0881・夜のダンジョン
Side:ファーダ
その後も色々と聞いたが、結局ダンジョンマスターが動いてこうなった訳では無さそうだ。となるとダンジョンマスターに関しては明日だな。今日は男爵と町の連中を善人に変えたら戻るか。
俺とノノは予定を決めると即座に動き出す。これ以上愚かな男爵の事で無駄な時間を使っても仕方ないからな。せっかく第1南町へと来たのだから、今の内にやるべき事をやっておこう。後でやるとなると面倒だ。
俺達は町の中を走り回り、【掌握】で見つけた悪人を素早く善人に変えていく。その御蔭と言えるかもしれないが、少しずつ神力の扱いについて効率が良くなっている気がする。あくまでも気がする程度だが、それでも良くなっていると気分の良いものだ。
ノノも似たような感覚があるのか、俺達はより効率的に神力を扱って善人へと変えていく。その違いが分かるようになっただけ進歩したのだろう。今までと比べて。
集中して作業をしていたからか、終わった事に気付かず次の悪人を探し回っていた。ノノと2人で全て終わった事が分かったので、仕方なく本体空間へと戻ったくらいだ。もうちょっと練習を続けたかったのだが、悪人が居ないのでは諦めるしかない。
ノノはミクの側に戻ったが、俺は本体空間で反省だ。もう少し効率よくするには、どうすれば良かったのか? この辺りを考えておきたい。
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Side:カルティク
皆が起きたのでミクに昨夜の事を聞くと、意外な内容で驚いた。裏にダンジョンマスターが居たものの、ダンジョンマスター自体は関わっていなかったなんてね。いや、情報は喋っているけど、それでも唆したりはしていない。
あくまでもお茶の席で「こんな事があった」と言った程度。もちろん貴族が動くと知っていて言った可能性はある。だからこそファーダは保留したんでしょう。時間も無かったし今日に回したのはその為でしょうね。
「それでもダンジョンマスターは微妙なところねえ。可能性としてはどっちにも考えられるから厄介なものよ。まあ、今日ファーダが行くなら問題は無いでしょうけどね。という事は明日出発?」
「そうだね。明日からは都会の方に行く事になるから、ここから西に進む事になる。ここが東ガウトレアだからね、西に行かないと都市は無い。都会に行けばそれなりの武器は売ってるだろうし、そこまで歩いて進む事になるかな?」
「歩くの?」
「もちろん誰も見てないなら【身体強化】で走るけど、周りの村とかも善人化しなきゃいけないしね。そうなると私達自身がゆっくり移動する必要があるんだよ。善人化するまではさ」
「それなら確かに仕方ないわね。なるべく村も善人化して進まないと、何処から悪人が湧いてくるか分からないもの。それの所為で余計な事になるのも面倒だしね。そういえばこの星って獣人とか居ないわね? 不死者ぐらい?」
「その辺りは分からないね。今までは人間しか居ないけど、この先もそうとは限ってないし、もしかしたら他の種族も居るかも。とはいえ居たから何? っていう話でもあるんだけど」
「まあねえ。それより今日もゆっくりしながら適当な情報収集でもするかな。盗賊とかも居ないみたいだし……って、旅の途中で盗賊団を見つけたらどうするの?」
「当然、食い荒らすに決まってるじゃん。あいつらは善人化する価値も無いからね、確実に食い殺すよ。いつも通りに処理して終了」
「まあ、盗賊団の時点で悪人だし、表に生活基盤がある訳でもない。だったら食い殺しても問題は無いし、社会に悪影響を与える事も無いか。だったら消えてもらった方が良いわね」
「そういう事。今までは本体の肉を増やす為に積極的に食べてたけど、一応は納得できる程度に肉は増えたからね。そこまで喰わなきゃっていう強い意志は無いかな。神どもの命は「ゴミを食い荒らせ」だけど、善人化でも文句は無いみたい」
「元々神様の権能なんて持ってなかったんだから、持ったならそれでも良いって感じ? それともクズがどうにかなるなら構わないって事なのかな? まあ、神様の考えはどうでもいいか。考えるだけ無駄だし」
「それより朝食を食べに行きましょ。ここで喋ってても仕方ないわ」
そうね。食事に行きましょう。今日が最後でもあるんだし、夕方には解体所の3人に説明しておかないとね。あと受付嬢にも。
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Side:ファーダ
夜になったので俺だけでダンジョンへと行く。鳥になって飛んでいき、ダンジョンへと進入。ダンジョン内を飛んで進む。
1階から6階までは良かったんだが、7階からは入り組んだ迷宮型なので、透明トカゲの姿に変わり一気に進んで行く。しかし壁が天井にまで達している為、上から進むという事は出来なくなっているな。それが出来れば簡単に進めたんだが……。
それでもレイスは俺を感知できていないので、襲われる事も無く走り抜ける。更には【掌握】で階段の場所も分かっている為、ルート選択を間違う事も無い。
7階の階段を下りると再び迷宮型だったので一気に進んで行く。ここからはスケルトンナイトの様なモンスターも出てきているが、レイスと同じく俺を捕捉する事は出来ないようだ。
アンデッドだから生命力辺りを感知しているのだろうが、俺はその生命力まで隠蔽しているので見つからないのだろう。ま、この階層を【浄滅】で一掃しても良いのだが、見つからないならそれに越した事は無い。
8階の階段を下りると再び迷宮型だった。となると最下層は10階か? ループしている訳ではないと思うが、とりあえず進んで行くか。
そう思い進むと、どうもゾンビかグールか分からないモンスターまで出始めた。スケルトンナイトも居るしレイスも居る。ここまでハンターが来ても、おそらく対処不能だろう。銃火器じゃスケルトンもゾンビも倒し辛い。
ゲームならまだしも、現実では点での攻撃である銃火器は相性が悪いんだ。スケルトンはメイスや棍棒、ゾンビは首を刎ねる剣か刀。この辺りが相性の良い武器だが、両方を考えるとメイスか棍棒の方が良いだろう。
ゾンビは首を刎ねればいいものの、スケルトンは頭蓋を砕く必要がある。ゾンビも頭を潰せば停止するので、メイスか棍棒がアンデッドに対して一番相性が良い。なので銃火器全盛のこの星じゃあ、不死者は強敵だろう。
まず近接戦闘をしっかり学んでいるヤツが少ないんだ。この時点で不利だとしか言えない。位置取りや武器の振り方すら学んでないんじゃ、尚の事どうにもならないしな。だから不死者でハンターを防ぐのは間違っていない。
ようやく9階の階段まで辿り着いたので下りると、その奥には豪華な扉があった。俺は男性型になり扉を開けると、その瞬間何かが飛んでくる。当然だがそんな物に当たる俺ではない。が、さっきのは銃弾か?。
「誰かが侵入してきていたのは分かっていたが、お前は誰だ!?」
そこにはリボルバーを構えてこちらを睨む少年が居た。まさかこの少年がダンジョンマスターなのか? 俺には銃なぞ効かないのでどうでもいいが、不老なのだから少年の時にダンジョンマスターになったのか。
とはいえ、いつの時代から生きているのか不明だから見た目で判断は出来ない。まあ、判断する必要も無いと言えばそれまでだが。
「答えろ! こんな時間にダンジョンに入ってきたお前は何者だ!!」
どうやら相当に焦っているようだな。さて、どうするか……。




