0885・盗賊団壊滅
Side:ノノ
先ほどからミクに対して銃を撃っている者達が前方に集中しているのを逆手にとり、我は大回りして女性と少女に近付いている。これは元々決まっていた事なのだが、何かあった際に我が救出する手筈となっているのだ。
だからこそ見つからないように移動しているのだが、我は白猫の姿なので結構目立つ。今は森の中というか木々と草の間に隠れているからいいのだが、助ける際には一足で飛びつくしかないな。開けた場所の中央なので、これ以上近付くと見つかってしまう。
「くそ! 撃て撃て撃て撃て撃てーーーっ!!!」
男達が持っているのはリボルバーやショットガンだが、ミクが持っているドラゴン素材の盾には全く通用していない。我らからすれば当然の結果だが、少女の方はともかく女性の方は唖然としているな。親子かと思っていたが姉妹か?。
盗賊達が引き鉄を引いたまま左手を上下に動かして撃鉄を下げ、リボルバーを連射している。しかしあんな撃ち方ではそもそも安定しないし、余計にドラゴン素材の盾を突破する事など出来んがな。
ショットガンもまるで効いていないのか完全に弾かれておるし、ドラゴン素材の盾を突破できる武器は無さそうだ。その間にもアレッサ、イリュディナ、カルティクの3名は、確実に敵の頭を撃ち抜いて数を減らしている。
む? 女性を人質にとるか。数が少なくなり5人ほどにまで減った。となれば形振り構わなくなるのは当然か。そろそろ我の出番だな。
「これ以上こっちを撃つんじゃねえ! もし撃ってみろ、この女の頭をブチ抜くぞ!!」
「そこの女性はドレスを着ているし、となると貴族関係の女性で間違い無い。仮に殺せばお前達に怒りが向き、賞金首じゃ済まなくなるだろうな? 地の果てまで追いかけられて殺されるか、納得するまで苛烈な拷問を受ける事になると思うが?」
「「「「「………」」」」」
想像したのか盗賊どもが黙ったな。ミクは適当を言っているが、黙るという事は貴族どもはその程度ならばやるという事であろう。それが想像できてしまうからこそ黙るのだしな。この調子で行くと我の出番は無いな。その方が楽で済むので助かるが。
「なら、そうなる前にこの人質どもをブッ殺してやるぜ! オレ達にゃ怖いもんなんて無えからな!!」
「人質という事は何処かから頼まれてるって事だね。となると、そこの2人を殺すと頼んできた奴等からも追っかけ回されるだろうけど、それを分かったうえで殺すと? 苛烈な連中で無いといいね?」
「「「「「………」」」」」
今度は盗賊どもの顔色が青くなってきたな? という事は人質をとらせたのは闇ギルドか何かか? この惑星ならマフィアの方が正しいのかもしれんが、広域の盗賊団という事だ。どのみちここの盗賊団が恐怖する連中が後ろに居るという事は分かった。
うん? ミクから指示が来たな。成る程、我はアレを狙えという事か。では早速行くとするか。
「あいつらだろうが何だろうが殺されるしかねえなら、今ここで殺してもいギャア!!?!」
我が女性に銃を突きつけていた男の手を爪で切ると、途端に痛みで銃を取り落とした。もちろん落とすようにしたのだが、それにしても駄目な奴等だ。あっさり武器を落とすなど、殺してくれと言っているようなものぞ。
だから簡単に「バン! バン! バン!」殺されてしまう「ドゴン!!」のだ。あっと言う間に手を切って銃を落とさせたヤツ以外は死んだ。その状態になったからか3人も出てきたが、アレッサ達を見て女性と少女は驚いている。
盗賊の中で残っているのは手を切られたマヌケだけだが、ミクはどうするのだ?。
「とりあえず、お疲れ様。ノノ、ナイスタイミングだったよ」
「ニャー」
「本当にナイスタイミングだったわ………よ?」
