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0882・ダンジョンマスター




 Side:ファーダ



 「まず1つずつ答えようか。俺の名はファーダだ」


 「そんな事は聞いていない。お前は何者だと聞いている!!」


 「何者かか、それは随分と哲学的な質問だ。お前は自分が何者か知っているのか? お前という者が何者か分からないのに、俺が何者かと問うてきた訳ではあるまい?」



 そう返すと、いきなり「バン!」という音が鳴った。当然のように俺は銃弾を回避しているが、それを見て驚くダンジョンマスター。おいおい、銃口の向いている方向にしか弾は飛ばんぞ?。



 「……銃弾をかわしただと? そんなバカな!?」


 「バカなも何も、銃弾という物は銃口の向いている方向にしか飛ばんのだ。ならば後はタイミングだけで回避できる。お前はまさか銃が万能な武器だとでも思っているのか? 随分と甘っちょろい考えのヤツだな」


 「クソッ! お前達、そいつを殺せ!!」



 ダンジョンマスターがそう言うと、いきなり周囲にモンスターが現れたものの全て不死者だった。なので俺は【浄滅】を使って浄化してしまう。ハッキリ言って、ここでアンデッドを出すのは悪手でしかない。本人は理解していないようだがな。



 「な!? 魔法だと? お前、まさかダンジョンに来た女の仲間か!? 何故こっちの命を狙ってくる!! そちらに手を出さねば手を出してこなかった筈だろう!?」


 「ほう。なら男爵に雇われた者が殺しに来たのは何故だ? 男爵に雇われたハンターがこちらを殺しに来たのだがな?」


 「ちょっと待て、そんな事は知らない! オレはそんな事をしろなんて言ってない!!」


 「それ以前に何故男爵に対して口にした? わざわざお前が口を滑らせなければ、こんな事にはなっていないというのにだ。何故男爵の前で口にした? もしかしたら男爵が動いて自分の安全が担保されるかも……。そんな思いが無かったと言えるのか?」


 「うっ………」


 「ああ、そんな思いが無ければ許してやったんだがな。どうやらお前は何も理解していない愚か者だったらしい。ここで消えるのも仕方がないだろう? 口を滑らせればどうなるのか、そんな想像も出来ん愚か者なのだ」


 「くっ! か、神様!! 助けて下さい、神様!!!」



 そうダンジョンマスターが口にすると、俺とダンジョンマスターの間の空間が歪み、何者かが出てきた。神と言っていたので神なのだろうが、いったい何を司る神なのだ? マネキンのような姿だが、その色は様々で一定じゃない。


 常に変化し続けているという訳の分からない色をした神だ。こちらに多少の悪意を向けているものの、特にどうこうは無いらしい。俺を無視してダンジョンマスターの方に向いた。どうやら俺の本質を全く理解していないらしい。


 もし理解していれば、俺の一挙手一投足に注意を払う筈だからな。でないと喰われるのだから当然だし、それを無視して俺は喰うのだから本当は意味が無い。こいつが空間を司る神でない限り、俺から逃げるのは不可能だ。



 「いったいどうしたというのだ。わざわざ5年に一度しか使えぬ呼び出し権まで使いおって。我が下りてくるに値する事なのだろうな?」


 「そこの者がオレの命を狙ってここまでやってきたんですよ! しかも銃の弾をかわすようなヤツなんです! オレの力じゃどうにもなりません、助けてください!!」


 「………ふぅ、下らん。そんな愚かな事の為にわざわざ呼び出したというのか。まあいい、ダンジョンマスターに居なくなられては困るし、また選定するのも面倒だ。そこのお前、さっさと死ね」



 その神は俺に何かの力を使ってきたが、その神力の動きは俺の生命力を失わせるものだった。つまり目の前の神は死を司る神だ。死者や不死者の神でもある。ダンジョンの途中から不死者だらけだったのは、おそらく関係ないとは思うのだが……。


 その辺りはどうでもいいので捨てておくとして、とりあえず運が良い。ここで死の神の力を奪う事が出来るのはな。そう思った俺は即座に目の前の神の大本を辿り、その〝本質〟を含めて貪り喰う。その一瞬で目の前の神は消え失せた。



