0909・1対8の結果
Side:ミク
ガラの悪いチンピラどもがゾロゾロと外へと出るので、私もハンター協会の外へと出る。その後、私とチンピラどもは20メートル以上離れて対峙。それを協会内に居た他の者達も見物しにやって来た。
周囲の者達は決闘が始まると分かったのか、流れ弾を警戒して遠巻きにして立っている。中には逃げ出すように走って行った者も居た。流石に周囲の野次馬に当てるのは下手すぎるけど、あのチンピラどもなら当てそうだ。
私は腰のホルスターに下げているリボルバーを確認しつつ、問題は無かったのでホルスターに戻す。何をどうしたところで私が勝つ未来しかないんだけど、奴等は人数が多いので気が大きくなっているらしい。
「オレ様達が勝ったら、てめぇとその仲間はオレ様達が都合よく使える女にしてやる。万が一にもお前が勝ったら好きにしろ」
「そう? なら私が勝ったら、お前達の持ち物を根こそぎ奪ったうえで素っ裸で外に放置してやろう。で、勝敗条件は? もし相手の死亡であれば全員殺すけど?」
「ケッ! 出来もしねえ事をペラペラとホザきやがって! まあいい。勝敗条件は簡単だ。相手の体に弾が1発でも当たった時点で終わりだ。仮に頭に当たっちまったら、そりゃ運が悪かったって事にしてもらおうか」
「ああ、構わないよ。私は頭を狙わないけどね。お前達は負け犬として生かした方が面白い。無様に恥を晒し続けろ」
「この、クソアマ……! おい、てめぇら! 手加減すんじゃねえぞ!! あの、アマ! ブチ殺してやる!!」
「「「「「「「おう!!」」」」」」」
最初に絡んできたヤツと、そのお仲間で計8人。このリボルバーの弾は8発。ちょうど1人1発ずつで勝てる。リボルバーの弾ならそれなりに余ってるから使っても問題ないんだけど、他の銃の弾は多くないからね。無駄なお金は使いたくない。
一応は侯爵家から報酬も貰ったし盗賊団を潰してお金を回収してるけど、そこまで大量にある訳でもない。だから節約というか、あまり無駄なお金を使いたくないんだよね。王都近くに盗賊団って居ないもんかな?。
そんな事を考えていると、ハンター協会から出てきた1人が私達の睨み合っている真ん中に現れた。どうやら審判役みたい。
「さて、いいかお前達。この1モル硬貨が地面に落ちた瞬間からスタートだ。それと周りの野次馬を撃つんじゃねえぞ。そうしたら憲兵隊に突き出すからな。王都の憲兵隊は容赦が無いので有名だから気をつけろよ」
「んな事は知ってるっての。さっさと始めろや」
「そうそう。オレ達がそんな下手クソな訳ねえだろうが。そっちのにだけ言え」
「さっさと始めろ。私は阿呆に拘りたいほど暇じゃないんでね、さっさとその硬貨を落とせ」
「……まあ、いい。それならお望み通りやってやろう。そら、行くぞ!」
真ん中に居る男が指で硬貨を弾き上げる。その硬貨が上に上がって落ちる前に相手は撃って来た。が、そもそも私には当たらない。相手が撃ってきたのも見えているし、そのコースすら把握している。そして私の素のパワーなら楽々回避が可能だ。
硬貨が落ちる前に撃ってきたのは私に喧嘩を売ってきたヤツだったが、私は素早く半身になると弾の軌道上から逸れて銃弾を回避。硬貨が落ちた瞬間リボルバーをホルスターから抜き右手の親指で撃鉄を起こす。
そして右手の人差し指で引き鉄を引き片手で発砲。先に撃ってきた阿呆の右手を潰した。すぐに相手の7人が発砲してきたが、私が居る場所しか狙ってこないので回避するのは簡単だ。私は素早く右に跳んで弾を全て回避する。
跳んで手を地面に付き回転、しゃがんだ状態で撃鉄を起こして発砲。次の1人の右手を潰した。更に立ち上がりつつ撃鉄を起こし、もう1人の右手も潰す。私に向かって5人が撃ち込んでくるが、私は最小限の移動でかわして発砲。4人目の右手を潰す。
