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0865・リョークスル帝国・無敵の鋼鉄団の終わり




 Side:テイメリア・フェルス・ゴールダーム



 私達は<無敵の鋼鉄団>の団長が指揮する者達と戦っていますが、大した実力でもありません。この者達が本当に王軍を倒せたのでしょうか? 不思議でしかありませんし、何故そんな事が出来たのか理解出来ません。


 ここに居る者達が全てではないとはいえ、あまりにも弱すぎます。一斉にタイミングを合わせて攻撃してくるのは見事ですし、その後に素早く防御態勢に移行。戦い方としては隙の少ない優秀なものでしょう。


 そして後ろに居る者が矢を射掛けてきますし、そういう意味でも隙の少ない布陣と言えますね。もちろん戦争時のような大人数と戦うなら、ですが。


 完全に戦争の形になるとまた違いますので評価は変わりますけれど、ある程度の大人数と戦うならそれで良いでしょう。


 私達は敵の攻撃を最小限でかわし、攻撃するフリをして防御を意識させる。そんな事を繰り返して遊んでいます。そうでもしなければ暇で仕方がありません。倒そうと思えば簡単に終わらせられるのですが、それでは逃げられる恐れがあります。


 ここで釘付けにしておくのが私達のすべき事なのですから、今は適当にお相手をしてあげるのが一番ですね。



 「くっ、まだか! それなりの時間を戦っている筈だろう。このままじゃマズい……」


 「団長。あの者達、もしかしたらワザと動いていないのではありませんか? 敵に攻撃させてワザと避け、その後に攻めるフリをする。先ほどからそういう行動をしているようにしか見えません」


 「攻めるフリ? という事は敵にこちらを殺すつもりは無い?」


 「そんな事は無いわよ? まだ殺すなと指示が出ているから生かしているだけ。殺してもいいならさっさと殺すわよ。いちいちザコを相手にするのも面倒なんだからさ」


 「そうですね。タイミングを合わせて剣を振り、防御も同じくタイミングを合わせて盾で防ぐ。戦争時ならそれなりに役に立つんでしょうけど、少人数の相手にそれを続ける意味があるんでしょうか? あと、妙に敵のスタミナが続くなぁ、とは思います」


 「という事は指揮系スキルのうえ、スタミナの消費が減るって効果かねえ? そうなると厄介だし、王軍相手に勝てたというのも分からなくはない。破格のスキル性能だろうさ。あくまでも戦争ならね」


 「少人数ならスタミナよりも強さの方が求められるから、これじゃあ強いとは言えない。今は私達が手加減してるからいいけど、本気出して戦っていいなら一瞬で崩壊するよ。もっと頑張った方がいいんじゃない?」


 「皆、いちいち敵の言葉に耳を貸すな。大事なのは自分を見失わずに繰り返す事だ。そうやってオレ達は勝ってきただろう!」


 「「「「「「「「「「おおっ!!」」」」」」」」」」


 「今まで勝ってきた方法だからって、これからも勝てる保証なんて無いのにねえ。団長がコレじゃあ、その程度の奴等にしかなれないだろう。ま、土地を乗っ取るような奴等にはお似合いだとは思うけど」


 「何を勝手な事を! ここの領地の者達が圧政に喘いでいた事も知らない癖に!!」


 「知らないね、そんな事は。領地の者を言い訳にすれば、お前達の罪が無くなる訳じゃない」


 「やっと来たわね、ミク、ファーダ、ノノ。3人が来たって事は手加減も終わりでいいのよね?」


 「構わないよ。そこの団長と横の女以外は全員殺せ」



 ミクがそう言うやいなや、私達は一気に目の前の者達を殺害します。一足で近付き頭から首元まで薙刀の刃が入ると、その一撃で敵の傭兵は倒れます。【夢幻搾精】を使わなくても、私だってそれなりには強いのですよ。


 アレッサはウォーアックスで真っ二つに、シャルはさっさと首を突き殺し、ロフェルは金棒で殴り潰し、マハルはメイスで頭を潰してしまいました。更にそれぞれが暴れ、あっと言う間に2人しか残っていません。



 「何故、こんな……」


 「もうこの町に悪人は残っていない。おそらくお前達<無敵の鋼鉄団>は、ほぼ全滅したと言っていいだろう。中には悪人でない団員も居たかもしれんが、それは見逃しても問題ないからな」


 「つまりお前達はここで終わりってわけ。皆に手を出させなかったのは、お前を逃がさない為と、その間に悪人を皆殺しにする為だ。そしてそれも終わったので私達が出てきたという事になる」