またアレッサがと思ったが、何故か我を抱き上げたのは少女だった。いったいどういう事かは分からんが、それより男をどうにかするのが先だ。逃げる恐れがある。
「とりあえず、この男の装備を全て剥がそう。なーに、パンツさえ履いていれば問題無いんだから、後は根こそぎ奪っとこうか。要らなければ燃やしてしまえばいいし」
そう言うとカルティクが素早く何度も殴りつけ、抵抗が弱まったら一気に身包みを剥ぎ始めた。男はミクが宣言した通りにパンツ1枚にまで引ん剥かれ、そのまま手をロープで縛られた。
ブーツを残してやったのは温情かもしれんが、パンツとブーツのみは色々とトンチキな格好だぞ?。
「そちらが誰かは知らないけど、捕まってたんでいいんだよね? こいつらが仲間って事は無いと思うけど、一応ね。あと、私はミク」
「この者達は私達が乗っていた馬車を襲撃してきた者達です。その後、こんな所へ連れて来られてしまいました。私の名はカレルフィア・ディオレムと申します。こちらは妹のエリデシア・ディオレム」
「エリデシアです。宜しくお願いします」
「それにしても随分と歳が離れてるみたいだけど、本当に姉妹でいいのよね?」
「ええ。よく言われますが、私と妹はそこまで大きく歳が離れている訳ではないのです。私は13歳ですが、妹は「「「13!?」」」10歳ですし……」
「いや、既に18歳ぐらいに見えるんだけど? どんだけ大人びているのよ!? それに発育がおかしくない? 何でわたしがこんななのに、世の中にはビックリするほど発育が良いのが居るのよ!!」
「発育が良いのは間違い無いけど、首元とか手の甲とか見ると歳相応よ? まあ、私達はそういう領域を超えたからアレだけど、まだまだ瑞々しい肌をしているもの。あの肌を見れば若いのは分かるわ」
それは分かるのだが、我も親子のように見えていたし、何より13歳などとは思ってもみなかったぞ。あまりにも成長が早すぎる気がするがな。それはともかくとして、そろそろ降ろしてほしいところだが。
「そういえば名乗るのを忘れてたけど、わたしはアレッサよ」
「私はイリュディナ」
「私はカルティク。ミクが大人数に気付いて街道を外れたから助ける事が出来たの。で、貴女達はこれからどうする? 私達は東ガウトレア第1南町から西へ行こうと思って移動してるんだけど」
「私達は中央ガウトレア第1東町一帯を治めている、ディオレム侯爵家の者です。東ガウトレアを見て回り、町へと帰る途中だったのですが……。馬車も壊されてしまい、移動手段がありません」
「言葉は悪いけど歩くしかないわよ? そもそもわたし達だって歩いて旅してるくらいだし。町まで行けば乗合馬車に乗れるだろうけど、次の町が何処かは知らないからねえ」
「それより時間も時間だし、さっきの村に戻った方がいいわね。あそこで休んで明日から歩きましょうか。私達も移動手段を持っていない以上はどうにもならないし」
「そうね。ところでいつまでノノを持ってるの? 歩くのなら手放さないと疲れるわよ?」
「大丈夫」
「いや、大丈夫って……」
「そんな事よりアレッサ、こっちを手伝ってくれる? アレッサが血を奪ってくれないと、いつまで経っても終わらないんだけど?」
「了解。今行くー」
アレッサが死体の近くに寄り、周りの地面に落ちた小さいのは無視したようだが、それでも大部分の血を吸い上げて吸収した。その御蔭もあり死体の水分量は大幅に減ったので、随分と装備を引き剥がしやすくなったようだ。
銃や銃弾に紙幣や貨幣。更には売れそうな物を全部アイテムバッグに詰めていき、最後は死体を一ヶ所に集めて燃やす。姉妹はミクが魔法を使った事に驚いたようだが、捕まっていた盗賊の男は怯え始めた。
魔法がある割には使える者が少ないし、怖れられている。何とも不思議な星であるな?。




