0867・第4惑星の始まりと盗賊団
Side:カルティク
私達はミクの本体空間である程度の修行を行った。その結果、自分の能力をようやく把握するに至ったものの、幻想精霊種というのはメチャクチャだったと判明。何といっても私は<闇影>だが、闇と影を自在に操る事が出来たのだ。
闇や影で敵を拘束する事も出来るし、逆に槍の形にして貫く事も出来る。更には自身の体を闇にする事で、相手の攻撃を透過させる事すら出来たのだ。この力があれば危険な惑星へ行くのもOKが出る筈だと、私が呆れたのは言うまでも無い。
今は本体空間に座って瞑想をしているけれど、呆れた記憶ばかりが思い出されてきて全くと言っていいほど心が凪にならない。こういうところは私も人間種と変わらないなと思う。
「さて、ドラゴン素材のナイフも渡したし、新しいマジックキラーのナイフも渡した。武器も全て破壊して新しい物に一新したし、防具も全て新品になっている。とはいえ次に行く場所では鎧は目立つかもしれんがな」
「銃が使われている星だっけ? 強力な武器っぽいから鎧を着ていても意味ない?」
「いや、その星にはその星にあった鎧があるだろうが、銃があるならそこまで重い鎧は着けていないだろう。重くて動けませんは話にならんしな。逆に言えば金属製の胸鎧ぐらいならば着けているんじゃないか?」
「ふーん。いわゆる火薬式の銃なのね? ミクが作ったバズーカみたいな魔法で作った物じゃないと……」
「いや、そこまでは私にも分からんのだ。これから送られるのだし、その星に降り立って調べてみないと何とも言えん。神は詳細を教えてはくれぬしな。それよりそろそろ姿を戻したらどうだ? 男の姿が気になるのは分かるがな」
そう、私とイリュは現在男の姿に変わっている。何といっても男の姿なんて初めてだし、何処がどう違うのか色々と知りたいと思ったからだ。そしてその結果、やはりと言っていいのか筋肉量など色々と違う事が分かっている。
正直に言って戦う事だけを考えれば男性の体なのだが、体の違いによる違和感が大き過ぎる。繊細に力加減を制御できず大雑把になってしまうので、結局は女性の姿がメインになるだろう。慣れている姿が一番だ。
「新しい星に行くのもそろそろでしょうけど、まず最初にミクが行くのよね? 今回はレティーとセリオもお留守番みたいだけど」
「そう。私が先に行って、向こうで3人を出す形ね。あと2匹は死んでしまう可能性があるから流石に連れて行けないよ。銃火器の威力が高すぎるのが原因だけど、こればっかりは仕方ない」
「まあ、知り合いが死ぬのは見たくないから、私達みたいなのじゃないと危険っていうのは分かりやすいけどね。でもイリュの格好は大丈夫なわけ? 一番男どもが五月蝿い姿になってるじゃん」
「あら? 全く違う星に行くんだから、これぐらい良いじゃないの。男が近付いてきてちょっかい掛けてきたらブッ殺せばいいんでしょ? 荒れている星なんだし」
「流石にそれはやり過ぎじゃない? 昔の姿に戻ってて綺麗だけどさ。ま、アレッサと同じ背格好が2人じゃアレだから、大人の姿で居てくれると助かるんだけどね」
「<真・吸血鬼族>になって血を吸ったから少しは大きくなったっての! こう見えて数千人の血を吸ったんだから、多少は変化が出てるわよ」
「「………」」
アレッサは胸を張っているけど、何処をどう見ても変わっていないようにしか見えない。変わったって本人が思い込んでるだけなんじゃないの? 流石のイリュも可哀想になったからかツッコミも入れないわね。私もそっとしておこうっと。
そんな事をしていた時、再び大きな手に耳が大量に付いた神様が現れた。相変わらずだけど、神様っていきなりやってくるのよ。ノックも無しに突然来るから驚いちゃうし、せめて何かしら事前にしてほしい。
「来たという事は分体を送る時間が来たという事か」
「その通りだ。次の星はかなり穢れておるから気をつけよ。相当程度の荒れ具合であり、町中で決闘や死人が出るなど当たり前にある。あのスライムを連れて行けぬ以上は、拷問でも何でもして情報を収集するがいい」
「町中で決闘……? それを周りが咎めもしないなら、治安が守られていない?」
