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0904・まさかの出来事




 Side:ノルトス・ガーフリー



 家に戻ったワシは、早速とばかりに問い詰める事にした。流石に息子夫婦にも孫にも面と向かって聞かせる訳にはいかんので、ワシは妻と向かい合って話している。最初は当たり障りのない話をしていたが、内容が変わっていくと妻はワシを睨んできた。



 「そこまで睨むという事は、やはりグロッグの言っていた事は事実か。何故ワシの妻を無理矢理に追い出した。何故あんな嘘の置手紙をワシに渡した?」


 「………ふん! 全てはお金の為に決まってるじゃない。あの回転弾倉の技術は革新的だった。必ず売れると分かっている物を前にして黙って見ていろとでも? そんな頭の緩さをしているから簡単に騙されるのよ」


 「なんじゃと!?」


 「まだ分からないの? 貴方だって置手紙を疑わなかった。ならそう思っていたという事でしょう? うだつが上がらず、大した稼ぎも無い。そんな自分は出て行かれても仕方がないと思っていた。だから探そうともしなかったじゃない? 何か間違ってる?」


 「ぐっ……」


 「貴方は所詮そうやって利用される者でしかないのよ。それでも子供は産んでやったのだから感謝しなさいよね」


 「アレがワシの子供とは限っておらんがな。お前がアレを妊娠した時期は、ちょうど忙しくワシとお前の間に性交渉は無かった。昔からおかしいとは思っていたが、息子の前では何も言えんかった。だが疑いを無くした訳ではない」


 「それがアンタの限界なのよ。疑っていても口に出さない程度、結局は受け入れてるじゃないの。だったら何十年も経った後で喚くな!」


 「お前は正気か? 息子と血が繋がっていないという事を公にすれば、<ファイアスター>の社長は変えられるのだがな? お前のその言い分はワシの子供では無いとハッキリ告げているようなものだぞ」


 「あーあー、それで? だからなに? アンタの子供じゃないけど、それがどうしたってのよ。それがそんなに大事な事なのかしらね。アンタと違って息子は上手くやってんじゃない、うだつの上がらないアンタと違ってね!」


 「お前は本当の悪女だな。ここまでとは思わんかったわ」


 「はあ? ならどうするのかしら? ここで私を殺しでもする?」


 「本当に碌でもないヤツじゃ。事ここまで来て開き直るとは……。入ってよいぞ」



 ワシがそう言うと、息子夫婦が入ってきた。しかし、息子も息子の妻も呆然とした顔をしておる。ワシに前の妻が居ったのは息子も知っておるが、まさかワシの息子でさえないとは思わなかったのであろうな。



 「ちょっと待て、何故アレンが居るんじゃ。アレンに聞かせる事では無いぞ」


 「えっ!? あっ、アレン! 何故ここに居るんだい!?」


 「ボクも聞きたかったから……。お爺ちゃんが正しいのか、お婆ちゃんが正しいのか」


 「アレン……」


 「アンタ、なんて卑怯な事をしてくれてんのよ! ふざけるんじゃないわよ!!」


 「それはこっちのセリフであろうが! お前こそ、ふざけるな!! ワシの妻と息子の人生を踏みにじった悪女めが!!」


 「何ですって!? お前のようなうだつの上がらない男が、一度の成功で調子に乗るな!!!」



 目の前の妻が檄昂し、いきなり「パン!」という音が鳴った。妻の手にはデリンジャーがあり、ワシの胸からは血がどんどんと出てくる。最後までこの女は悪女のままか。


 こんな女に騙されていたとは、グロッグ、エヴィリア、すまん……。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:アレン・ガーフリー



 お爺ちゃんが倒れた。「パン!」って音が鳴った後、胸が真っ赤になってる。お婆ちゃんが銃を持ってるから、おそらくお爺ちゃんは撃たれたんだ。何故お爺ちゃんを撃ったの? 何で?。



