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0901・東ガウトレア第2西町




 Side:ミク



 東ガウトレア第1西町に戻ってきた私達は、昨日1日ゆっくりと休む事が出来た。私はともかくファーダとノノが再び掃除をして綺麗にしたし、くだんの御者を見つけて尋問した結果、金で買われただけだった事が判明。


 それでも悪人になっていたので善人化を行い、絶対に悪さが出来ないようにしておいた。他にも村などを善人化していき、それなりの範囲を善人化できているんじゃないかと思っている。


 朝起きて既に準備は完了しており、後は部屋を出て行くだけだ。進む方向が一緒なのでノルトスとアレンと合流し、朝の食堂に行って朝食を食べる。町に居るからかアレンが随分と笑顔だけど、やはり捕まっていた時は相当の緊張を強いられていたんだろうね。


 私達も朝食を注文し、運ばれてきた朝食を食べ終わったら店を出た。昨日の昼食も夕食もそうだったけど、微妙に物足りない顔をしているのを見ると笑いそうになる。おそらく出汁やドラゴン肉が強烈だったんだろうね。


 そんな子供達やノルトスを連れて、私達は再び乗合馬車へとお金を払って乗る。今度は違う御者なので安心したらしいけど、アイツも善人になってるから悪さは出来ないんだけどね。むしろ普通のヤツより安全ではある。


 とはいえそれを説明も出来ないので出発まで待ち、他に乗り込む人も無く乗合馬車は出発した。その後は特に何も無く、暇な時間が続いていき、夕方前には東ガウトレア第2西町へと到着した。


 やはり乗合馬車では相当の時間が掛かるね。何とか楽に早く進む方法は無いものかな? そんな事を思いつつ町へと入り、宿をとる。無事に私達もノルトスとアレンの部屋もとれたので、後は適当に過ごすだけだ。この町も特に見るものは無いしね。


 食堂に行って夕食をとり、その帰り道。またもや後ろをつけてくる者達と、悪意がこちらに飛んで来ていた。本当に変わらないマヌケどもだと思いつつ、私達は宿の部屋へと戻った。



 「先ほどの帰り道、何やら怪しい者達が後ろをつけていませんでしたか?」


 「あらら、カレンにすら気付かれるとは下手な連中ねえ。とはいえ気にしなくてもいいわよ。今までにも居たし、その都度叩き潰してもいるからね。貴女達が気付いても気付かなくても、わたし達が気付いて対処するから問題無いわ」


 「そう、ですか……。ありがとうございます」


 「こっちも鬱陶しい奴等に狙われ続けるのも面倒だもの、だからさっさと処理するのよ。まあ、貴女達が寝ている間にしておくから、ゆっくり寝てなさいな。動かれたり叫ばれたりする方が面倒だからね。敵の動きが変わるし」


 「そうそう。私達が暗闇の中で暗殺して回っていた時と同じよ。貴女達がするべき事は、ジッと黙っている事と物音を立てない事。それが一番助かるのよ、私達にとってはね」


 「寝ている時の雑音ぐらいだと問題無いんだけど、盗賊などに対して大声を上げると、いきなり発砲してくる場合があって危険なの。だから静かにしていてくれるのが一番良いのよ。それだと相手の動きが予想外になる事も無いし」


 「予想出来る動きなら、わたし達は何の問題も無く対処できるからね。出来るだけ想定外は無くしておきたいわけ」



 説明すると納得したのか、姉妹はベッドでゆっくり横になった。今日は1日乗合馬車の中だったし、ガタガタ揺れる中に詰め込まれてたから疲れたんだろう。村には休憩で止まるけど、その時に降りて体を動かしていたものね。


 体が固まっていると解さなきゃいけないし、ずっと同じ態勢だと危険な事になる。エコノミークラス症候群だっけ? アレと同じになる可能性もあるから、姉妹の体も気を付けて見ておかないといけない。まあ、最悪は権能を使って治せばいいんだけど一応ね。


