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0858・リョーディカ連合・カイドル




 Side:ロフェル



 私達は中央大森林の南であるリョージア王国の王都から西へと進み、リョーディカ連合へと抜けた。王都で新たにノノが加わったけど、その御蔭か食い荒らす速度は格段に上がったらしい。


 今まで食べた人間種によって本体の肉の量も増えており、分体を3つ出していても十分に動かせるようになったようだ。ミクいわく、肉が増えない事には分体を増やす事も出来ないんだって。


 だから神様達はその辺りが分かったうえで、ミクの分体を許可しているらしいわ。まあ、私達にはあんまりよく分からないんだけど。


 それはともかく、ノノの御蔭でかなりの速度になったらしく、スイスイと進めたのは事実。その御蔭で私達は快適にリョーディカ連合までやってきた。


 今はリョージア王国との国境を治めているカイドルとかいう奴等の土地ね。ここリョーディカ連合では統一組織というていの機関は存在していない。


 在るのは土地を治める組織か国があるだけ。カイドルというのは商人組織らしく、ここで生産された農作物をリョーディカ連合で売り捌いているみたいなんだけど、噂だけで実像がサッパリなのよねえ。


 怪しい組織には違いないんだけど、商人なんてそもそも怪しい奴が多いから何とも言えない感じかしら。それとカイドルの勢力圏では村が多く町が少ないと聞いた。必要な所にしか町が無く、後は全て村なんだそうだ。


 何故なら商売の元である農作物が無いと困るからであり、村を新規開拓する際に援助までしているらしい。普通、村を新しく作る場合は自力だし、村が出来たら税を払えと言われるだけなんだけどね。援助までするなんて……。



 「商売がちゃんと分かっていると言うべきなのか、それとも裏に何かあるのか……。今のところはまだ分かりませんね。とはいえ村が作りやすくなるのは間違い無いですし、それは農作物が増える事を意味しています」


 「そうだね。だからこそ援助というか投資は間違って無い。商人だからこそ税というリターンがある事を知っている。でも、荒れた大陸中央部で暢気のんきに投資っていうのも気になる話さ」


 「こういう場合って、危ない薬の原料を作らせていたり、人身売買をこっそりやっていたりとかするのよねえ。後はお酒と煙草かしら? ガイアの漫画じゃそんな感じじゃない?」


 「確かにそうですね。表で良い事をしているヤツの多くは裏で悪い事をしています。それに商人が投資を理解して、それを真っ当にするとは思えません。こんな荒れている場所じゃ、投資した分が戦火で失われるなんて普通にあるでしょうし、そこを考えていない筈がないですよ」


 「つまりそれ以上のメリットがあるか、それとも何かしらを裏でやっているかね。とはいえ戦火で投資した分が吹き飛ぶ事を考えると、やっているのは阿漕あこぎな事なんでしょう。多分」


 「それしかないんじゃない? 流石に真っ当な商売しかしていませんは………あり得ないでしょ。こんな荒れた世でここだけ真っ当とか、むしろ鼻で笑うわ。理想は立派だけど、その理想は平和な世の中じゃないと出来ないっての」


 「うむ、そうであるな。そもそも投資した分が戦火で失われぬという前提がなければ無理であろう。それ以外でも天災や火災などで失われる可能性はあるが、それは普通の事でしかない」



 ノノがミクの膝の上で話すものの、アレッサもティアもチラチラと見てるわね。どうもモフりたいみたいだけど、ノノはミクの膝の上から動く気は無いらしい。まあ、あのモフモフ具合は確かに癖になりそうだけどね。



 「今のところは、このまま村も含めて悪人を喰い荒らしていくしかないであろう。そうせねば情報は入らんし、情報が入らねば裏側を知る事が出来ん。善と悪の権能で記憶を覗き見れるが、それでもレティーの能力には勝てんからな」