 「と、父さん! 父さん!!」


 「グロ、ッグ……エヴィリ、ア……すまん………ワシは……」


 「父さん! 父さん!!!」


 「………」


 「な、何で父さんを撃ったんだ! いったい何を考えてるんだ、母さんは!! 父さんを騙して騙して……! 自分さえ良ければいいのか!!」


 「……ハッ! 当然だろう。当たり前の事じゃないか。私は私が贅沢な暮らしをする為に、この男を利用する事に決めたんだよ。それの何が悪いって言うんだい! ……何が悪いって言うんだい!!」


 「母さん……」


 「何が悪いって言うんだ! そんな顔で私を見るんじゃない!! 世の中はね、金が全てなんだよ! 金さえあれば良いんだ! 他に必要な物なんて無い!!」


 「アンタは最低の人間だ! オレが父さんの子供じゃないなんて思わなかった! オレは父さんの子供でありたかった、アンタの子供になんてなりたくもなかったよ!!」


 「何だって!?」


 「アンタは父さんの言った通り、最低の悪女だ!! アンタなんて地獄に落ちろ!!!」


 「それが血の繋がった母親に言うセリフか!! 誰が産んでやったと思ってるんだ!!!」



 お爺ちゃん。お父さんが、お婆ちゃんに地獄に落ちろって。ボクもそう思う。あの人みたいに炎の中に投げ入れる事は出来ないけど、僕もお婆ちゃんは地獄に落とさなきゃいけないって思うんだ。


 悪い人が許されちゃいけない。お爺ちゃん以上に苦しんで死ななきゃいけないんだ。



 「この! お前は私に従ってればいいんだよ!!」


 「ふざけるな、この悪女め!! 憲兵隊に突き出して、必ずや罪を暴いてやる! 覚悟しろ!!!」


 「お婆ちゃん」


 「何て事を言うんだ! お前は母親に親孝行も出来ないのかい!!」


 「アンタは罪が暴かれたくないだけだろ!! 勝手に話をすり替えるな!!」


 「お婆ちゃん!!!」


 「なんだい! いちいちしつ「パン!」こい……んだよ?」



 お婆ちゃんは撃たれて呆然としてるけど、ボクは次の弾を入れる。実はお爺ちゃんが身を守る為にこれからは持った方が良いって渡してくれたんだ。初めて撃つのがお婆ちゃんになるとは思わなかったけど。


 お腹を撃たれたお婆ちゃんは床にお尻をついて座ってる。ボクはそれを見て、次は足にするべきだと思った。



 「な、なにが「パン!」あ……ギャアッ!! なんで私が撃たれてるんだ! なんで!?」


 「アレン、いったい何をしているんだ!? お前は何をしているのか分かっているのか!?」


 「知ってるよ。お爺ちゃんと会った人が教えてくれたんだ。何で真面目に生きている人が苦しんで、何で悪い人が苦しみも無く死ぬんだって。悪い事をした人ほど苦しんで死ななくちゃいけないんだって、その人は言ってたんだ。ボクもそう思う。「パン!」」


 「ギャアッ!!!」


 「お婆ちゃんは長い間、悪い事を続けてたんだ。しかもお爺ちゃんを殺した。なら地獄に落ちなきゃ駄目でしょ? 悪い事をした犯罪者は地獄に落ちなきゃ駄目なんだよ「パン!」」


 「ガァァァァッ!?!!?」


 「アレン! 止めなさい、アレン!!」


 「大丈夫、これが最後だから。お婆ちゃん、………地獄に落ちろ」


 「ま、待っておくれ! 私「パン!」が……」



 頭に撃った弾でお婆ちゃんは死んだみたいだ。これで地獄に落ちたかなぁ? ちゃんと地獄に落ちてたら良いんだけど、ボクには分からないからどうしようもないや。だか……。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ファーダ



 やれやれ、まさかこんな事になっているとはな。完全に予想外だぞ。流石に小さな子に犯罪を犯させる為に犯罪者への裁きを見せた訳じゃない筈だが、どうにも変な風に解釈したみたいだな。この少年の精神の幼さにも原因がありそうだが。


 それはともかく、どう決着をつけたものやら……。


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