0859・リョーディカ連合・カイドルの裏側
Side:ノノ
リョーディカ連合のカイドル。その3つ目の町に来ている。現在は夜なので、我らは悪人を喰らっての情報収集をしている最中だ。まあ、情報は主にレティーに任せ、我らは悪人を見つけて貪っているだけとなる。
流石にこの状況では猫の体よりも便利なムカデの姿の方が楽なのだが、最近は空間を超えて喰らう事を始めたからか、猫である我はわざわざ姿を変える必要が無い。まあ、そもそも裸だからな。服も着ておらんので透明化だけで済むのだ。
窓から出る際にはムカデの姿になるが、猫の姿でも足音は殆どさせんのでムカデよりも素早い姿の方が動き回りやすい。それもあって町中を動き回っている今は猫の姿をしている。そもそも透明なので誰にも見えぬしな。
【掌握】で悪人を見つけ貪っていると、地下に隠された物を発見した。ここの建物は……カイドルの倉庫か。これはキナ臭いものを見つけたのかもしれんな。とりあえずムカデになって侵入するか。
カイドルは商人組織だが、カイドルの支配している地域内には個人の商人も存在している。カイドルは個人規模の者達を排除していないようなのだ。何かしらの理由があると思われるが、そこは分かっておらん。
さてさて、倉庫内の………ココだな。ここの下に隠し階段があるのは分かっておる。そもそも【掌握】で確認済みなのだからして、我らから隠す事など不可能なのだ。小麦の入った木箱を触手で持ち上げて動かし、ほんの僅かな隙間を空ける。
そこから地下へと侵入し、階段を下っていくと扉を発見。小さなスリットが付いている扉だったので、その隙間から侵入する。どうやら空気抜きの為に空いていたのだろう。中に入ると幾つもの木箱が並んでいるのが分かる。
我はそれを開けて中を確認する。木箱の蓋は釘などで打ちつけられてはいなかったので、開けても戻しておけばバレんだろう。仮にバレたところで、という気はするがな。それはともかく中を調べねば……。
(これはどう考えてもアレな薬の原料であるな。ガイアで色々と確認した中にもコレと同じ成分を多く含んだ物がある。何処の星でもやる事は同じか、下らん)
薬物が入った木箱だと分かった為、我は全ての木箱を回収していく。本体空間へと全て収納し、地下倉庫には何も無い状態になった。全て終わったら町の外に出て燃やしてしまえばよい。今はそれよりも外に出て悪人を喰う続きだ。
『ノノ、町の方は全て終わった。ミクは宿に帰るようだから、俺達は町の外へと出て危険な薬物原料を焼く事にしよう』
『了解した。こちらは見つからぬように東へと少し移動しようかと思う。焼いていると煙が昇るからな、誰も見ていないと思うが一応気をつけておいた方が良い』
そう言って我は町の壁を跳び越えて外へと出た。そのまま東へと移動し、村どころか道すらない場所で木箱を出す。すぐにファーダも来て木箱を出していき、纏めて全てを燃やしていく。木箱は勿体ない気もするが、何が付着しているか分からんからな。
そんな木箱ごと燃やしつつ、我らは辺りを監視する。もしかしたら何者かが興味を持ってこちらへ来るかもしれん。モンスターも煙を吸う事でおかしくなる可能性もあるし、そこは警戒しておかねば。
「あまり気にする必要は無いと思うぞ? そこまで周りに気配などを感じんからな。むしろ気をつけるべきは上かもしれん」
「上……空か。確かに煙を吸うなら、そちらの方が可能性が高いな。とはいえ今は深夜だし、そこまで気を張る必要は無さそうだ」
少し我も気を抜き、ゆっくりと立ち昇る煙を見つつレティーからの情報を聞く。やはり開拓を推進して投資までしていた理由は危険な薬物らしい。輸出している主な物はそれで、カイドル以外のリョーディカ連合内に売り捌いているようだ。
