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0908・武具屋とハンター協会




 Side:アレッサ



 わたしはリボルバーと狙撃銃だけで良かったから、これでわたしの買い物は終わり。それにしても高かったわねー、思っていた以上だったわ。まさか銃だけで380ダルもするなんて……。


 一撃の威力は高いし遠くを狙えるとはいえ、スコープなんて無いから余ほど上手くないと遠くなんて狙えないわよ。わたしは感覚で多分できるでしょうけど、普通の人間種には無理じゃない?。


 だからこそ安定性の高い方を選んだんだけど、それでも1キロとかは無理だと思うわ。風とか色々な物で命中するかどうかも変わるし、遠くを狙撃する事なんてそもそも無いでしょうしね。


 わたしがそういう仕事を請ける理由も無いし、そもそもハンター協会でもそんな仕事は無いでしょ。要人暗殺ぐらいじゃない? 遠くから狙撃するなんてさ。流石にそんな依頼は無いだろうし、表でそんな依頼をするなんて頭がおかしいしね。


 皆は次に小銃を見ているけど、何か気に入ったのがあったのかしら?。



 「この小銃が私の持っているヤツだけど、イマイチ良い物じゃなかったのよね。さっさと売っ払って、こっちを買おうかしら。こっちの方が持った感じ、しっくり来るのよ」


 「そちらはマイナーモデルチェンジの物で、元々の安定性を残したまま軽量化を実現した物ですね。重ければ持ち運びに不便ですので、最近のトレンドは軽量化です。今ままでと変わらぬ弾がそのまま使えますし、すぐに手に馴染むと思います」


 「私はこっちかな? 重厚な感じがむしろ気に入ったから、こっちで決めるわ。あんまり軽いと撃った反動の制御に力を使いそうだし、重い方が安定しそうでしょ。それに今まで安定していたものの方が信用できるし」


 「イリュの方が260ダルで、カルティクの方が230ダルか。そこまでメチャクチャ高いって程でも無いね。となるとやっぱり田舎に運ぶのは荷物になるからってだけか。まあ、拳銃の方が数を運べると言われたら事実だもんねえ」


 「それはね。それでミクは何も買わないの? 買ってるのは私達だけみたいだけど……」


 「色々と見て回ったけど、今のところは買う物が無いかな? 持ってる物が多いという事もあるけど、私は小銃とか狙撃銃とか要らないからねー。いや、狙撃銃は買っても良いんだけど、別に無理して買う必要も無いしさ」


 「まあ、それもそうね。なら私達はお金を払ってくるから」


 「了解」



 ミクが何も買わないのは、おそらくグロッグというヤツが持ってたリボルバーを手にいれたからね。アイツの持っていたリボルバーって特別仕様だったのか、銃身は長くて弾が8発も入る仕様のヤツだったのよ。


 それも武具屋で売っている物よりも更に銃身が長かった。妙なリボルバーだとは思うけど、もしかして<ヴェノム>には銃を作る側の人間も所属してる可能性があるのよね。もしくは何処かの企業と裏で繋がってるか。


 どちらにしても妙な伝手を持ってそうな連中だし、そうでないと身代金目的の誘拐なんてしないでしょ。しかもそれを続けても壊滅しないっていうんだから、権力側と繋がってるか、それとも延々と湧いてくるかのどちらかね。


 とはいえグロッグってヤツの口ぶりだと、おそらく湧いてきてるんでしょう。<ヴェノム>という組織の上の方だけ儲かるシステムになってるって感じで、当然の如く下っ端は使い捨て。あの男は方面幹部になったと言ってたけど、それも本当だったのかどうか……。


 <ファイアスター>の会長であるノルトスとアレンを誘拐して金を取らせる為に、適当に幹部にしてやるとか言われたんじゃないかしら? 何となくそんな気がするのよねー、闇ギルドと同じだと考えるとさ。


 買い物が終わったので武具屋を後にして、わたし達は別の武具屋に入る。もちろん何か珍しい物とかを見に来たんだけど、先程の店と商品が変わり映えしないってどうなってんのかしら? これで店をやっていけるわけ?。


