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0084・カルティクも含めての説明と雑談




 「まあ、情報は分かったわ。で、これからどうするの?」


 「私は第2エリアか第3エリアに行ってゴミを始末するくらいかな? ゴブリンに成り済ませば上手く殺して喰えると思う」


 「あたしは探索者ギルドで登録した後、早速攻略かね? 何をするにもお金を稼がなきゃいけないし、ミクから貰ったお金だけじゃ、すぐに尽きるだろうから」


 「ワイバーンの骨とか牙で出来た武器を持ってるなら、余裕で突破できるわ。だからミクと同じ第5エリアまで一気に行きなさい。エクスダート鋼の素材は高値で売れるわよ?」


 「エクスダート鋼か……。ワイバーン素材の物を持ってると、そこまで欲しいとは思えないねえ。何というか、無理してエクスダート鋼の物を持たなくても、って思う」


 「そりゃワイバーンの素材で作られた物を持ってりゃ、そうでしょうよ。そういえばミクはワイバーン素材を持ってるのよね? だったらカルティクに作ってあげてくれない?」


 「構わないけど、悪目立ちするかもしれないし、カルティクなら断らない? ドリュー鉄なら余ってるから、そっちの方がまだマシだと思うけど……。それはカルティクに聞いてからかな?」


 「そうだけど、あの子も割とミーハーなところがあるから、ワイバーン素材だっていうだけで欲しがると思うけどね。って、ちょうど下りてきた」


 「<影刃>か……、今日は随分と遅い起床だねえ。休みの日かい?」


 「……お前、何故私の二つ名を知っているの? 事と次第によっては容赦をしないわよ」


 「残念ながら今の肉体だと、簡単にあたしが勝つから止めた方がいいよ。<雪原の餓狼>だと言えば分かるかい?」


 「………何を訳の分からない事を。お前と<雪原の餓狼>が似ているとしたら、その狼耳だけだ。私が何も知らないとでも思っているのか?」


 「まさか<影刃>でさえも騙せるとはね。あたしがそこまで変わっちまってるとは、ちょっと驚きだよ」



 しみじみと語るシャルを置いて、イリュが真実を告げる。するとカルティクは驚愕の顔に変わっていくのだった。



 「ミクに首を切り落とされ、ワイバーンの骨や血肉にミクの血肉で作った体にくっ付けられた……! ………はぁ。ミクが絡むと、どうしてこう何でもありになるのかしら。いい加減疲れてくるわね」


 「それに関してはあたしも同感だけど、世の中は不思議で満ちてるんだろうさ、きっと」


 「そういう不思議は要らないんだけど? それにしても随分と若返ってるっていうか、完全に別人じゃない。貴女は昔の若い頃でも、こんな美女じゃなかったわよ? 今はちょっとビックリするぐらいの美女になってるから、絶対に狙われるわね」


 「狙われても殺せばいいだけさ。襲ってきたら返り討ちにする自信はあるし、女将軍だったあたしを舐めてもらっちゃ困るねえ。ついでにワイバーンの血肉の所為で、おっそろしく強くなってるしさ」


 「それが一番の驚きだけど、あまりにも強すぎるでしょうから、手加減しなさいよ。あんまりだと怪しまれるし、中には強い奴も居るんだから」


 「隠れた強者が居るのは知ってるさ。でも、そういう奴は基本的に表には出て来ないよ。ゴールダームもフィグレイオもそうだけど、居るのは裏であり闇。あの連中は滅多に表には出てこない」


 「仮に出てきても、ミクに喰われて終わる気はするけどね。世界でも数少ない規格外の連中は明らかな強者だけど、それ以上の規格外が存在するもの。あれらであっても殺されるしかないわね」


 「もしくは逃げ切るか。あの連中は逃げ足も抜群だから、案外ミクから逃げ切れるかも。とはいえ逃げ切ったとしても、ミクが覚えている限り、近付いたら喰われる事に変わりはないんだけど」


 「そういえばミクって、個人個人で違う生命反応ってヤツを覚えてるんだっけ?」


 「主要な者の生命反応は覚えてるよ。イリュやカルティクにシャルも記憶してるね。他は面倒なら忘れたり、興味が無いなら最初から覚えない。有象無象の反応を覚えても無駄だからね」


