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0891・栄光の大帝国




 Side:ファーダ



 今は既に夜。誰も彼もが寝ている中、俺は透明ムカデの姿で善人化を施していっている。この星では喰う事をそこまでせずに善人を増やす方針になったので、喰う時よりも気楽ではある。あくまでも気楽という程度だが。


 しかし代わりに喰ってストレス回復とはいかなくもなっている。そして今は町の善人化を済ませつつ、目の前の話し合いを聞いている最中だ。ま、情報自体は本体が精査するので、俺は聞いているだけでいい。



 「それで、侯爵の娘は見つかったのか? 肝心要の侯爵の娘が居なければ何の意味も無いぞ」


 「心配するな、顔も確認しているので間違い無い。奴等は大通りにある一番良い宿に泊まっている。あんなところを使っているとは思わなかったが、御蔭で奪還を考えるのが随分と楽になった」


 「そんな所に居たとは盲点だったな。侯爵の娘達を連れているのであれば、もっと隠れ潜む場所に居るのではないかと思っていたが、意外に簡単に見つかったな。取り返すのは難しくないようで何よりだ」


 「共に居るのは女4人。大した相手でもないから、すぐに終わるだろう。それよりも娘達を何処に連れて行くかだ。何かあったらマズいからおかしな所に連れていく訳にはいかんし、下っ端連中に任せる訳にもいかん」


 「該当地点に行ったら誰もらんし、地面に微妙に血痕が残っていただけだったからな。何をやったのか知らんが、侮る訳にはいかんぞ? 場合によってはこちらが殺られるかもしれんのだからな」


 「そんな事はあるまいと言いたいが、可能性がゼロではないのが痛いな。捕まえさせた<荒野の弾丸>もそこまで愚かな集まりではない。にも関わらず、あの女4人に全滅したみたいだからな。多少は警戒した方が良いか」


 「ならばどうする? 明日この町を出てから襲うか、それとも今日の夜に襲って奪うか。どちらかしか無いが……」


 「今日の夜に襲うことは確定している。何故なら昼間では目立ち過ぎるからだ。そのうえここから西への道は見られる可能性が高く、侯爵に伝わる可能性がある。問題は夜中に連れ出して何処に置いておくかだが……」


 「娘達を連れて宿に戻ると怪しまれるし、朝になってオレ達が居なくても怪しまれる。確かに一時的にでも何処かへ軟禁しておかないと、足がつく恐れが高い。怪しまれると、そこから発覚する可能性がある」


 「だが娘2人を都合よく隠せるような場所があるか? しかも朝まで大人しくさせられる場所だぞ? もしそんな所があるなら問題は無いだろうが、オレには全く当てが無い」


 「オレもだ。そもそもこの町で見つかるなんて思ってもいなかった。で、ある以上は用意なんて出来ている筈が無い。どこかの家を襲ってそこに匿ってもいいが、朝出て行く時に近所の奴等に見られたらアウトだぞ」


 「ならばこの宿の他の部屋を借りるか? どのみちいきなり少女2人が増えたら間違いなく怪しまれる。本来ならオレ達が少女2人を受け取ってそれで終わりだった筈なんだがな。どうしてこうなったんだ?」


 「そんなことは知らん。<荒野の弾丸>に文句を言え」


 「既に皆殺しにされている奴等にどう文句を言えというんだ? それよりも、そろそろどうするかの結論を出さないとマズいぞ。時間だけが過ぎていくからな」



 流石にこのまま聞いている訳にはいかんな。既にミクとノノは善人化を行っているし、他のメンバーは寝ている。姉妹は快眠の香りで寝ているから問題は無いだろうが、このままダラダラと効いている訳にはいかん。