 「は? ……へ? か、神様………?」


 「残念だったな。惑星の神如きにすがれば何とかなると思ったか? 随分と俺達を舐めてくれたようだが、俺を滅ぼすには圧倒的に足りんな。………矮小なニンゲンよ」



 俺は本来の肉の塊になり、ダンジョンマスターを睥睨へいげいする。俺の男性型の姿が角のように付いているが、それ以外は肉の塊そのものであり、そこに口と牙がついて触手が大量にうごめいている。


 その姿を見た途端ダンジョンマスターは気を失ったので、触手で叩いて無理矢理に起こす。



 「ダンジョンマスターなど不老になっただけのニンゲンに過ぎん。その程度のゴミが随分と俺達を舐めてくれたではないか? ああ?」


 「ひぃっ!? か、神様! 助けてください神様っ!!」


 「先程の俺を殺そうとした神か? アレならもう喰い終わったぞ。所詮はこの惑星の神に過ぎんし、俺達からすれば大した存在ではない。出てきたところで喰えば済む。それより……答えてもらおうか? 手を出さねば何もせんと言っておいたのに、こちらに男爵をけしかけたのは何故だ?」


 「か、神様! 助けて下さい! 助けて下さい神様!!! 目の前に、目の前に化け物がぶぇっ!?」


 「どうやら俺の言っている事が理解できんらしい。ならば理解出来るようにしてやろう。ゴミが目の前に居る俺を無視したのだ、そのむくいは受けねばな?」



 俺は触手で叩き吹き飛ばしながらも、殺さないように手加減をしていく。その間に先程の神の権能を確かめていたのだが、先程のは生命を司る神だったらしい。死を司る神ではなかったようだ。早とちりだったな。


 とはいえ神の力とその根幹たる神核を含めて根こそぎ喰ったからな、御蔭でまた神力が増えた。この調子で神どもを喰らいたいものだ。



 「ゴブェ!! ガハッ!! ゲェェェェェェェッ!!」


 「チッ! あっさりと吐き過ぎだ。碌に体も鍛えていないとは、弱いヤツめ。そのうえ自分の命に危険が迫るとすぐに神に助けを求めるか。浅ましさもプラスして碌な者ではないな。よくもまあ、こんな者をダンジョンマスターにしたものだ。理解できん」


 「ハァ、ハァ、ハァ、うぶっ! な、なんでお前のようなのが……」


 「ん? ああ、それは簡単だ。先程の神程度ではない、遥か上の神から命じられているからだ。ゴミを食い荒らせとな。そしてそのゴミには悪徳な者から程度の低い神まで含まれている。つまり、この惑星の神如きでは俺の相手にはならんのだ」


 「そ、そんなバカな……。か、神なんだぞ! 神様なんだぞ!!!」


 「それがどうかしたか? お前にとって神は凄まじい存在かもしれんが、俺からすれば食い物に過ぎん。お前と俺はそもそも存在の格が違いすぎるのだ。ニンゲン如きの物差しで俺を計るな、愚か者め」


 「そんな事はあり得ないんだ! 神は神なんだからな!! お前のような醜い者が神様を喰うなんてあり得ないんだよ! お前は幻を見せてるんだろう。そうだ、そうに違いない! 神様が負ける筈がないんだからな!!」


 「答えもせんうえに狂うとは……。ニンゲンは脆いものだが、コイツは特に脆いぞ。こんなのが喧嘩を売ってきたという事自体がニンゲンの愚かさをハッキリと現しているな。さっさと書き換えてしまうか」



 俺はもう聞く事もせず善人に変えてしまい、その後に話を聞く事にした。壊れたように神にすがる阿呆に話し掛けても無駄だからな。そして善人になったダンジョンマスターに改めて聞くと、あっさりと事実を認めた。



 「どうやら今までの私は、恐怖からくだんの女性達を殺害しようとしていたようです。ですが怨みや憎しみを向けられないように、男爵とのお茶会で愚痴を溢すような形にして仕向けていました。申し訳ございません」


 「いや、今のお前は善人だからな。もう下らん事をせんならばそれでいい。いちいち俺達に迷惑を掛けてくるな、こちらに手出しをしなければ何もせん。改めてそれは言っておく」


 「はい。改めてそちらには何もしない事を誓います」



 その言葉を聞いた後、「それでいい、ではな」と言って俺は本体空間に戻った。鬱陶しいダンジョンマスターを善人に変えたが、少なくともダンジョンの運営がこれからも続くのであれば問題あるまい。


 あの生命を司る神もダンジョンマスターは必要だと言っていたからな。


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