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0888・村を出発




 Side:カルティク



 私達は早めに食堂に行き、朝食を頼む。私は昨日と然して変わらない食事だけど、姉妹は朝からよく食べるみたいね。まだ13歳と10歳だし、今は成長期だからたくさん食べればいいわ。どのみち今日から歩くんだし、それだけの運動もするんだから多少食べたところでねえ。


 運動で消費されるから関係ないし、むしろ健康的な生活でしょうよ。目の前でよく食べる姉妹を見つつ、私達は適度な食事をしていく。特にどうこうは無い、朝の優雅な時間ね。もう少ししたら村人が入ってきて混雑するでしょうけど。


 それほど掛からず食べ終わった私は、ゆっくりしつつも【闇影知覚】で周囲を確認する。昨夜ミク達が善人化をしているので大丈夫だとは思うけど、念の為に不審な人物が居ないかを調べていく。


 種族が変わった御蔭か相当に色々と強くなっているんだけど、それと同じぐらい自分の持つ力が複雑化していて困りものなのよね。普段から使っていないと上達しないくらい、難しく大変な力を持たされた。そんな気分かしら?。


 だからこそ普段から使っているんだけど、ミク達が綺麗にしているから本当にこの力で気付けるか疑問もある。一応、闇や影から覗いて調べているんだけど、今のところ不振な人物は見当たらない。


 【闇影知覚】は闇や影に居る者を知覚できるけど、それと同時に闇や影を目にする事も出来る。つまり闇や陰から覗き見る事が可能という事なんだけど、何かこう……犯罪チックなのが何とも言えないわ。監視としては十二分な能力なんだけどね。


 まあ、それ以上のミクやイリュが居るから何とも言えない部分はあるんだけど、それでも今までの霊人族と比べれば破格の能力をしている。それは、ほんの少しの力を使えばすぐに分かるほど。イリュも似たような事を言っていたから、やはり幻想精霊種というのは凄いのだろう。


 私の場合は変わり過ぎて分からないのよね。元々が妖精女王だったイリュは違うんでしょうけど、私は唯の人間種だったから差が大き過ぎてねえ……。把握は無理だと諦めたわ。


 姉妹も食事を終えたから、そろそろ食堂を出て村を出発しましょうか。このままダラダラと居ても仕方ないし、姉妹も早めに町に戻る必要があるでしょうしね。


 食堂を後にし、村を出た私達は西へと進む道を歩いていく。姉妹が履いているのが踵の低い靴で良かったわ。ハイヒールみたいな物だったら、村で靴を買う必要があったくらいよ。いえ、買った方が良かったのかしら?。



 「どうだろうね? 村で売ってる靴もどんなものか分からないし、姉妹に合う靴があるかどうかも分からない。それを考えると、まだ履き慣れた靴で歩いてもらった方がマシかな? 町なら靴もあるんだろうけど、姉妹に合う既製品があるかは不明だね」


 「靴の既製品は合わない事が多いですから、あまり良い事とは思えません。屋敷に戻れればブーツなどもあるのですが、私達の目的は視察でしたのでブーツは……」


 「流石に馬車に乗るのにブーツは履かないわよねえ。それより護衛とか居たと思うんだけど、その人達は全員殺されたの?」


 「それは……はい、そうだと思います。私達の馬車が襲われた後、怖くて馬車の中に居たのですが、色々な音がした後で馬車が動き出しました。ある程度進んだら盗賊達に無理矢理に降ろされたのですが、護衛の者の姿は全く無かったのです」


 「誰も居なくなってて、私達は森の中まで歩けって言われたの」


 「その後は私達が助けるまで森の中に居たって訳ね。それは良いんだけど、護衛が全滅した割にはわたし達は血溜まりとか見てないのよ。いったい何処で殺されたのかしら? あの森に居たって事は、殺された現場はそこまで遠くない場所よね?」


 「いえ、この子達には分からないでしょ。そもそも馬車の中に乗ってただけなんだし、周りも見てないでしょうからね。でも、確かにアレッサの言う通り変なのは事実よ。血の跡が無いって不自然だもの」


