0918・改造銃の話と王都の善人化
Side:ミク
王都に帰って来てハンター協会で受付嬢に話し、個室に案内され今は依頼の品を出している。目利きの為に個室に来たハンター協会の青年は、何故かソードタイガーの骨を見て驚いていた。いや、受付嬢もか。
「ソードタイガーの骨に驚いているみたいだけど、いったい何故か聞いていい? もしかして獲ってくる物が違ってたら、また行かなくちゃいけないからさ」
「いえ、提出された物で問題無いです。どれもこれも綺麗な物ですし、文句の付けようもない程ですので。しかし骨というのは普通だと腕とか足とかの太い骨を指すんですよ。まさか1頭分まるごと持って帰って来られるとは思わず……」
「それなら腕の骨とか足の骨とか、部位を指定しておいてもらわないと困るよ。ただ骨って言われたら何処の骨を獲ってくればいいか分からないじゃない。骨だけ言われて分かる?」
「ああ、いえ。申し訳ありません。確かに骨だけだと分かりませんね。ですが、これだけあれば依頼人の方も文句は絶対に言われないでしょう。私は目利きとして問題無いと判断します」
「分かりました。では依頼はこれで完了という事ですね。では、受付の方へどうぞ」
若干納得いかないものの、いちいち面倒なので流して私は受付へと移動する。腕の骨なら腕の骨、足の骨なら足の骨と指定するのが当然でしょうに、とってつけたような適当な謝罪をしやがって。
受付で依頼達成のお金を貰ったら、さっさとハンター協会を出た。そもそも昼食時だし、気分転換の為に食堂に行かないとね。さっさと忘れて食べる事でストレスを発散しよう。
食堂での昼食を終えた私達は、武具屋に歩いて移動中だ。盗賊どもの持っていた銃などを売り払っておく為なのだが、私も狙撃銃を買っておこうと思ったのもある。その為に武具屋に歩いているのだが、皆は暇潰しに行くらしい。
「私は大型のリボルバーを買っても良いと思ってるのよね。そこまで高くないでしょうし、それぐらいはね」
「私達は小銃と大型のリボルバーで十分だし、他に買う物はないのよね。あるとすれば小銃の弾を補充しておく事ぐらいかしら。他に欲しい物も無いしね」
「私も同じ、小銃の弾ぐらいしか買う物が無いかな? だってリボルバーの弾は増えていく一方だし、お金を出す必要も無いんだもの。盗賊も沢山持ってるしね」
「そうねえ。そういう意味ではリボルバーが一番気楽に使えるって感じ? 盗賊を襲えばお手軽に弾丸が補給できるしさ」
武具屋に来たので中に入り、私は店員に声を掛けて買い取りを頼む。安値で買い叩かれるだろうが、それは構わない。持っているにも邪魔だし、若いハンターが安値で手に入れられるなら悪い事じゃないからね。
前とは別の店に来ているんだけど、商品が少し違うね。デリンジャーとかも置いてるけど、それ以上に目を引く物がある。それは銃剣だ。ここでは小銃につける銃剣が売っていた。もちろん私達には必要ないんだけどね。突き刺した際に歪むかもしれないから。
皆は色々と見回っているみたいだけど、アレッサはお目当ての大型リボルバーを見つけたらしい。他にも無いかと探しているようだけど、大型のリボルバーを作っているのは1社だけだと聞いてガッカリしている。
「という事は大型のリボルバーは同じ物しか買えないって事ね?」
「そうですが、その後は分かりません。知識や道具を持っている方は改造されたりしますし、そういった場合は元々の物とは別物になっていたりしますので……」
「素人が改造して上手くいくの? なんだか暴発しそうな予感しかしないんだけどねえ」
「暴発して手に重傷を負ったというのは割と聞く話です。そして大抵の場合、それは自分で改造して失敗した銃ですね。私達も一応買い取りなどはしていますが、純正品でない限りは捨て値でしか買えません」
「ふーん。それは当然だと思うけど、わざわざ技師が色々と調べて良い物を作ってるのに、素人が浅知恵で改造したら悪化するに決まってるじゃない。頭の悪い連中ってそんな事も分からないのかしら?」