これで残りは半数。流石にマズいと思ったのか、引き鉄を引いて左手を上下に動かす連射をしてきたが、適当に撃って当たる訳が無く全て回避した。正しくは動かなかっただけだが、それで全弾回避は終了。如何に命中率が低いかよく分かるね。
「くそっ! 弾が切れた!! 早く弾をギャァ!!?!」
「また1人やられたってのか! クソ!! 何で1人の女如きに梃子摺ってんだよ!!」
「知るか!! んな事より早く弾を込めろ! でないと、ギャア!?!!」
「クソが!! 相手はたった1人だぞ!! 何でオレ達が負けるんだ!!」
残りは2人だけど、弾込めをしている相手なんて敵じゃないね。じっくりと狙って右手に撃ち込む。それを2度行って私の勝利となった。相手の8人全員は右手を抑えて呻いている。そんな奴等を尻目に私は皆に指示を出す。
「皆。宣言していた通り、このゴミどもの持ち物を全て引っぺがす。パンツすら要らないらしいから、全て毟るよ!」
「「「了解」」」 「ニャー」
アレッサ、イリュ、カルティクは半笑いの表情をしつつも理解し、右手を押さえて呻いている奴等から身包みを剥がし始めた。当たり前だけど私達が容赦する必要など一切無い。更に言えば周りの連中も何も言わないしね。
私はリボルバーに8発の弾を再装填した後ホルスターに戻し、それが終わってから剥ぎ取りに参加する。私が再装填しているのを見ていたのだろう、誰も喧嘩を売ってくる事は無かった。
8人の中で喧嘩を売ってきたヤツだけは逃げ出そうとしたけど、私がボコって逃げるのを許さない。自分で喧嘩を売ってきておきながら逃げ出そうとした事で、他の7人からも怒りと恨みを向けられたみたいだ。ま、自業自得だね。
パンツすらも剥ぎ取って真っ裸にした挙句、金銭と銃と弾など以外を目の前で燃やす。私が魔法を使った事に周りの連中は驚き、負けて真っ裸にされた奴等は逃げて行った。やはり魔法が使えるヤツは怖がられるみたいだ。
それは王都でも変わらない事を確認しつつ、私達はハンター協会へと戻る。野次馬の連中も私を遠巻きにするだけで、誰も彼もが口を開かなくなったが気にしない。これで不用意に喧嘩を売ってくる阿呆も居なくなるだろう。
それにしても、王都なら魔法を使えるヤツも多いだろうに、何で魔法を見ただけで逃げ出すんだろうね? 解体所に魔法が使える吸血鬼やダンピールが居ると聞いたんだけど……。だからなのかな?。
「血を奪われるとか、夜に襲われると思ったって事? まあ闇討ちの可能性は否定しないけどね。吸血鬼もダンピールも夜の方が強いし」
「どのみち喧嘩を討った相手が悪過ぎるって事でしょ。吸血鬼やダンピールなんて目じゃないくらいに悪過ぎるんだけどね。知らないって幸せな事よ」
「本当にね。どれだけの相手に喧嘩を売ったのか理解は出来てないでしょうよ。100回やろうと1000回やろうと結果は変わらないって、きっと理解出来ないわ。出来るような頭をしていないみたいだったし」
「どう見てもチンピラだったもんね。あまりに程度の低いザコ過ぎて、笑うしかないぐらいの下っ端感は出てたけど」
「まあねえ。喧嘩の売り方からして、やられ役の売り方だったもの。あいつら自覚は無かったんでしょうけど、最初からやられる前提よね。これから負けますよってアピールする喧嘩の売り方だったし」
周りから「クスクス」と笑い声が聞こえてくるけど、この惑星には「お約束」という概念が無いんだろうね。世紀末の救世主に喧嘩を売る「ヒャッハー」ばりの絡み方だったもんねえ。
本人達に自覚は皆無だろうけど。




