0887・権能付加マッサージ
Side:ミク
村の食堂での夕食も終わり、私達は宿への帰り道を歩いている。あの後で姉妹は追加注文を行い、それを半分こにして食べていた。成長期だからモリモリ食べるのは構わないんだけど、姉の方は更にグラマラスになりそうかな。アレッサが五月蝿いかも。
それはともかくとして宿の部屋に戻ると、すぐに【聖界】の魔法を使って室内を綺麗にしておく。最初に入った時にも綺麗にしたんだけど、帰って来てまた魔法を使ったのには理由がある。
「とはいえ大きな理由じゃないけどね。強いて言うならエアーマットを床に置いて寝るから綺麗にしたぐらいだよ。私とカルティクは床でエアーマット、他はベッドで寝るって形かな? それと寝る前に姉妹のマッサージだけはしておくよ」
「「マッサージ?」」
私は姉のカレンの方に近付くと、ベッドにうつぶせに寝かせ、腰から順にマッサージを始めた。いったい何故そんな事をとアレッサ達は思っているようなので、こちらから【念話】で伝える。流石に姉妹には話せない内容だ。
『姉妹にマッサージをするのは、生命の神の権能を使って体を癒す為だよ。疲れを取る事も出来るし、使いながら筋力トレーニングなどをさせると凄い速さで筋肉を付けられるよ。ただしその分の栄養を摂取しなきゃ駄目だけどね』
『つまり、体を癒すと同時に強く出来るって事?』
『筋肉が付くのは体が超回復を行っているからであり、それを短い時間で起こす事が可能なんだ。普通に治療をする事も出来るけど、今のところそっちの出番は無いね。使う相手が居ない』
『まあ、そういう力は使わないのが一番よ。有象無象を治療してやったら貴族に目をつけられるし、最悪は民衆に祀り上げられるでしょうね。碌な事にならないのは確実だから、黙ってるのが一番でしょう』
『そうね。特に平民に広くバレるのがマズいわ。タダで治療しろとか言い出すのが絶対に現れるだろうし、それを拒否したら騒ぎ立てるでしょうしね。まあ、ミクはそれらを善人にするか喰えば済むんだけど、面倒な揉め事は最初から起こさないに限るわ』
「あらら、疲れたからか寝ちゃったね」
マッサージしてたらカレンはいつの間にか寝ていた。なので次はエリーの番だ。何故か緊張しているが、それも解すようにマッサージをしていく。体を触られるのに緊張していたみたいだが、それもすぐに無くなったようで今は身を任せている。
揉みこんだりしながら掌から微弱に権能を使い、疲労物質を除去したり肉体を活性化させたりしていく。そうしているとエリーの方も耐えられなくなって寝始めた。私は寝た段階で権能を一気に使い、さっさと終わらせた。
「寝ちゃったみたいだけど、マッサージは終わったの?」
「すぐに終わらせる事も出来たからね、単に時間を掛けてただけだよ。それはそうとファーダが終わらせた割には悪人が居るみたい。おそらくは商人か何かだと思うけど、ファーダとノノには進路上の近くの村も書き換えてもらうよ」
「西の進路上ね。早めにやっておいて損は無いだろうし、姉妹を攫った連中の仲間も居る可能性があるからね。その辺りは注意しておいて損は無いわ。でも、いきなり組織の連中が真人間になったら怪しまれない?」
「それは確かにそうなんだけど、村にそんな組織の連中が居るかな? 町だけは何もせず、村だけに絞ってやれば問題無いんじゃないかと思うけど……。どう思う?」
「まあ、そんなよころじゃないかと思う。確かにいきなり姉妹を攫った組織が品行方正になったら意味不明だもんね。わたし達まで怪しまれるかもしれないし、流石に村だけで十分でしょ。ミクもその方が楽だろうし」
「まあ、そうだね。それじゃファーダとノノには村の方を任せるかな。……これ以上喋ってたら起きそうだし、姉妹には快眠の香りでも嗅がせておこう。良く眠れるしスッキリ起きられるヤツ」
「そんなのも有ったのね。まあ、私達には要らないけども。それじゃ、私はそろそろ寝るわ」
カルティクがそう言うと2人も寝始めたので、私も床のエアーマットに横になる。後は目を瞑って朝までの暇潰しだ。ファーダとノノには出来るだけ善人化を頑張ってもらうとして、こっちは姉妹が居るから一応見張ってないとね。
起きた時にノノが居ないとか言われても困るし。
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Side:アレッサ
朝起きると未だに姉妹は眠っていた。既にカルティクは起きていたけど、イリュはまだ寝ているらしい。ジェスチャーで「起こさなくていいの?」と問うと、カルティクは左右に手を振った。どうやら起こさなくていいらしい。面倒なのかな?。
付き合いの長いカルティクが起こさなくていいと言う以上は問題無いんでしょうね。既にミクも起き上がっているし、その側にノノも居る。いつ帰ってきたのか知らないけど、ある程度の村は終わったのかしら?。
今は姉妹が居るし、無理に聞かなくてもいい事だから聞かないけどね。それよりも、そろそろ起こした方が良くない? 朝も混雑前に食事をした方が良いと思うんだけど……。
『朝食も昨日と同じで早い方が良いんじゃないの?』
『そう言われれば確かにそうだけど、起こすにはまだちょっと早い気はするよ? まあ、私達に合わせろと言えば終わる話か……。どうする? 起こす?』
『私は起こしても良いと思う。イリュも起こさなくちゃいけないし、姉妹も寝起きが良くない可能性があるしね。ミクが快眠の香りを嗅がせたみたいだから大丈夫だとは思うんだけど、効果が分からないから何とも言えないかな?』
わたし達は起こす事を決め、とりあえずカレンから揺すってみる。すると、驚くほどあっさりと起きた。どうやら快眠の香りはスッキリ起きる効果も強いみたい。ミクが多くのアルラウネやマンドレイクを喰って手に入れたらしいけど、あの星にはこんなのを持っている奴等が居るのよね。
おっそろしいと思うのと同時に、あの乱世の大陸で良かったとつくづく思うわ。香りなんて防ぐ方法が無いもの。使われる前に殺せばいいとは思うけど、一斉に撒かれるとどうにもならないし、考えれば考えるほど恐ろしい種族よ。
恐怖していても仕方ないし、今は関係ないと思考を放り出して、わたしはエリーを起こす。こちらも簡単に起きたから、やはり快眠の香りはスッキリと起きられる効果もあるのは間違い無いわね。ちょっと体験してみたい気持ちも出てきたけど、起きられなくなるのも困るのよ。
わたし達は一応警戒の為に起きられる状態を維持しておかなきゃいけないし、香りを使われると起きられなくなる可能性もあるし……。流石に香りを受けるのはマズいか。諦めよう。
「全員起きたし、【浄滅】を使っておくから準備を始めてね。終わったら食堂に朝食を食べに行くからさ。早く行かないと朝の混雑にぶつかるから、申し訳ないんだけど早めに起こさせてもらったよ」
「大丈夫です。いつも朝起きられないエリーもしっかり起きているみたいですし、私達は特に荷物などありませんので……」
「ならさっさと用意を終えて食堂に行きますか。時間を掛ける意味も得も無いしね。ちゃちゃっと済ませて朝食にしましょう」
ミクが部屋全体に【浄滅】を使ったから、わたし達の体も綺麗になったわ。姉妹が理解したかは分からないけど、その辺りはどうでもいいわね。
片付けもそんなに時間が掛かる事でもないし、もう終わったから行きましょうか。それにしてもエリーが近いわねぇ。わたしがノノを抱えてるからでしょうけど。




