0870・ウェイトレスからの情報と銃の店
Side:ミク
皿とフォークが描かれた看板の店に入ったけど、そこには態度の悪いウェイトレスが居たので善人に書き換えた。そしてその後にランチセットを頼み、現在は色々と話を聞いている最中。
モルというのは貨幣の単位で、紙幣の単位はダルと言うそうだ。そして100モルで1ダルとなるらしい。銭と円、セントとドルみたいなものかな? ある意味で分かりやすいと思うし、私達もすぐに分かった。
この町の名は東ガウトレア第2南町と言うらしく、何故か方角が2つも入っている不思議な名前だった。ガウトレアというのはこの辺りの地域を指すらしく、そのガウトレアの東側の南にある2つ目の町だからそんな名前のようだ。
ある意味で分かりやすいが、ある意味で分かり難い。ちなみに村は沢山あるらしいが、村には名前が無いそうだ。単に南村とか北村と呼ばれるらしく、最寄の町からの方角しか名前に付いていない。
これは村が大量にあるからと、町に売りに行く事が普通だからだそうだ。村も自警団みたいなものがあり、そこでも銃が使われている。そうやって身を守って生きているみたい。銃があるから誰でも魔物を狩れる訳か。
とはいえ魔物も賢いらしく、旅をしている人間なんかを襲う事が多いんだってさ。特に1人で旅をしていると狙われやすいらしい。銃で戦える弊害だろうね、実力が無いのに1人旅をするのは。
それと魔物を狩る仕事はハンターというそうだけど、これはハンター協会に所属しなければいけないらしい。獲物を獲る事は好きに出来るらしいが、ダンジョンに入るには絶対にハンターになるしかないようだ。
どうもハンター協会自体がダンジョンの入出を牛耳っているらしく、勝手に入ろうとすると色々と問題になるらしい。ハンター協会そのものが権力機構と癒着しているので無理なようだね。厄介な事だよ、まったく。
この町にもハンター協会はあるから行ってみる事を薦められたけど、さてどうするかな? ……それはともかくとして、ベッドの看板が宿、銃の看板が武具屋、狼の看板がハンター協会と決まっているそうだ。これは何処でも同じらしい。
情報料として10ダル渡しておいたけど、本人は恐縮していた。ちなみにウェイトレスの態度が悪かった理由は、昨夜自分を〝買った〟客が朝まで寝かせてくれなかった所為みたい。
「ここって酒場じゃないわよね?」
「酒場も兼ねてますよ。朝から昼は普通の食堂で、夜は酒場という形で営業をしています。夜はウェイトレスも多いですし、この店のメインの売り上げはそっちなんですよ。それに今の時間はランチが終わったところですし」
「成る程ねー。それで客が全く居なかった訳だ」
「そうですよ。そもそもお客さん達は何故こんな時間に来たんですか?」
「私達は向こうの道の上で盗賊に襲われたんだよ。返り討ちにしたんだけどね、その所為で到着時刻がズレたんだ」
「ああ、それは災難でしたね。ここ最近、聞いた事も無い盗賊団が近くに出没するって聞きましたよ。こんな田舎で盗賊をやるくらいだから何も知らないバカか、それとも都会で敗れて流れて来たんだろうって」
「<荒野の暴れ馬>とか名乗ってたわね。聞いた事ないから無視したけど、有名だったのかしら?」
「うーん……。色々なお客を相手にしていますけど、そんな名前の盗賊団を聞いた事はありませんね。都会の方なら分かりませんけど、ここらは田舎ですから何とも……」
「まあ、ありがとう。色々と助かったよ、情報」
「いえ、こちらこそ失礼しました」
善人になってるから態度が全く違うけど、今後はこうやって情報を仕入れるかな? 裏の情報ならともかく、表の情報ならこの形でいいと思う。どうせ悪人じゃないと善人に変えないんだしさ。