 「それはそうでしょうけど……あれ? よく考えたら私達が捕まっても、ミクなら場所を割り出せる?」


 「割り出せるというか、異空間に連れて行かれでもしない限りは分かるね。それか物凄く遠くに一瞬で連れて行かれると難しいかな? それぐらいだけど、一瞬で遠くに行く方法なんてないから分からない事は無いよ」


 「一瞬で遠くまで行く……ねえ。かつてダンジョンの転移魔法陣を解析して、遠くまで一瞬で移動できないかと考えた奴は居るけど、挫折したって聞くよ。それ以外に何かあったかな?」


 「見果てぬ夢ってヤツね。昔から言われてるみたいだけど、成功したヤツは誰もいないわ。一瞬で遠くまで行くなんて神の御業に他ならないっていうのに、夢を持つ者は居なくならないのよ。何がそんなに人間種を駆り立てるのかしら?」


 「さあ? 私も無駄な努力だとしか思わないし、仮に出来たら凄いねーで終わる話よ。おそらく実現したとしても、莫大な魔力が必要でしょ? でなければ、あり得ないわよ」


 「莫大な魔力が必要だから、仮に出来るようになっても無駄、か。確かに言いたい事はよく分かる。出来る事と実用的かどうかは別だからねえ。出来ました、でも使えません、じゃ話にもならない」


 「そうだね、っと。そろそろ看板娘がカウンターに居ないと怪しまれるから、私は行くよ。カルティク、ミクがワイバーンの素材を持ってるんだって。欲しいなら武器を作ってくれるそうよ?」


 「えっ!? 本当に? ……ワイバーンかぁ、何を作ってもらおうかなー……」


 「疑問も持たなかったね? 本当かどうか疑いもしないとは……。とはいえミクが持ってると言われれば、疑ったりはしないか」


 「当然でしょう。それよりもワイバーン素材の武器は目立つから、作ってもらうにしたって1つね。お金は持ってるけど、無駄に使うのも……」


 「余ってるっていえば、ドリュー鉄も余ってるんだけど、どうする? 私としては使わない物だからタダでもいいよ。置いといても邪魔だし、必要になったら夜中にこっそりフィグレイオのダンジョンに行って、ワイバーンを乱獲すればいいしね」


 「ワイバーンって乱獲できる魔物だったのね……。それはともかく、ドリュー鉄なら何か使い勝手の良い刃物だと助かるかな? ショートソードの長さまでは要らないんだけど、使いやすい刃物」


 「それこそ、このククリナイフじゃ駄目なの?」



 ミクはカルティクにククリナイフを抜いて渡す。カルティクは色々な角度からククリナイフを見たものの、納得は出来なかったようだ。これではないらしい。



 「コレじゃないわねえ。何より、出来れば真っ直ぐな刃がいいわ。少しくらい曲がっていてもいいけど、これは曲がり過ぎよ。刃の厚みは良いんだけど……」


 「それこそ鉈か何かにしたらどうだい? あれらも戦闘用の物は振り回しやすくて優秀だよ?」


 「鉈かぁ……昔使ってた事はあるんだけど、あまり良い感じじゃなかったのよ。どうしても叩きつけるようになって、切るって感じじゃないの」


 「ああ、切り裂く武器が欲しいのか。それならマチェーテか、それともシャルにも作った合口かな? あれも長く作っちゃいけない訳じゃないし。まあ、長くしすぎると直刀になっちゃうけど」


 「あいくち?」


 「合口っていうのはコレさ。ミクに作ってもらった3本の短剣の1つだよ。全部ワイバーンの牙で作ってもらったんだ」


 「………うん、これいいわね。これの刃を……40センチかな? それぐらいにしたのが欲しい。それがドリュー鉄で、ワイバーン素材はミクの使ってた槍。アレの穂先をワイバーンの牙で作れない?」


 「穂先だけじゃなくて、丸ごとワイバーン素材で作れるけど? ……ほら」



 ミクが自分の槍を渡すと、それを受け取ったカルティクが唖然としている。全てワイバーン素材で出来ているからだろう。


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