表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
858/1002

0854・パルオード国




 Side:アレッサ



 わたし達は10日掛かったものの、今はボンクラ国……じゃなかった、ボンクル国の北にあるパルオードという国に来ている。ここは北にあるものの海岸線が緩やかに長く続く国で、主に猫人族が多い国みたい。


 理由は言わずもがな、魚が多く獲れる国だからだ。ついでに海のモンスターすら獲って食べているらしいので、彼らにとってはまさに天国とも言うべき国なのだろう。


 この国は元々成立前に多くの民が逃げて来た地であり、その時に一番多く逃げて来たのが猫人族なんだって。何でも愛玩奴隷にされる事が一番多かったらしく、それで逃げて来た子供が大量に居たらしい。何処でもそうだけど、碌な事をしないヤツが居るわね。


 その猫人族にとって、海岸線が長く続くここは住みつくのにちょうど良かったらしい。そして最後には国になるんだけど、国を建てたのは狐人族だったそうよ。今私達は辺境伯の領都の酒場に居るんだけど、ねえ……。



 「あははははははは。アタシ達の種族が、そんな面倒な事する筈ないじゃない! 国を統治するって大変なんでしょ? だったら他のやりたいヤツがやればいいのよ。もしここがイヤな所になったら、祖先みたいにどっか行くだけだし」



 これが猫人族の大半の考え方らしい。まったくもって猫らしいと言わざるを得ない。バイタリティに溢れすぎだし、先の事を考えなさ過ぎる。だからといって決して弱い種族じゃないし、身体能力としてはむしろ高い方なのよ。


 特に敏捷性が高いので、相手を撹乱かくらんするのと速攻を得意とする種族。武器があるなら圧倒的にこういう種族の方が強いのよ。何故なら攻撃力なんて武器でカバーできるし、傷を負わせるだけで人間種相手なら十分だもの。


 一撃で相手を殺せなくても、傷を負わせればそれだけで有利に働くし、そもそも猫人族って腕力も悪くない。人間よりもあるんだから十分に強いわ。そのうえ魔力量だってそれなりにある。正直に言ってこの大陸ではトップクラスじゃないかしら? だから考え方が自由なんでしょうけどね。


 酒場の酌婦、つまり売春婦の女性が暇だからって話し相手になってくれてるけど、本当に大らかというかストレートに話すわねえ。まったく隠す気が無いらしいわ。御蔭で他の種族の女性が困ってるくらいよ。



 「熊の連中はさ、体が大きい癖にアレが小さいヤツが多いのよ。どれぐらいかって言ったら、ゴブリン族と変わらないくらい? 後、オークの奴等はだいたい性欲が旺盛なだけね。連発できるけど下手クソにしか会った事ないし」


 「ふーん……。それにしても一切手加減せずに開けっぴろげに話すわねえ。猫人族ってだいたいそんな感じ?」


 「人に寄るけど、だいたい似たようなものじゃない? だって私達の種族って、別に誰が相手であっても気にしないし。男の方もそんな感じだから、いちいち気にしても意味無いでしょ?」


 「まあ男が気にしないなら、女が気にする必要も無いわよねえ。どうせ同種族でしか子供は出来ないんだし、それを考えれば気にならないかー。あっちのなんか、恥ずかしいを通り越して怒ってる感じだけど?」


 「にゃははははは。だったら自分の体で男を繋ぎ止めればいいじゃん。アタシは客が来たら仕事をするだけだよ。自分の体を使えば繋ぎ止められるのに、それをしないから浮気されたのなら、しない奴が悪いに決まってるでしょ」



 わあ、強い。こりゃ駄目だわ。軋轢あつれきが起きるのは確実だけど、言っている事は間違ってない。恋人に浮気されるなら、物理的に搾り取ってしまえって事でしょ? そりゃ間違ってないわ。



 「だけど、それでも恋人の相手をせずに浮気する男は居るけどね? それはどうなんだい?」


 「どうって言われても、そもそも別の種族としたところで気にしないしー。アタシもそうなんだから、彼氏がそれをしても文句を言うのはおかしくない?」


 「ああ、そういうところはキッチリしてる訳だ。変わってるというか、むしろ男っぽい感性の女性なのかね? そういう種族と考えれば理解は出来るねえ。一応」


 「そうですか。まあ、殿方がどういう風に考えるかは存じませんが、どうなのです?」


 「出来ればボクに聞かずにスルーしてほしかったんですけど、何故わざわざ聞くんでしょう? 後、ボクはそういうお付き合いをした事が無いので知りません。なので聞かれても困ります」