食事の終わった私達は看板にベッドの絵が描いてある宿に行き、とりあえずで2日部屋をとった。4人部屋で20ダル。つまり4人部屋は1日10ダルのようだ。他の部屋は知らないが、特に高いとは思わない値段だね。
宿を確保した私達は、次に銃が描かれた看板の武具屋に移動。中に入って色々と調べる。やはり防具は鉄で出来た鎧だ。それも鉄板が分厚く銃の弾を防げるようになっている。
ライフルが刻まれているので滑空銃よりも破壊力は高いし、そうなると分厚い胸鎧が主流になるのは仕方ない。プレートアーマーじゃ貫かれる恐れがある。そうなると全身鎧は卒業だよねえ。守れない鈍重な鎧は捨てるしかなくなる。
それを確認し終わったら次は銃だ。他にもナイフなどがあったが、ドラゴン素材のナイフがある以上は鋼のナイフなんてどうでもいい。っと、それよりも売るのが先か。
「この銃を売りたいんだけど、買い取りってしてる?」
私は無愛想なオッサン店主に話しかけ、アイテムバッグから銃を取り出す。盗賊どもから奪ったリボルバー拳銃だけど、【浄滅】で綺麗にしてあるので十分使える筈だ。オッサンは銃を手に取ると色々と確認し始めた。
「ふーむ………随分と綺麗だな? 磨耗している部分もあるから新品ではないのは分かるが、綺麗さだけで言えば新品と変わらんぞ。これなら1丁32ダルというところか。中古品だから値段が下がるのは仕方ないぞ?」
「まあ、中古品だからそれでいいよ。代わりに後17丁あるから全部買い取ってもらう。これだけあっても邪魔だからさ」
「……これと同じように綺麗なようだから買い取ってもいいが、全部キッチリ調べさせてもらうぞ?」
「そりゃ当然でしょ。終わるまで私は適当な銃でも見てるよ」
そう言って飾られている銃を確認していく。小さいデリンジャーみたいな物から、大型のリボルバー拳銃までが並んでいる。こうして比較すると、盗賊が使ってたのは普通の大きさだね。大きめの奴は何が違うんだろう? 口径は同じみたいなのに……。
「この大型拳銃。口径が同じって事は使う弾も同じなんでしょ? その割には銃身が長いし、何の為にこんな大きな形してるの?」
「あん? ……ああ、それか。それは銃身を長くする事で安定して真っ直ぐ飛ぶようにしてあるんだよ。それと大きい理由は8発装填できるからだ。他の6発より2発多いのは、その2発で助かる事もあるからだな」
「撃ち尽くしても倒せなかったら途端にピンチだからね。1発でも多く入る方が良いか……ただ重さとの兼ね合いもあるだろうけど」
「そりゃそうでしょ。拳銃の癖に重過ぎて使えないんじゃ話にならないもの。それならショットガンの方が良いでしょ、威力も高いんだからさ。とはいえ狙えないのは欠点だけど」
「ショットガンなんざバラ撒くもんだ。狙うようなもんじゃねえよ。都会の武器屋に行きゃスナイパーライフルも売ってるだろうが、こんな田舎にゃそもそも入っくる事は無い。ありゃ弾も特別製だからな」
「おまけに拳銃とは比べ物にならないほど高いんでしょ? そんなもの誰が使うのか知らないけど」
「騎兵団の中のスナイパー部隊が主に使ってるらしいが、国のお抱えでないとコストに見合ってねえだろうよ。魔物を狩るにしてもダンジョンに行くにしても、スナイパーライフルは要らねえさ。1発しか装填できねえしな」
「それじゃあ、外したら一環の終わりじゃない」
「だからこそ普通のハンターが使ったりしねえんだよ。ハンターの大半は普通に拳銃を使ってるし、むしろ防具の方に色々と拘ってるな」
防具ねえ。拘ったとしても限度があると思うけど……まあ、そこは個人の好きにするところか。
エピソード4の人物紹介を更新しました




