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0877・ダンジョン7階と町へと帰還




 Side:イリュディナ



 3階の小さな猪の倒し方も分かった私達は4階へと下りていくが、この階で大凡おおよその広さが分かった。


 1階層の広さはおそらく3キロ程度だと判断できるんだけど、この広さって結構ヤバい。何がヤバいって流れ弾を受ける可能性があるのよ。


 他のハンターが何を考えているかは分からないけど、流れ弾を喰らって死亡とか止めてほしいわ、本当。


 いちいちそんな死体なんて見たくもないし、他の奴等はちゃんと下の方へと向けて撃ってるんでしょうね? こっちに飛んでくるなんてやーよ。



 「確かにその可能性は考慮しておかないとマズいわね。私達なら問題ないけど、私達が誰かを傷つける可能性がある。流石にそれは寝覚めが悪いし、気をつけて戦いましょう。ま、殆どのハンターは数匹獲物を狩ったら帰るみたいだけど」


 「まあ、大量に狩る事が出来ても、持って帰るのをどうするんだって話になるものね。だったら弾のコストを考えて実入りの良いモンスターを持って帰るのが一番だし、そうなるのは当たり前ね」


 「問題はそれが何処かなんだけど……狼までは昨日見たのよ。だから少なくとも5階か6階まで行ってる人達は居る筈。まずは7階を目指して進みましょうか。そこのモンスター如何いかんでは、更に先に進む事になるかも」


 「そうね、そうしましょうか」



 私達はこの後の方針を決めて先へと進む。4階を進んで5階に下りると、今度は森に近い地形に変わった。そしてそこには予想通りに茶色い狼が居る。まずは私が試す事にして、皆には少し離れてもらう。既に狼は臭いか何かでこちらを見つけて唸ってる。


 私がリボルバーを構えて待つと、狼はジグザグに跳ぶように私に接近してきた。それを引きつけて待ちつつ、狼が最後のジャンプで私に襲い掛かってくると、私はその開いている口に向かって撃ち込む。


 危険なのは分かっていたけど、「バン!」という音と共に発射された弾は狼の体の中に入り込み、随分と体を傷つけたらしい。私に噛みつこうとしていた狼は、傷の所為で噛みつくどころでは無くなったようだ。


 狼にぶつかられて倒れたものの、噛みつかれる事も無かったので起き上がる。



 「グゥエ! ガブッ、ゲェ! コボッ、ガァブ!!」



 最早まともに声も出せないのだろう、私はその狼に近付き至近距離から脳天に発砲。その一撃で狼は死亡した。どうやら狼はこの倒し方で合っているようだ。昨日解体所で見た狼も体の中が傷付いていた。



 「ギリギリまで引きつけて口の中に撃ち込むから、あそこまで死体の中が傷付いていたのね。でもそれだと買い取りが安くなるから出来るなら綺麗に倒す方法を編み出したいわね。何か無いかしら?」


 「ショットガンなら引きつけて頭を狙えば一撃で倒せるんじゃない? 流石に狼は厳しいと思うわよ、リボルバーじゃ」


 「小銃なら一撃だろうけど、速く動く狼に照準を合わせるのは難しいわよねえ。となると小さな猪でお金を稼いでショットガンを買って来いって感じかな。それである程度装備も充実するんじゃない?」


 「リボルバーの弾丸とショットシェルを持ち運ばなくちゃいけないけどね。そのうえ獲物である茶色狼も運ばなくちゃいけないし、思っている以上に大変ねえ。それなら小さな猪でお金を稼いだ方が良いわ」


 「確かに………。昨日、解体所に茶色狼を持って来た人は何だったのかな? 何の理由があって持って来たのか、ちょっと分からないわね。まあ、とにかく茶色狼は分かったから先へと進みましょう」



 こんな所で遊んでいられないので、私達は5階を進んで6階へと下りる。途中で茶色狼が出たのでミクに任せたが、確かにショットガンなら一撃だった。正面から口を開けた狼に撃ち込んだけど、上向きに撃ったからか口から上が酷い事になっている。


