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0930・場所の変更




 Side:イリュディナ



 ダスガンド帝国との戦争というか小競り合いに参戦したにも係わらず、何故か私達は本隊と離れて北西の橋の前に来ている。もちろん頼まれたから来ているんだけど、一緒に来ている小隊の隊長の動きが怪しい。


 私達を敵視するわ、私達だけじゃなく小隊の兵士達にまで悪意を撒き散らしている。どう考えても何かしらを抱えている、ハッキリ言えば裏切り者じゃないの? と私達は考えて距離をおいた。それが離れた野営地の意味。


 それが気に入らないのか更にこちらに悪意を向けてきているけど、それが分からない私達ではないからこそ距離をとっている。この星で使われるのが銃だからこそ、距離をとっていないと危ない。



 「小隊は橋から30メートルの場所だし、ハッキリ言って危険すぎるでしょ。まだこの星の銃がそこまで遠距離に威力を発揮しないと言っても、橋の正面に野営地を置くってバカ過ぎるじゃない。兵士達は疑問に思わなかったのかしら?」


 「疑問に思っても上官の命令には従うのが兵士なんじゃないの? それで死んだってわたし達の責任じゃないしねえ。悪いのはあいつら何だから、どうなろうが知った事じゃないわよ。わたし達としては裏切り者を捕まえれば良いだけだし、簡単な事よ」


 「すっかり裏切り者で決まってるけど、それ以外には無さそうだし、他に何か考えられる?」


 「無いわね。そもそもあの男からすれば兵士達は味方よ? その味方に対して悪意を持つって裏切り以外に無いじゃない。他に何かあるなら教えてほしいわよ。仮に復讐だったとしても、それも裏切りだと言えるしね。それに復讐の場合、兵士全員に悪意を持ったりしないでしょうし」


 「ま、わたし達は事が動くまで見ていればいいわ。それ以外にする事も無いし、ゆっくり待ちましょうよ。敵さんが来たら戦えば良いだけだしね」



 アレッサの言う通り、今は待つしか出来ないわね。あの小隊長が動くタイミングこそが、おそらく帝国軍がやってきた時でしょう。いつまでここに留まる事になるか分からないけれど、持久戦になるのは面倒だから早めに来てくれると助かるわ。


 …

 ……

 ………


 夕方。既に明るい内に食事を終えた私達は、今は食事後のゆっくりした時間を過ごしている。こっちに何か言ってくるかと思っていたんだけど、あの小隊長に動きは無し。ミクが言うには段々と悪意が強くなってきたとの事。おそらくだけど、そろそろ動くんじゃないかと思ってる。


 私とカルは空間と闇影で敵が居ないか監視をしているけれど、今は見つかっていな……来たわね。向こう岸にも、ある程度の距離を離れた場所に林があるんだけど、その辺りに敵国の兵士が見えた。空間を監視している私の目は誤魔化せないわよ。


 カルも気づいたんでしょう。私の顔を見てきたので、私は無言で頷く。そしてミクを見ようとしたら、そのミクから【念話】が来た。



 『イリュとカルティクも分かったみたいだけど、敵軍が橋の向こうに現れた。もしかしたら夜間に襲ってくるのかもしれないけど、今のところは分からないね。もし夜間に襲ってくる気なら、夜になってから野営地を変えよう』


 『相手は夕暮れ時に確認した物を踏まえて行動してくるでしょうからね。となると、まったく別の場所に変えた方が良いわ。どのみち戦闘になるんだから、野営地の変更というよりは潜む場所の変更といった方が正しいわね』


 『そうだけど、どっちでもいいんじゃない? それよりも私達だけなら出来得る限り音を出さずに移動すれば済むけど、小隊長みたいなのが来たらどうする? 流石に言い訳できない気がするんだけど』


 『言い訳をいちいちする必要がある? 間違いなく言い訳なんてする必要は無いよ。そもそも夜間に女4人組の所に訪れる方がおかしいんだしね。仮に何も無くても、怪しかったから野営地を変えたといえば済むし』


