワーシルドに全て弾かれている。そんな中、「キン!キン!」という音がするからか、相手のリーダーが突然魔法を使って光の玉を生み出した。
どうやら魔法が使えるらしいけど、使ったのは【生活魔法】の【灯り】かな?。
「そこだ! そこに! って、何だアレは? ………もしかして大きな盾なのか? とにかく撃て! 撃って潰してしまえ!!」
再び「バン!バン!」と敵が撃ち込んでくるが、全て跳ね返って貫ける銃弾は無く、それどころか盾の横から手を出してリボルバーを撃ち込んでいく。それを見た帝国兵は盾の後ろに人が居る事を認識したのか、更に必死になって撃ち込んできた。
しかしながらドラゴン素材のタワーシールドを貫ける筈も無く、更には他の3人の撃ち込みもあって数をどんどんと減らしていく。流石にリーダー格の男は気づいたのだろう、慌てて周りを見渡し始めた。
「その大きな盾は囮だ! 我々をここに釘付けにする為のな! その為にワザと橋を渡る奴は狙わなかったのだ! クソ! 今すぐ後退するぞ!! ここに居たら確実に全滅する!!」
その声を受けて慌てて逃げ出した帝国兵。一気に逃走を図るものの、私は冷静にリボルバーを撃ち込んでいき、敵を射殺し続ける。リボルバーの弾込めは敵から見えない盾の裏で触手を用いて行い、装填したら再び頭に撃ち込んでいく。
「ギ!」 「ガッ!」 「ゴッ!」 「グ!」 「ア!」 「ガ!」
「くそ! 次々に兵達が殺されているのに、逃げる事しか出来んとは! おのれ女ハンターどもめ!! 覚えて、ガッ!?!」
リーダー格の男を逃がす訳にはいかないので、リボルバーで足を撃って転倒させて逃げられないようにしておく。ちなみに私がタワーシールド越しに的確に撃ち込める理由は、頭の上から透明の触手を出し全方位を見ているからだ。
透明の触手なうえに私の触手なので、仮に銃弾が当たったとしても何の痛痒も受けないし、そもそも銃弾如きで私をどうにかするなど不可能。触手とて私の一部である以上は、人間種にどうこう出来るものじゃない。
なのでタワーシールドで体を覆っていても、私は的確に動けるし狙える。