 ちょっと悲惨な光景になっているものの、それより速く撃ち込めばちょうど良いタイミングだという事も分かったので、尊い犠牲は無駄ではなかったと思おう。まあ、ダンジョンだから幾らでも復活するんだけどね。


 それはともかく6階から7階へと進むと、今度は入り組んだダンジョンタイプの地形になった。迷路みたいになっていて侵入者を阻む造りね。どうもこの階からは本格的にダンジョンって感じがするわ。


 そう思っていたら早速モンスターが来たんだけど、私達の方に来たのはレイスだった。何で急にアンデッドが出てくるのか知らないけど、ミクが【聖浄】であっさりと浄化して終わらせる。高がレイス如き相手にならないのよ。



 「急にレイスを出してくるって変なダンジョンねえ。今まで兎、小さい猪、茶色狼と来てレイス? 不死者をいきなり出してくるってところに悪意を感じるけど、これじゃ7階から先に進もうとするヤツも居ないでしょうね」


 「だからこそ進むって事も出来るけど、それをしたところで意味があるかと言えば……」


 「無いんじゃない? 受付嬢だって攻略すんなって言ってたし、もしかしたらダンジョンマスターと取り決めでもあるんじゃないの? ハンター協会だってダンジョンが無くなったら困るだろうしね」


 「だったら帰ろうか。これ以上先に進んでも意味が無さそうだし、別にダンジョンを攻略したい訳でもないしね。昼前だけど、適当に食べながら戻れば済むかな。乗合馬車に乗れなかったら走って戻ろう」


 「そうね。私達の足なら大して時間も掛からないし、目立つのが嫌なら歩けば済むしね。そうと決まったらさっさと帰りましょ。居続けても時間の無駄にしかならないわ」



 ダンジョンも見たし、特にやる事も無いので帰る事に。そもそもダンジョンを攻略する理由が無いんだから、これで終わりなのは仕方ない。さっさと戻って適当にお茶にでもするべきね。ついでに昨日の食堂に行って情報収集でもしましょうか。


 そう決めた私達はさっさと上へと上がって行く。ハンターに喧嘩を売られる事も無く地上へと戻った私達は、乗合馬車を探したものの町に向かって出発するものは無かった。なので私達は歩いてダンジョンから遠ざかり、一定の距離を離れた後で走り出す。


 【身体強化】で走るのは相変わらず早く、ゆっくり走ったにも関わらず10分程度で7キロを走破して町に戻ってきた。やはり私達にとっては大した距離じゃなかったわね。当然だけど。


 ハンター協会の裏にある解体所に行って獲物を売り、昨日のオッサンには夕方から解体の仕事を請ける事を言っておいた。私達が割と数を出したので驚いたようだが、それでも今日も手伝うからか笑顔だったわね。


 ちなみに兎が1匹で10ダル、小さな猪が40ダルで、茶色狼は25ダルだった。狙い目はやはり小さい猪みたいだから、3階か4階がお薦めなのかしら? 血抜きをしても重いけど、それでも持って帰ってくれば40ダルだもの。美味しい獲物ね。


 貧乏なハンターは行きも帰りも歩くらしいから、兎でも十分儲かるみたい。それとお金を稼ぐハンターは馬にリアカーのような物を牽かせるらしいわ。やっぱり自前で移動手段を持っている者が居たのね。それぐらいないと稼げないでしょうけど。


 私達は適当に会話を終わらせ、食堂へと行って昼食を適当に頼む。実際には昼過ぎ辺りなのでランチには少し遅い時間帯だけど、それでもランチセットは出してくれたわ。昨日のウェイトレスじゃないけど話しかけ、適当な会話をしつつ情報を聞きだす。



 「何でも都会の方には列車とかあるらしいですよ? まだまだ距離は短いですし、大体は荷物、じゃなくて貨物だったかな? それを乗せて走るので人はついでらしいんですけど」


 「へえ、列車……ねえ」



 技術の方向性っていうのは、あまり変わらないのかしら?。


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