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0850・ボンクル王国辺境伯領・領都の深夜




 Side:ミク



 宿に戻った私達は2部屋に分かれて眠りにつく。いつも通りではあるが、今日は早速の如く外でウロウロしている奴等の反応がある。ここは治安が悪いのか、襲う連中も待ったりしないらしい。既にファーダは窓から出しているので、すぐに居なくなるだろう。


 私は宿の中からの者が居ないか見張っていたのだが、どうやらこの宿すらグルのようだ。宿の中から複数の悪意がこちらに向けられている。一度に2部屋守る事が出来るか分からないので、こちらから悪意の大元を喰いに行く事に。


 宿の中で働いている従業員のうち3名から悪意の反応があり、同じ部屋で襲うための策を話し合っていた。私に聞かれているとも思っていないからかバカな発言をしているね。



 「あの女どもを売れば結構な金になるに違いねえ。あれだけ器量が良けりゃ奴隷商だって高く買い取ってくれるさ。いつもの薬だってまだあるしよぉ、外の奴等が入ってくる前にオレ達だけで売っちまわねえか?」


 「確かにな。外の連中に金を奪われるのも業腹だったし、たまにはオレ達で連れて行っちまうか? そうすりゃお前の言うように結構な額が入ってくるだろうしな!」


 「止めとけ。奴等の取り分まで取ったってなったら、明日には死体になってるかもしれねえんだぞ。流石にそんな危ない橋を渡れるかよ。もしやるならお前達だけでやれ。オレはやらないからな」


 「おいおい。あれだけのタマなら高値で売れるんだぞ! それにいつまであんな連中の言いなりになってるつもりだよ。てめえは根性無しか? 違うんなら協力しろや」


 「挑発したって無駄だぞ。オレだけならまだしも家族まで殺されるか売られるかもしれねえんだ。お前達の一時の得の為に家族を売れるか。お前らだって家族を人質にとられてるんだろうが」


 「……確かにそうだな。オレも止めとく。これで家族に手を出されちまったら、今まで何で我慢してたか分からなくなっちまう。流石に金よりも家族の安全だ。それには代えられねえ」


 「お前ら………そんなこったから、あんな奴等にいいように使われるんだぞ! そんな事も分からねえのか! オレ達が奴隷商に売っ払っちまえばいいんだよ。これからはオレ達が直接繋がれば、今まで取られてた分が全部オレ達の物になるんだぞ。何でそんな簡単な事が分からねえんだ!?」


 「だーかーらー、金と家族の命は別だって言ってるだろ。そんなに金が欲しいならお前だけでやれ。ただしお前の家族がどうなってもオレは助けねえからな。それだけは言っておく」


 「オレも同じだ。悪いけど家族は犠牲に出来ねえんでな、苦しむならお前の家族だけにしてもらう。オレの家族まで巻き添えは迷惑でしかねえんだ。お前との繋がりも今日までにしてもらうぞ」


 「チッ! 分かったよ。止めりゃいいんだろうが、止めりゃあ! てめぇらがヘタレな所為で、オレの儲けが減っちまったじゃねえか!」


 「マジで言ってんのか、お前!? そこまで言うなら、お前だけ行って殺されてこいよ! いちいちオレ達の所為にすんじゃねえ。だいたいオレ達を必死に巻き込もうとしてる時点で、ヘタレはお前だろうが!」


 「んだと、テメェ! もういっぺん言ってみろ! 今すぐブッ殺してや」



 ブッ殺してやると言いたいのは私の方だ鬱陶しい。ガタガタと下らない内輪揉めばかりしていて、情報と言う意味では奴隷商人の事ぐらいしか価値が無い。どうせ喰われる運命であり、お前達が動こうが動くまいが死ぬ事は決まっている。


 その家族も悪人であれば死ぬのだから、こいつらの喋っていた事には何の意味も無い。後の情報収集はレティーに任せて、さっさと外に出よう。王都ほど大きくないとはいえ、この町は悪人が多そうだ。


 早めに色々と動いて処理していかないと間に合わない恐れもあるし、ファーダは既にスラムで食い荒らしている。私は町中を終わらせてからスラムに行くかな。こっちを先に終わらせておいた方が良さそうだし、奴隷商が引っ掛かる。