「少しでも他人より良い物を持ちたいというのは分かるんですけど、知識の無い者が改造して上手くいくかなんて事、考えれば分かると思うんですけどね。私達のような売り手としても、一応は買ってくれるお客さんですので……」
「まあ、売りつけるわよねえ。しかも失敗してもう1丁買ってくれるかもしれないんだし?」
「そう、ですね……」
アレッサの相手をしている店員は、目を逸らしながらも認めた。まあ、そうだよね。改造に失敗したら新しいのを買わなきゃいけない訳で、結果的に儲かるんだから改造するなとまでは言えないよねえ。
私は売った代金である213ダルを受け取り、アレッサが買ったのと同じ、安定性の高い狙撃銃と弾を100発購入した。880ダルしたけど大した金額じゃないね。ついでにショットガンも見たけど、やっぱりポンプアクション式の物は無い。
未だに1発ずつしか込められないショットガンしか見当たらないね。ポンプアクション式は開発されていないみたいだ。まあ、あの方式はショットガンにこそ合っている方式だからね。あんまり売れてないみたいだし、だからこそ作られていないんだろう。
ショットガンは威力が高いけど、その反面扱いにくいという欠点もある。獲物を傷だらけにし過ぎるからね、そういう意味ではハンターからも嫌われているし盗賊もあまり使わない。射程も短いから仕方がないんだけど。
それにリボルバーの弾より値段も高いし、コスト的に見ても購入意欲の湧かない銃だ。それでも持っている奴が居るのは、威力が高いのと命中率はそれなりに高いからでもある。まあ、弾をバラ撒くんだから当たり前だね。
結局アレッサが大型のリボルバーを買って、今まで使っていたのを売り、イリュとカルティクは小銃の弾を100発購入していた。それで買い物が終わった為、私達は宿へと戻る。
装備も十分に整ったし、これで当分の間は大丈夫だと思う。銃はコストが掛かるけど、この星で怪しまれない為には仕方がない。それでも戦いはやっていけるだけの武器は揃ったから、これからは移動しての善人化を優先していこうかな。
そんな事を思いながら、宿へと着いた私達は部屋に戻って休む。とりあえず少しゆっくりしよう。
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Side:ファーダ
俺達は夜の善人化を行っている。王都はまだ終わっていなかったので、ようやくと言ったところだろう。今日は色々とあったので濃密な日だったが、かといって善人化をやらない何ていう事は無い。むしろこれこそが俺達の本来やるべき事だからな。
残っている場所は多くないし、今は平民街が終わって貴族街だ。この辺りは今までの星とあまり大差は無い。ガイアは少々毛色が違うが、あそこは貴族が形骸化している星だからな。今のところは例外だろう。
貴族街には悪人も多く、正直にいって比率的にはスラムより少しマシなくらいに酷い。やはり荒れている星の貴族ともなればこんなものか。そう思いながら貴族を善人と化したら、俺達は騎兵団の宿舎へと移動する。
こちらにも悪人は居るが、そこまでは多くないらしい。規律はきちんと保たれているようだ。それはともかくさっさと終わらせよう。
…
……
………
よし。後は王城だけで終わりだ。王城の中に居る者は少なく、そこまでの数は居ない。それでもメイドだ何だと数は多いものの、今までの場所に比べたら何千人と居る訳じゃない。少なくとも数百人だ。
文官などは通いであって住み着いている訳じゃないし、メイドとか執事とかでさえ王城の中で寝泊りはしない。当番の者が王城の中に留まるだけで、毎日必ず居るのは近衛騎士だけだ。これは市井でも知られている事だったので俺も知っている。
なのでそこまで苦労する事もなく善人化は終わり、これで王都の悪人の善人化は終了だ。明日からは第1北町か? ミクはバイクが出来るまで王都に留まるつもりのようだから、時間は十分あるし明日片付けるか。