 『それはそうね。態度悪かったし、怪しいと思ったと言えば済むでしょ。それに反論されたら、怪しんだら警戒するのが女ハンターだと言えば大丈夫よ。実際おかしな男が多いのも事実だし』


 『荒れた星だという事もあるんでしょうけど、ミクがどんどんと善人に変えていくぐらいには悪人が居るんだもの。十分すぎるほどすさんでいると言わざるを得ないわ。……そろそろ夜になってきたけど、どうする?』


 『そうねえ。私達もそ……って何やってんのよ、アレ。焚き火なんて始めたら狙ってくれと言ってるようなものでしょうが!』


 『昨夜はやってなかったし、間違いなくワザとでしょうね。いちいち面倒な事をしてくれると思うけど、裏切り者からすれば目印を付けておくのは当然か。あそこに撃ち込めばいいって分かるしね』


 『こっちの場所もおそらく確認されている筈。こっちを見ていた帝国兵も居たからね。もしかしたら【遠見】のスキルを持っている奴が居るのかもしれない。アレなら望遠鏡というか双眼鏡も要らないし』


 『確かに偵察っぽいヤツが木に登って確認してたわね。林だからそこまで木々は多くないけど、それでも兵士達は分かってなかったみたい。意図的にスキルを持っていない兵士を選んで連れて来たのかしら?』


 『可能性としてはありそうだね。さて、ここまで暗くなったら大丈夫だろう。そろそろ移動するよ』



 そうミクが言うと、突然私達は何かに覆われ、そして気づいた時には本体空間に移動していた。成る程、こうやっておいてミクだけで移動する気らしい。確かにそうすれば誰にも気付かれずに移動できるだろう。


 その後、すぐに本体空間から戻されたけど、現在位置が分からないので確認。どうやら橋から北東の場所に居たのが、北西側に移動していた。確かに北東側と覚えられていたなら、ここが一番安全な場所か。



 『橋から北東ではなく、橋から北西の場所に移動してるわね。既に暗いから敵には見つかってない筈だし、あの小隊長にも見つかっていない筈よ。ミクが動いたんだから当然ではあるんだけど』


 『問題はここからね。いつ帝国側が攻めて来るかは分からないけど、しっかりと見張ってないと危険だわ。おそらく夜番の兵士が眠りそうな、そんな時間に攻めて来るでしょ。攻める側が決められるのが強みよね』


 『そうだけど、そこまで待たない気もするわ。向こうからすれば早く突破したい筈よ。王国の本隊を横撃したいなら、早めに所定の位置についていないといけない。ここで手間取ったら間に合わない可能性もあるもの』


 『襲撃側が決められるけど、襲撃側も焦ってるって事ね。向こうには向こうの事情があるから当たり前だけど、あの小隊長はどう動くのか……。まあ、どうにでも出来るか。最悪は近付いての近接戦で殺せばいいし』



 まあ、そうね。アレッサの言う事も一理ある。この星の兵士って近接戦に弱いというか、慣れていない。ガイアの歴史でもそうだったけど、ある程度の時代が進まないと兵士は近接戦闘を正しく身につけないのよ。銃があるから。


 それが当たり前になってある程度経つと、近接戦闘も学ぶようになるんだけど、それまでは戦列並べての発砲と砲撃だもの。わざわざ近接戦をしたりはしないのよね。ガイアだって必要になるのは主に市街地戦だもの。


 不意の遭遇戦なんて滅多にある事じゃないし、基本的には相手よりも遠間から一方的に撃って勝利だからねえ。それが一番兵士の安全を担保できるから仕方ないんだけども。


 それでも、それを戦闘と呼ぶのは味気ない気がするわ。私達のような者からすればね。………さて、考え事はここまでみたい。敵が動きだしたわ。そろそろ小隊長の男も動き出すでしょう。


 私達も動く用意をしましょうか。


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