 俺は男達3人に手早く触手を刺し、魅了の香りを注入した。その後、男達の前に姿を現すと話を聞いていく。



 「ます最初に聞くが、お前達は何処の組織の者だ?」


 「我らは<栄光の大帝国>の者だ。その末端でしかないが」


 「その<栄光の大帝国>とはどのような組織なんだ? 構成員は?」


 「構成員は各国に居る。オレ達はウェルキスカ王国の者だが、ダスガンド帝国にもアロトム王国にもメヌシール王国にも同じ名前の組織があるのだ。我らの目的は1つ、かつての大帝国の復活だ」


 「しかしそんな事が簡単に行くとは思わんが………正気か?」


 「我ら<栄光の大帝国>は何百年も前から存在する組織であり、ずっと多くの国で活動をしてきている。今はダスガント帝国が覇権を掲げているから味方をしているだけで、再び大帝国を作るならば我らは誰でも応援する」


 「何故そこまでして大帝国を作らせようとする? 今の時代には今の時代に合う国があるのではないのか? それとも大帝国にする理由か意味があると?」


 「もちろんだ。元々は大帝国がこの地にはあった以上、古の時代に戻すのは当たり前だろう。今の国々はしょせんまがい物に過ぎず、本物の国とは大帝国をおいて他には無い。大帝国こそが、この大陸の覇者なのだ」


 「それはお前達がそう思っているだけだろう。他の大多数が要らないと言うのであれば、無理して大帝国を作る必要などあるまい。むしろ迷惑に思っている者も多いかもしれんぞ?」


 「そんな者が生きている必要など無い! 我らはかつての大帝国を復活させるのだ。その暁には、必ずや我らは新生大帝国で要職に就く事が出来よう」



 成る程。大帝国の復活とかホザいているが、とどのつまり、こいつらが求めているのは地位に名誉に金か。ある意味で非常に分かりやすい連中だな。それよりも何百年もある組織だという事の方が問題だ。


 仮にこいつらの言っていた事が事実なら、何百年もそんな連中が暗躍していたという事になる。今までに起こった多くの戦争も、そいつらが原因で引き起こされた可能性があるぞ。そして今の帝国の方針ですら、そいつらが決めているのかもしれない。


 訳の分からない地下組織など簡単には殲滅できないし、こいつらに聞いたところで恐らく……。



 「お前達の仲間はどこに居る?」


 「我々ウェルキスカ王国内の<栄光の大帝国>は全て王都に居る。今はこんな所に居るが、事を起こすには王都に居た方が都合が良い。構成員が少なくとも、世には盗賊団という都合の良い駒が多いからな。奴等を使えば済む」


 「それはそうかもしれんが、奴等から足がつく可能性は考えないのか? ああいう連中はペラペラ喋るぞ」


 「心配は無い。仮にそう言ったところで我らが依頼した証拠など何処にも無い。言い掛かりを無理矢理つける事にしかならんし、何より連中は盗賊だ。それの言う事を聞く者などおらんよ」


 「成る程な。お前達の目的はウェルキスカ王国を弱め、ダスガンド帝国に勝たせる為か。となると、ダスガンド帝国の方では上手くいっているみたいだな」


 「ああ、その通りだ。ダスガンドの今の皇帝は野心家だからな。欲を刺激してやれば難しくない。元々本人が持っているものなのだ、くすぐってやれば簡単にその気になる。欲というのは果てしないものだ」


 「我らのやるべき事は、かつての世に戻す事だ。それこそが最もこの大陸が輝いていた時代であり、我らはその大帝国で要職を得るのだ。新たな大帝国を作り上げるのに尽力した者としてな」


 「そうなれば必ずや祖先も喜ぶ。何しろ貴族籍を失って長いのだからな。いつかこの国も後悔するだろう、我らの祖先から貴族籍を奪った事をな」



 そういう事か。何故こんな下らぬ事をやっているのかと思ったら、貴族ではなくなった者の末裔だったとはな。こいつらを見ていれば貴族籍を剥奪されて当然だと思えるし、だからこそ平民に落ちるのだとよく分かる頭の悪さだ。


 もう聞く事も無いだろうし、さっさと善人化しておくか。これ以上ミクとノノに迷惑を掛ける訳にもいかんからな。


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