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0875・東のダンジョンへと出発




 Side:ミク



 一夜開けて次の日。朝から食堂に行って朝食を食べた後、私達は朝の乗合馬車に乗ってダンジョンへと向かう。その車中にはハンターと思わしき連中しか乗っていなかった。どいつもこつも似たような装備であり、同じような物を着けている。


 防具には拘ると聞いていたが基本は殆ど変わらない。だいたいが鉄の分厚い胸鎧とグリーブを着けている。そこにワンポイントを入れたり、なにやら仲間内で同じマークを入れたりしている。あれで味方を識別しているのかもしれない。


 だとしても拘る必要があるんだろうかと思えるような代物だ。全員が全員似たような装備なので、識別の為にしていると言われた方がしっくりくる。まるで個性の無い集団。


 とはいえ、そこまで多種多様な装備が田舎にある筈もないので、そういう意味では止むを得ないという事情もあるのかもしれないね。そんな暇な旅路を大凡おおよそ7キロほど進むとダンジョンに着いた。


 ダンジョン近くには屋台などが出ており、買い食いなどが出来る様になっている。どうやら大多数のハンターはここで昼食を買っていくか食べるようだ。私達は問題ないのでスルーし、ダンジョン前に居る門番にハンター証を見せて中に入る。


 ハンター協会の職員なのか、それともそういう仕事を請けているハンターなのかは知らないが、ほぼスルーで通してくれたのでそのまま進む。ダンジョンは階段を下りた先からスタートするみたいだが、最初のフロアは何だろう?。


 私達が階段を下りた先に見えたのは草原。どうやら中がダンジョン特有の空間となっていて、空間が別になっているらしい。階段の途中で空間を移動させられた感覚があったが、どうやらそういう事のようだ。



 「階段の途中から別の空間になっているから、ダンジョンが無くなれば石の階段が10段ほどしか残らないわね。全てのダンジョンがそうなのか、たまたまこのダンジョンだけがそうなのかは不明よ」


 「そんな事なら最初の一段目どころか階段そのものをダンジョンにすればいいじゃない。何でわざわざ途中まで普通の階段にしてるのよ。訳が分からないわね」


 「おそらくだけど、地面に直接ダンジョンを出せない、もしくは出すと面倒な事になる理由でもあるんじゃないかしら? 例えば攻められて潰される確率が上がるとかね。物量で攻められると厳しいでしょ?」


 「成る程。攻めて来る者達の数を制限する為に、意図的に入り口を狭くしている訳ね。それで一斉に入ってこれない間に手を尽くすと」


 「仮にそうだとすると、ダンジョンマスター同士で争ってるのかしら? 確かダンジョンマスターって不老よね? 殺されるのと病気では死ぬけど、それ以外では死なないって言ってたし」


 「あのウェイトレスの言う事が本当かどうかは知らないけど、事実だとしたら……客の取り合いでもしてるのかもね。私も宿屋を経営してたから分かるけど、客の取り合いは戦争と変わらないもの」


 「あんたの儲からなくてもいい宿屋と一緒にすんじゃないって、世の中の全ての宿屋が怒るわよ? まあ他にも色々と経営してるから儲からなくてもいいんだけども……」


 「それはね。……っと、モンスターが出てきたわ。あの兎だけど誰が殺る?」


 「まずはイリュかカルティクでいいんじゃない? 私は昨夜試射してるからパス。撃った事が無い3人が撃てばいいんだけど、アレッサは魔法銃があるから後ね」


 「ういうい」


 「じゃあ、私から撃つけど……なんか緊張するわね。初めて使う武器だからかもしれないけど、とりあえず落ち着いて狙いましょうか」



 イリュが足を肩幅に開き、アイテムポーチからリボルバーを取り出した。


 右手を引き鉄に掛けて右手の親指で撃鉄を起こし、両腕を前に出して構える。いわゆるアイソセレス・スタンスという構え方だ。体と腕が二等辺三角形を作るように持ち、相手に対し真っ直ぐ正対している。


 いきなり片手で撃ったりなどせず、まずはスタンダードな構えで銃を保持。そして兎のモンスターに狙いを定めて撃つ。


 構えているリボルバーから「バン!」という音が鳴り、兎はビックリして逃げて行った。どうやらイリュが狙っていたよりは右にズレたらしい



 「思っているより難しいわね。初めてで成功する筈は無いんだけど、思っているより右に逸れた感じよ。離れた所から撃って倒せるのは良いけど、なかなか慣れるのに時間が掛かりそう」