 「確かに。幾ら銃で殺したとしても血は地面に落ちる筈だし、刃物ならもっと血が噴き出す筈よ。その割にはアレッサが血に気付いていないんだもの。という事は……」


 「姉妹が怯えてただけで、護衛は誰も殺されていない。その可能性がある。2人は誰かが死ぬような、苦しむ声を聞いた?」


 「ううん。銃の音はしてたけど、誰かの声は聞こえなかったよ」


 「そう、ですね。私も人の声を聞いた記憶がありません。聞いたのは「降りろ」という盗賊の声が最初です」


 「馬車の中には世話係とか、そういう人は一緒に乗ってなかったの?」


 「いえ、今回の旅は全て自分でするというのが決められていた事でして。宿をとるのも食堂での食事も、自分達だけでしたりしていました。父も子供の頃に同じ事をさせられたと笑っていましたので、我が家ではそういうものなのだと思っています」


 「子供を成長させるイベント? それ自体は問題無いとして、それよりそういう旅をするって知ってて漏らした奴が居るね。でないと盗賊が襲ったりはしないでしょ。盗賊は雇われたか命令されただけなんだろうけど……」


 「黒幕というか、裏側で絵を描いているヤツが居るわね。そいつが姉妹を誘拐させたんでしょうけど、貴族関係だと私達はサッパリ分からないし、その辺りを探る意味は無いわ。問題は届けるまでに出てくるかもしれない刺客ね」


 「盗賊どもが皆殺しになっていると知れば、必ずや私達を襲ってくるでしょうね。姉妹の足は遅いし、追いつかれるのは確実よ。だからといって私達が負ける事はあり得ないんだけど、怪我をする恐れがあるし……。ミクが護衛?」


 「そうだね。盾を持ってる私が護衛について、皆を攻撃に回そうか。それなら十分に守れると思うし、私を突破するのは不可能だから皆は好き勝手に動いていいよ。町で武具屋をのぞくぐらいかな?」


 「弾丸? それとも銃の方?」


 「銃の方かな? 東ガウトレア第2南町のオッサンは、小銃が欲しければ都会に行けって言ってたしさ。西に行けば中央なんだから間違いなく都会でしょ。そっちなら良さ気な小銃がありそうじゃない?」


 「スナイパーライフル。どうせ単発なんだから、わたしは狙撃銃でも良いんだけどなぁ。そっちの方が威力が高いし、わたしでも反動を押さえ込めるだろうしさ。代わりに当たるかどうかは知らないけど」


 「当てられるんじゃない? どのみちそこまで難しい物でもないでしょ。問題はコストが高いという事よ。小銃弾ならまだしも、狙撃用の弾って高いって言ってたじゃない。お金の当てがあるならまだしも、無いなら使わない方が良いわ」


 「そうね。アレッサなら普通にウォーアックスで敵を殺せるんだから、威力ならそっちを使いなさい。無駄にコストを掛けても仕方ないでしょ」


 「まあ、言われればそうかな。イリュは矛だしカルティクは合口だもんね。結局のところ、私達にとっては近接武器の方が色々と楽なのは間違い無いんだけど、それ使って暴れると目立ちすぎるしバケモノ扱いされそう」


 「別に近接戦なんて大した事ないのにね。盗賊もそうだけど近接戦にビビり過ぎなのよ、まったく。その割には偉そうに戦闘を語るヤツとか居るし、戦いそのものを舐めすぎでしょうよ」



 姉妹が口を挟んで来ないなと思ったら、既に息が上がってるじゃない。ま、深窓の令嬢だったかは知らないけど、貴族女性ならこんなものか。それでも若いだけ良かったわ。回復も速いし、元気もある。


 ある程度の年齢になった貴族女性なんて、絶対にこうはいかないものね。すぐに我儘放題なうえ、歩かせようとしたら泣き言を言うでしょう。そういう鬱陶しいヤツじゃなくて本当に良かったわ。


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