 案外と普通の店構えでやっている可能性もあるんだよ。このボンクル王国が奴隷商を認めているかも知らないし、場合によっては非合法の場合もあるからね。それに奴隷商そのものが合法でも、届け出の無い非合法な奴隷商かもしれない。


 そうなってくるとスラムなんていう怪しい場所ではやらないでしょ。むしろ普通の店のフリをしてやってる……よねえ、こうやってさぁ。


 私が今居るのは、とある店の前。もちろん夜だから閉まってるけど、あからさまに怪しい気配が大量に〝地下〟にある。普通の店舗で地下に反応が沢山あるって、どう考えてもおかしい。十中八九は違法奴隷の売買だろう。


 私は2階の窓の隙間から店へと侵入し、中を詳しく調べて行く。2階の部屋はどれも商売に関わる場所のようだ。客を招いたりする応接室に、資料などが大量に置いてある仕事部屋。それ以外は休憩室ぐらいだった。


 それらの部屋から地下に行く道は見つからなかったので、1階をくまなく調べていく。すると簡易的な厨房というか竈のある部屋から地下に行く為の階段が見つかった。置いてある大きな木箱の下に階段があったんだけど、今は半分ほどズレている。


 全員が地下に居るからかもしれないけど、こんな分かりやすい状態にしておいて誰か来たらどうするんだろうね? ま、私は半分の隙間から十分に侵入できるから、いちいち木箱を動かす必要も無いけど。


 地下に下りると奥に続く道があり、その先には扉があった。中から声が聞こえるが、値段を言っているので奴隷売買がされていると分かる。私は扉の外側の土を掘り中へと侵入した。



 「小金貨8枚! 小金貨8枚! 他にありませんか? ……では小金貨8枚で一等奴隷のお買い上げです!」



 裸にされて腕と足が縄で縛られている女性が売られていく。間違いなくここで奴隷売買が行われているし、それは目の前で現在進行中だ。私は様子を見る事も無く、この部屋の中に麻痺の香りを放ち、部屋の中に居る全ての者を麻痺させる。


 その後は売買していた者達を食い荒らし、悪人でない者だけを放置。右にも左にも部屋が1つずつあるが、【掌握】で調べたところ右の部屋には外に出て行く通路がある事が分かった。おそらく逃げる為の通路だろう。


 なので先に右の部屋に入り、その部屋の中にも麻痺の香りを放って動けなくする。それを終えたらすぐに関係者とおぼしき部屋の中の全員を食い荒らし、左の部屋へと移動。ここでも麻痺の香りを放つ。


 どうやら左の部屋は女性達を捕まえておく部屋だったらしく、脱走されないように3人の男が詰めていた。その男達を食い荒らし、更に捕まっている中に居た悪人も喰うと、後の女性達の縄を外して放置する。


 どんな理由で捕まったのかも分からないし、私達が責任を持って助けてやる義理も無い。そもそも私達は正義のヒーローでも何でも無いしね。どちらかと言えばダークヒーローだろうと思う。


 それはともかく、後は女性達がどうにかするだろうという事と、男達の着ていた服と持っていた金ぐらいは置いていってやる。もちろん持っていた金の全てじゃないけど、多少なりともあれば生きていけるでしょ。


 ………それなら麻痺している間に着せてやった方が早いか。そう思った私は右の部屋に女性達を全員集め、本体空間で【浄滅】を使って綺麗にした男達の服を着せていく。その後、右の部屋の奥から進んで行き、突き当たりの梯子が掛かった壁を登る。


 もちろん女性達も一緒に運んでいるのだが、上に蓋があって塞がれてるようだね。それを押し上げると、どうやら店の隣の建物にある井戸に繋がっていたようだ。


 ここと繋げてあるって怪しすぎるけど、何で誰も気付いてないのかね? それとも知ってるけど知らないフリでもしてる?。


 ま、とりあえず見つかると危険な女性達は、ファーダが綺麗にしたスラムの1区画へ連れて行こう。そこなら襲われる事も無いでしょ。


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