 「じゃあ、次は私ね」



 そう言ってカルティクが別の兎をターゲットに選ぶ。カルティク自身は【気配察知】を持っていた事もあり、どこに魔物が居るかは分かっている。まあ、今はイリュも空間ごと把握しているし、カルティクも闇影で把握出来るんだけどね。


 カルティクは相手に対し斜めになり、右腕を伸ばして構えて左手を添える。いわゆるウィーバー・スタンスという構え方だ。どちらもスタンダードな構えであり、カルティクは狙い澄まして発砲。しかしこちらも当たらなかった。


 微妙に弾が左に逸れている。やはり何でもそうだけど、練習しないと使い熟せないみたい。次はアレッサか。



 「ま、私なら余裕でしょ。……言っとくけど、別にフリじゃないわよ?」


 「分かってるから、さっさと撃ちなさい」



 アレッサもウィーバー・スタンスで構え、狙って発砲。弾は見事に当たったけど、小さな手に当たっただけだからか、むしろ怒って襲ってきた。その兎をアレッサは蹴り飛ばし、派手に飛んでいった兎は一撃で死亡したようだ。



 「どっちで倒してんのよ、どっちで。良い意味でフリだったのか、悪い意味でフリだったのか分からないわね。一応倒したんだから、ちゃんと持って帰りなさいよ」


 「分かってるって、私だって流石に………あー、うん。潰れててこりゃ駄目だわ。血を全部抜き取って放置しとく」


 「どんだけの力で蹴ってるんだか……って言いたいんだけど、私達も気をつけておかないとああなるわね。特にイリュは気をつけなさいよ? 怒ると周りが見えなくなるんだから」


 「大丈夫、大丈夫。さーて、次はどいつを狙おうかなー」


 「右から左に聞き流したわね。本当に昔そっくりじゃないの。また同じ事になって………も、ミクが居るから大丈夫ね。流石に昔のように好き勝手に行動して、その所為で巻き込まれ続ける事も無いか」



 その言葉もイリュはスルーし、再び兎を見つけたので発砲。今度は見事に体の中心に当たった。しかし傷がついてしまっているので、買い取り査定は高くないだろうね。ここは近接武器に比べてマイナスかな?。


 私は近くに居る兎のモンスターに近付きショットガンを撃った。それで兎は倒せたものの穴だらけになってしまったので、アレッサに血を吸わせて捨てる事に。



 「兎にショットガンは過剰だったみたい。大人しくリボルバーを撃つか、それとも弓を使うかだね。とはいえ変に思われてもアレだし、予備に持ってたリボルバーを撃とう」


 「そうした方がいいわ。変なのに目をつけられても困るし、おかしな目で見られるのも面倒だもの」



 私はリボルバーをアイソセレス・スタンスで撃つ。「バン!」と音が鳴るものの、撃った衝撃は見えず微動だにしない私の手。完全に衝撃を押さえ込んだけど、これは無理にしない方がいいね。衝撃がその分リボルバーに集中するから良くない。


 ある程度の衝撃でズレるのは許容した方がいい。そう思っているとイリュが渡しておいた小銃を取り出した。あちらの方が安定しているから、装填数が1発とはいえ使いやすいだろう。


 イリュはボルトに直結したボルトハンドルを起こしてボルトを回転させる。薬室の閉鎖を解いたらボルトを後方に引いて開け、弾を入れたらボルトを前方に押して弾を薬室に装填する。


 そしてボルトハンドルを倒してボルトを回転させ薬室を閉鎖。これで打つ準備は完了した。後はイリュが撃つだけだね。


 イリュは銃床を肩に当て、狙いを澄ませると発砲。見事に兎の頭を撃ち抜いた。やはり小銃の方が安定するのは間違いないね。それにしてもやっぱり変だ。


 ボルトアクション方式の小銃だって、撃つ弾が入る薬室の下に弾を入れるところがあった筈。ボルトを引いて弾を排莢したら、バネの力で下の弾が上に競り上がってくる。そしてボルトを押し込んで弾を薬室に装填。


 これだけで済むのにそれが無い? ………やっぱり権力機構か治安維持機構、つまり軍しか連発式の小銃を持ってないとみて間違い無いね。機構としては簡単なのに民生品には無いんだからさ。


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