 「お前達が………! 何故お前達は我々にこんな事を!!」


 「まあ、ここで死ぬんだし、死ぬ前に教えてやってもいい。………この短剣を知っているか?」


 「………いや、知らないな。それがいったい何だと言うんだ?」


 「そうか。これを私に渡して依頼してきた者が居る。依頼内容は<無敵の鋼鉄団>への復讐。領地を奪い家族を殺した<無敵の鋼鉄団>への復讐だ」


 「「………」」


 「お前達が何を考えて旧侯爵家を襲ったかは知らんし興味も無い。だがやった事に対して復讐をされるのは当然の事だ。少なくともお前達は旧侯爵家の者の殆どを殺したのだからな」


 「違う! 団長はそこまでしようとなどしていなかった! にも関わらず、あのバカどもが……!!」


 「そんな事は関係無い。殺された者達にとって、そんな事は何の関係も無いのだ。だからこそ俺達はここに来るまでの村々でも<無敵の鋼鉄団>の連中を殺してきたのだからな」


 「「なっ!?」」


 「報告が届いていなかったみたいだけど、それぞれの村の村人も思うところがあったんだろうね? だからお前達には報告もしなかった。既に<無敵の鋼鉄団>は壊滅してるんだよ。後はお前達だけだ」



 ミクは宝物の短剣を抜き、ゆっくりと歩いて近付きます。それに対して女の方が弓を撃ちましたが、ミクは鞘を持っている左手であっさりと矢を弾きました。相変わらずですが、目の前で見ると唖然としそうになりますね。



 「そ、そんなバカな……」



 団長の男も女も呆然としていますが、ミクは一足で近付くと短剣を男の首に刺し込みました。「ゴッ!?」という声が出た事で、本人もようやく短剣を刺し込まれた事に気付いたようですね。



 「私達が請けた依頼は復讐だ。だからこそ、その切れない短剣でお前の命を奪う。精々死ぬまでの間、ゆっくりと苦しむがいい。お前が死ぬまで見届けてやる」


 「だ、団長!! お前、よくもぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」



 横に居た女が激昂してミクに襲いかかろうとしますが、ミクは叩きつけようとする弓をかわして女を捕まえました。


 何かをするのでしょうか? そう思っていると女がいきなり倒れます。



 「お前は悪人ではないので殺さない。しかし私達が去るまでは少々麻痺していてもらう。いちいち殺そうとしてくるのを捌くのも面倒だからね」


 「お前達<無敵の鋼鉄団>は終わりだ。最初から領地を奪うなどという事をせねば、こんな結末にはならなかったものを……。全ては欲を出した己らの責任だ。甘んじて受け入れろ」


 「お……えら……だん………りっ……」


 「何か言いたいのかもしれんが、麻痺していては分からんな。それに、お前も愚かなものだ。スキルを手に入れて調子に乗ったか? それともこんな異世界で俺tueeeでもしたかったのか? どちらにしても愚かに過ぎる」


 「ぐ……あ……ぶ……げぅ………」


 「何が言いたいかは知らないけど、どうせ何故知ってるってトコでしょ? 下らないねえ。元大学生なら大人しくしてればいいのに、自分の人生がラノベのように上手くいくとでも思った? それは流石に頭が悪いとしか言い様が無いだろう。だから死ぬんだよ」



 団長の男が目を見開いて驚き、ミクとファーダの言葉を聞きながら死んだようです。ミクは短剣を抜いた後、その切れない宝剣で無理矢理に首を切り落とし、首の断面に宝剣と鞘を突き刺しました。


 何故そんな事をと思っていると、首を凍らせたミクがアイテムバッグに仕舞い説明を始めます。



 「後はこの凍らせた首を、リョークスル帝国皇帝の執務室に置いてくれば終わり。これで向こうも<無敵の鋼鉄団>が壊滅した事を知るでしょ。そしておそらくは旧侯爵家による復讐が成された事も」


 「その短剣はおそらく旧侯爵家の宝物でしょうしね。それを知っていれば旧侯爵家の者が復讐したと分かるでしょ。それはともかく、この女はどうするの?」


 「こいつは私達がここから去る前に霊薬を飲ませる。そうすれば回復するし、町の者に襲われる事も無いでしょ。私達にしてみれば何の興味も無い、どうでもいい者でしかないしね。それに【身体強化】をして走って逃げれば追いつけないし」


 「確かに。それじゃそろそろ逃げるか。あたし達は先に行っとくよ。アレッサは既にノノを抱えてるけど、動きが早いねえ……」



 呆れながらも私達は町から逃げ出します。ミクが霊薬を飲ませたら女性は回復しますので、そうするとこちらの命を狙ってくるでしょう。


 それでも私達の命には届きませんが、悪人ではないだけに面倒です。ここは追いつけない場所まで逃げるに限りますね。


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