何故わざわざ連合内限定で売っているのか? 幾つか考えられるが決定打といえる情報は無い。どうやらその辺りは幹部ぐらいしか知らぬようだな。この町はまだ下っ端の町なのだろう。次に行くしかない、か。
全て焼き終わった我らは【浄滅】を使って綺麗にし、一度本体空間へと戻る。そして我はミクの側に再出現。後は朝まで関わりを最低限に落とすだけだ。朝まで休もう。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Side:シャルティア
カイドル3つ目の町を出て街道を歩く。昨日の情報を聞いていたんだけど、アレッサの予想通りで笑えるねえ。漫画も本当にバカに出来ないと思うよ。何だかんだと言って、誰かが考え付く事は実際にやる奴が居るんだろうさ。
今回は危険な薬物で儲ける悪徳商人だったと……いや、違うね。ここまで大規模なら普通に闇ギルドだよ。そう考えるとこの大陸が如何に乱世かがよく分かる。闇ギルドの連中が国を興したと言えば、この国がどれだけ異常なのか説明しやすいってもんさ。
「そう言われれば簡単に分かるわね。裏の組織が国を作ったと言われれば、おかしな国だというのが改めて分かるわ。同時に乱世でなければ不可能だという事もね」
「そうですね。流石にこんな戦国乱世でもなければ、危険な組織だとバレていたでしょうし、各国に警戒されていたでしょう。ですが混乱の中で生まれると……」
「各国の監視も十全とは言えませんし、抜けも出てくるでしょうね。そういった間隙を突いて出来た国ですか。こういった混乱期の事は長く続けば有耶無耶になりますし、思っているよりも狡猾ですね」
「裏の連中なんて大抵そうだけどね。もちろんイメージ通りの頭の悪い三下みたいなのも居るけど、上の連中は束ねる役目だ。頭の方は悪くないのが多い。って言うより、たとえ闇ギルドであろうとも頭の悪いのじゃ上には立てないんだよ」
「闇ギルドの連中だってそこまで愚かじゃないし、ついていくヤツを見極めたりするものよ。自分が生きるか死ぬかと考えれば、それだけ真剣に選ぶのは当然だしね。頭の悪い奴は現場での隊長ぐらいが限界じゃない?」
「だね。そこからは先は組織運営に変わるから、頭の悪い奴じゃついていけない。それが気に入らないってヤツは出て行くけど、他の組織に行っても頭の悪いのは上に上がれないし、自分の組織を立ち上げても頭が悪いから上手くいかない」
「何処もそうですけど、頭の悪い者では生きていけないのですね。まあ、当たり前だとも思いますが」
「むしろ頭が悪くても生きていけるって、傭兵とか狩人じゃないかな? モンスターを狩っていれば済むんだし。現場の隊長で済むんだからさ」
「それで満足出来る者なら、闇ギルドに行ったりなんてしないのでしょうね。何となくそんな気がします」
そんな気がするっていうより、その通りだよ。自分の力を勘違いし、自分ならもっと上に立てると思った勘違い野郎。それが闇ギルドに行く頭の悪い阿呆なのであり、救いようの無い愚か者さ。
だからこそ容赦なく潰すし、そいつらは捨て駒として使われるんだよ。兵士や騎士の手柄としてね。
闇ギルド側は生贄として放り出し、治安を守る兵士や騎士はそいつらを狩る事で民に見せる。そして民はこれで落ち着くと安堵するっていう構図さ。実際には闇ギルドに対して何の痛痒も与えていないんだけどね。
とはいえ壊滅させるだけの力も無いんだから、そうやってお茶を濁すしかなかったのさ。ミクが来て、病が蔓延するまではね。
そもそも犯罪組織の撲滅なんてガイアでさえ不可能だった。奴等はそういうものだと諦めるしかない。たとえ犠牲を払って潰したところで、害虫のようにすぐに湧いてくる。とてもじゃないけど労力に見合わないんだよね。
それだけゴミが多かったってところさ。そいつらも神様の病で滅びて壊滅したけど、そこまでの物が無きゃ無理なんだから、この星では諦めるしかないだろう。