 そんな目で見てたからか店主が怒鳴り込んできたので、わたし達はさっさと店を出る事にした。そもそも変わり映えのしない銃しか無いなら、愛想の良い店員の店に行くのは当然よ。何なのかしら、アレ。



 「後で出来た店が云々とか言ってたから、さっきの店の方が後からやってきた新参って事なんだろうね。客にとったらどうでもいい事でしかないけど、あの店主の拘りか何かじゃないの?」


 「拘りって……単に変わり映えしないって感じで見てたから、頭にきたんでしょ。とはいえ各社が出している銃しか並ばないんだから、何処のガンショップも似たり寄ったりになるのは当たり前なのにねえ」


 「独自色を出したいなら、自分なりにアレンジした拳銃でも売れば良いのにね。おそらくそういう技術は無いんでしょう。あるようにも見えなかったし」


 「そう言えば宿に戻って腰にホルスターを着けておく? 周りにも腰にホルスター着けて、リボルバーをブラ下げてるヤツ結構居るしさ」


 「そうね。見せる為の武器は持っておいた方が良いわ。適当に路地に入って、そこで身につけましょうよ。それならすぐだし」



 そういう事で、わたし達は人目が無さそうな路地に入り、<ヴェノム>の連中から奪った腰のホルスターを身に着けていく。後はリボルバーに弾を込めてブラ下げておくだけだ。撃鉄は起こしていないので問題なし。


 様になっているかどうかは分からないけど、これで多少は舐めた視線も減るでしょう。銃は女子供でも敵を殺せる武器だからね。実際に女のハンターも多いし、道でもすれ違うもの。わたし達がそれっぽい装備をしていても大丈夫でしょ。ハンター証も下げてるし。


 改めて適当に町を巡っていると、ハンター協会を見つけたので中に入る。王都のハンター協会にはどんな依頼があるのか見てみる為に入ったんだけど、こんな時間にたむろしている奴等が沢山いるわねえ。暇なのかしら?。


 わたし達は依頼が貼り出してあるボードに近付いたんだけど、早速絡んできたマヌケが居るわ。どこも変わらないわねえ、本当。



 「よう。まだ銅ランクの新人みてえだな? 何ならオレ様がケツとり股とり教えてやろうかぁ?」


 「ウハハハハハ! 早速やってやがる!! 新人の女にしてやんじゃねえよ。泣いて逃げ帰っちまうだろうが」


 「お前達は私に決闘でも挑んでいるのか? 何なら今すぐ殺してやってもいいぞ? お前達全員をな」



 ミクがそう言った瞬間男達は殺気立ったけど、随分と煽り耐性の低い奴等ねえ。お猿さんじゃないの。



 「てめぇ、覚悟が出来てるんだろうな? オレ達全員に喧嘩を売るとは、死ぬしかないって分かってんのか?」


 「分かっているぞ? 死ぬのはお前達全員だという事がな。ああ、心配するな。お前達の銃や金は全て剥ぎとって有効活用してやる。感謝するといい」


 「上等だ! てめぇ、表出ろ!! 今すぐブッ殺してやる!!!」



 あーあー、バカ過ぎるでしょ。ミクに勝てると思ってる時点で論外に過ぎるわね。まあ、意図的にミクは自分の強さがバレないようにしてるんだけど、それにしても堂々と真正面から喧嘩を売る事におかしさを感じないのかしら。


 どう考えても変でしょ、真っ向から複数人に喧嘩を売るなんてさ。そういう小さな事に気付かないお猿さんから死んで行くのよ。とはいえミクには他に理由があるんだけどね。


 その理由は簡単で、派手な殺し合いをして勝っておくと、善人化されない普通のヤツも喧嘩を売ってこなくなるだろう。そういう予想があっての事なのよねえ。つまり、協会の建物にたむろしてるヤツが沢山居た時点で、コレは予定調和なのよ。


 わたし達にとっては、だけどね。……男達? わたし達の安全のいしずえになれるんだから泣いて感謝するんじゃない? 知らないけど。


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