 「おお! 経験無しのチェリーがこんなところに。一回やっとく?」


 「しません!」



 この女、本当に開けっぴろげ過ぎるでしょ。本当に〝そういう事を〟仕事としか考えていないのが分かる。シャルは男性っぽい感性の女性って言ったけど違うわね。徹頭徹尾、お金を貰える仕事としか考えてない。


 子供が出来ないからこそ、現実的に考えているだけね。だからこそ男性も気にしないんでしょ。重要なのは自分の血を継いだ子であって、その母親が別の種族の誰と交わっていても気にしない。分かりやすいわね。


 それはそれで種族特性なんでしょう、きっと。〝別の種族が相手なら〟気にしないって言ってるんだしさ。そういう種族っていうだけなんだけど、理解出来ない人との間には溝が出来ると思うわ。それもかなり深い溝が。


 ま、わたし達には関係ないから、食事も終わったし宿に戻りましょう。マハルはまだ粉かけられてるけど、流石に了承はしないみたいね。別にそれぐらいいと思うけど、ゆきずりは駄目っぽい感じかしら?。



 「そういう事じゃなくてですね。ボクのそういう事は放っておいてくれませんか?」


 「まあ、寿命は無限にあるから卒業するのはいつでも構わないし、あまりそういうトコ突っ込むと機嫌悪くなるよ。あたしの子供もそんな感じだったからねえ。マハルはちょうど思春期真っ盛りの歳だし、突っ込み過ぎるのは止めときな」


 「嫌がるまで言う気は無かったんだけどね。行ったところで誰も気にしないと言っておきたかったのよ。そもそもわたしなんて洗脳されて無理矢理よ? それよりはマシじゃない? って思ったから言ったんだけどね」


 「私も特に言う気は無いよ。そもそも酒場で売ってたけど、それが悪い事だとか思ったこと無いから。マハルは侯爵家の子供だからね、そういう女性に対して思うところはあるかもしれないけども」


 「いえ、ありませんよ。皆さんと一緒に色んなところを見て回っていますし、ミクさんやロフェルさんと出会ってすぐの時ならまだしも、今はもう何とも思っていません。でも、その状態でホイホイ釣られたらバカみたいでしょ?」


 「それは確かにそうだね。あの女もそれを分かってて、どっちかっていうとマハルをからかう感じだったし。皆もそれは分かってるけどさ」


 「まあねえ。でも男って大半はそういう恥ずかしい失敗を一度はするものよ? それをしないっていうのも……良いの? とは思うけどね」


 「失敗しないんですから良いじゃないですか」


 「そうだけど、失敗しないと身につかないっていうしねえ。とはいえマハルは冷静だから変な女には引っ掛からないだろうし、それはそれで安心なんだけど……。1人の男の人生としては本当にいいのか疑問だね?」


 「そうなのよ。今のところは様子見って感じだけど、変なのにほだされる事も絶対に無いとは限らないし」


 「多分無いんじゃない? 顔が良いから辟易へきえきしてるだろうし、仲間内以外の女性に対して溝がある感じだよ?」


 「もしや男が!?」


 「いえ、それは普通に無いです」


 「そんな真顔で否定しなくても。流石にそれが無い事くらい分かってるわよ」


 「だったら最初から余計な事は言わないで下さい」


 「そろそろこのネタは止めるかな。どうも本気で怒ってきたっぽいし。……話は変わるけど、この国は特に問題なく終わりそうな予感がしてる。皆はどう?」


 「そうだね。雰囲気的には問題なさそうな感じだよ」


 「ボクもそう思います」


 「そうね。何か起こりそうな感じは無いかな?」


 「だね、珍しく普通っぽい」


 「ですね。たまにはこういう国でゆっくりしていきましょう」



 そうそう。そろそろ1国ぐらい息を抜ける国が無いと大変よ。この大陸に来て殺し合いばっかりだったし。


エピソード3の人物紹介を更新しました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