 それはそうと眠り掛けてるから、今の内に快眠の香りを嗅がせて眠らせておこう。じゃないとファーダはともかくノノが動き辛い。今でもエリーはノノを抱いている事が多いしね。今日も乗合馬車の中でそうしてたから、居なくなっていたらすぐに気付く。


 流石に騒ぎ立てられるのも面倒なので、たっぷりと快眠の香りを嗅いでもらっとこう。そうしたら私も出られるだろうしね。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ファーダ



 新しい町ではあるものの、男爵が住んでいる以外は然して田舎の町と変わらない。まだ東ガウトレアだからなのか、それともカレンが言っていた通りに王都以外は田舎なのか。その辺りは分からないが、とにかくやるべき事をやるか。


 俺は町の住民の善人化を進めていくのだが、男爵の屋敷から始める。貴族の居る町ではそうだが、貴族の屋敷の中が一番悪人が多いんだ。これは例外が無いほどであり、貴族本人が悪人でなくても変わらない。


 メイドだったり従僕だったり執事だったりが悪人である為だが、幾らなんでも悪事に手を染めすぎだ。小さい事しかしていないにしても、これだけ多いと犯罪者の巣窟みたいに見えてくる。大きな屋敷持ちだしな。


 ノノはミクが宿を出やすいようにする為、まずは宿の近くに居る尾行していた奴等を善人化しているようだ。ミクは宿から動かずに宿の中の悪人を善人に変えている。


 素早く次々と善人に変えていき、町の中の掃除を進めていく。なかなかに多いものの、3人で手が回らないという程でもない。おそらく中央ガウトレアに行く為に、ほぼ必ずと言っていいほど通る町だからだろう。


 交通の要衝ようしょうであるだけに悪人が多いのだろうと思う。そんな要衝ようしょうを何故男爵が治めているのかは知らないが、それなりに有能なのかね? 治安を見る限りにおいて、まったく有能には思えないがな。


 それでも何がしかがあるから任されているのだろう。もしかしたら元々は有能な家だったが、最近は没落しているのかもしれん。昔から男爵だったかどうかなど知らんからな。興味も無いし。


 おっと、ミクが宿から出てきたようだ。3人になれば一気に進むし、村の方にも行ってドンドンと終わらせていくか。悪人が蔓延はびこっていても鬱陶しいだけだからな。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ノノ



 昨夜一気に終わらせた甲斐があり、周辺の村も随分と綺麗になった。ちなみに昨日つけていた奴等は盗賊などは関係の無いチンピラでしかなかった。呆れるほどつまらん結果だったが、そう盗賊ばかりに目を付けられても困るといったところか。


 既に善人の町と化している為、新たに来た賊などは息苦しい町になったに違いない。こういう町からは悪党が離れやすいし、他の荒れた町に移動するだろう。既に居た悪人が善人になっているのだからな、あからさまに危険だと分かる筈だ。


 悪人には悪人の繋がりがあるが、そこの知り合いが善人に変えられていると知れば、次は自分があんな風に変えられるかもしれない。そんな予想は誰だって立てるだろう。そして、そうなりたくなければ逃亡するに決まっている。


 盗賊など元々は根性無しなのだ。真面目に生きる根性が無いからこそ悪の道に堕ちたのだしな。その程度の連中など最後には逃げ場を失うだろう。もちろん場合によっては町を乗っ取るパターンもあるが、そこまですれば流石の騎兵団とて動くだろう。


 幾ら権力機構が腐っているといってもだ、自らの領分に踏み込んでくる奴等を許しはしない。そもそも国家とは巨大なマフィアと言えなくもないのだ。自分達のシマに手を出してきた者を許すほど甘くは無い。


 それを盗賊の連中が知っているかどうかは知らないが、知らなければ殲滅されるだけだろう。物事には限度というものが存在する。それは誰に対しても当たり前の事でしかない。


 おっと、そろそろ朝か。また抱き上げるヤツが出てくるからな、今日は部屋の隅で丸まっておくか。


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