 「脳から情報を奪うって、何度考えても反則だもんねー。そりゃ仕方ないわよ。最強の怪物でさえ出来ない事が出来るんだし、<可能性の宝庫>は伊達じゃないんでしょうね」


 「ミクの血肉の結果、可能性が更に広がった気がするけど? あたし達だってそれを含めて今なんだからさ、そういう意味じゃ可能性を掴み取らせたのはミクの血肉って事になると思う」


 「そこはほら……意味分かんない領域の事だから、考えたりしても無駄でしょうしね。そういうものだとしてスルーするのが一番よ。考えたって答え出ないし」


 「話が変わってるから戻すけど、ここカイドルでは情報収集が先って事でいいね? 町自体が少ないから旅がし辛い感じだけど、幸い村が多いのと宿があるから移動は出来る。野営をしなきゃいけないなら、本体空間に皆を入れるんだけど」


 「本体空間に入れば全てを無視できるので快適なんですよね。慣れてはいけないのですけど、絶対に害されない空間ですから気が抜けますし、あそこは本当に凄い所です。漫画とかラノベも置いてありますけど、何故か増えてたりしますし」


 「それはファーダが買いに行ってるからだよ。ファーダは外に出る事が少ないけど、その代わりにガイアに【転移】して買い物とか行かせてる。たまには向こうに行って新作の確認とかもしないといけないし」


 「そんな事させてたの……。まあ、別に悪い事は無いんでしょうし、本体が読むから良いんでしょうね。しっかし、少し前に本体空間に行った時、呆れるくらい本があった理由はソレかー……」



 最大の敵は暇だって言ってたうえ、本体も暇してるみたいだから悪い事じゃないと思うけどね。本体もずっと本を読んでる訳じゃないし、ミク達分体を動かさなきゃいけないもの。本を読む時間は夜の間くらいしかないでしょ。


 そもそも本体は眠れないんだから、その間の暇を潰せるなら良いんじゃないって感じかしら。流石に眠れない事の辛さとか分からないから何とも言えないんだけどね。


 今は国境の町っていうか砦に居るんだけど、ここからカイドル内を巡って悪人を潰しながら次へと進む。それが今のところの目標か。何事も無く進むって事は無いでしょう、おそらく。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:テイメリア・フェルス・ゴールダーム



 私達は村などを経由しつつ、3つ目の町にやってきました。ここカイドルでは町は全て大きなものです。理由などは分かりませんが、何かとの戦争を予定しているのでしょうか? そう考えても間違っていないと思える程です。


 ですが町の数は少ないですし、他は村ばかりの地域がカイドルなのですから、町の重厚さは一種不自然と言っても良いでしょう。となると町の防御は戦争を想定しているというより……。



 「ティアも分かっているだろうけど、こりゃ商品を守る為だろうね。特に農作物、つまり食い物だ。守る必要があると言われリゃ当然だし、他の地域の奴等が手を入れてくるかもしれないってんじゃ、ここまでして守る必要はあるだろうさ」


 「想定しているのは敵国ではなく、商売敵ですか? つまり放火されたりしない為の防御。そう考えると分かる気はしますね。ここカイドルからは、主に穀物や乾燥させた食べ物に漬物などが多く出荷されているそうですし」


 「まあ、生鮮食品を流通させるのは不可能でしょ。ガイアじゃないんだから、運ぶ速さも食料の保つ期間も違いすぎるわ。ここでは精々馬車なんだし、早く進める家畜でも限度があるもの。どうにもならないわ」


 「ですね。流石にそれは不可能です。でも、この物々しい砦風の町は、果たして本当にそれだけなんでしょうか? 前の町では大した情報は無かったようですが、ここでも無いとは限りません。何かが分かると良いのですが……」



 期待はしていますが、こればっかりは情報を持っている者が悪人でないといけません。上手く悪人が居てくれる事を祈りましょう。あまり良い事ではありませんけれど。


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