「お前を送るところは盗賊の拠点のすぐ近くだ。まずはそいつらを皆殺しにして当座の資金を得るとよい。ゴミは須らく処分せよ」
「当然だ」
「うむ。それでは分体を送る。ではな」
神様が消えると同時にミクも居なくなった。どうやら無事に次なる星に飛んだようだ。いつ着くのかは知らないけど。
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Side:ミク
無事に到着したが、そこは暗い雲に覆われた暗鬱とした森の中だった。実際に森の中だからというだけじゃなく、空も暗い雲だから余計に陰気臭く気分の落ち込む光景だ。そんな中、近くから人間種の反応が複数感じられる。
おそらくそちら方向に盗賊が居るのだろうが、まずは3人を転送するのが先だ。右腕を肉塊に変えた私は、そこからアレッサ、イリュディナ、カルティクの3人を出す。3人ともドラゴン皮のジャケットとズボンにブーツだけど、インナーは全てガイアの日本製だ。
この星へは持って来ても問題ないらしいので、私達はガイアで衣料品、特に下着関係を買い漁った。私自身はどうでもよかったんだけど、やはり絹でも肌触りが良くないらしいので、最も良い日本製で行く事にしたのだ。
ちなみに私のドラゴン皮のジャケットは暗い赤でアレッサは灰、イリュディナが白でカルティクが黒となっている。ズボンに関しては皮の色である薄い緑でブーツは濃い緑だ。元々グリーンドラゴンの皮は薄い緑なので、着色しないとズボンのようになる。
そしてブーツの可動域以外には鱗を貼り付けてある。特に足の甲部分がそうなので、余計に濃い緑色の印象を抱く仕上がりだ。可動域は皮と同じ薄緑なんだけどね。
「さて、皆も分かっていると思うけど、近くに大量に人間種が居る場所がある。そこが盗賊の根城だと思うんだけど……こっちに向かってる?」
何故か気配がこちらに向かって移動を開始した。不思議に思ったものの、3人に【念話】を使って隠れるように言う。私は透明トカゲの状態でファーダとノノを出し、敵が来る方向を調べさせる。
「おい、そこに居る4人! 今すぐ出てきやがれ! そこに居るのは分かってんだぞ!」
真っ直ぐに私達の方に来たという事は、こいつら【気配察知】を持っているね? 銃のある世界では【気配察知】スキル程度では活躍できないのかもしれない。そんな風に思いながらも隠れていると、突然敵は発砲してきた。
「バン!」と音が鳴ると、私が盾にしている木に弾が当たったようだ。どうやら本当にこちらが居る場所が分かっているらしい。私はカイトシールドを出して手に持ちつつ、しゃがんでいた態勢から立ち上がって話す。
「お前達がこの先にある根城に居座っている盗賊か。覚悟は出来ているな?」
「ケッ! どこのバウンティハンターか知らねえが、オレ達を簡単に潰せるなどと思ってるとは片腹痛えぜ! <荒野の暴れ馬>を舐めんじゃねーぞ!!」
男達は6人居たが、私しか見えていないので一気に撃って来た。しかしカイトシールドで全て防ぎ一発も私には届かない。その間にファーダとノノが麻痺の香りを触手で注入し、男達を完全に麻痺させた。
「もう立っていいよ、3人とも」
「ふう……。それにしても、こいつら簡単に撃ち過ぎじゃない? 弾だって安くはない筈でしょうに、その割にはバンバン撃つわねえ。そしてミクのカイトシールドは傷一つ付いていないか。やっぱり銃弾は防げるみたいで何よりよ」
「そうね。ドラゴン素材のカイトシールドで防げないとなるとちょっとヤバイもの。それよりあの男達はどうする?」
「適当に持ってる物を回収しておいて、後はミクに食べてもらえばいいわよ。そしたら死体も処理できて後腐れもないし」
「一応私でも膀胱と腸は捨てて行くんだけどね。流石に小便や糞の入っている部分なんて食べないよ」
「すごーく生々しいから、話してないでさっさと終わらせましょ」
イリュに促されるまま、私は全てを剥ぎ取った後で貪り食う。そして終わったら、遠くの方に向かって膀胱と腸を射出した。
さてと、まだまだ隠れている奴等は居るし、これからが盗賊退治の本番だ。




