表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
851/1002

0847・テモニー王国・王都前




 Side:ファーダ



 ミクと共に見張っていると、王都の端から移動する物を見つけた。数人が固まっている物が2つなので、ほぼ間違いなく馬車だろう。俺達は皆の下を離れ、素早くその馬車へと近付く。急いでいるのかそれなりには速い。


 もちろん俺達に比べれば遅すぎるので、追いかける事そのものは容易い。ある程度の距離を見逃し、王都から完全に離れた段階で馬車を持ち上げた。透明の触手で持ち上げられた馬車は止まり、牽いている馬は急に止められた事により暴れる。



 「貴様らは何者だ。返事も何も無ければ、ここで今すぐ馬車を破壊する。既に馬車は宙に浮かされているから逃げる事は出来んぞ」



 俺がそう言葉を掛けるものの中に居る奴等は無視しているようだ。馬車が宙に浮いている為に逃げられないのだが、未だ分かっていないらしい。本体空間で話した俺達は馬車を半回転させ、上下を逆さまにしてやった。



 「もう一度だけ言ってやる。お前達は何者だ? 返事が無ければ馬車ごと破壊する。これは脅しではない、唯の事実だ」



 そう言った後で上下を戻してやる。その後も中の奴等は何も声を出さないので、仕方なくミクと俺は触手で馬車の扉をブン殴って破壊。そうした事で、ようやく中から何者かが顔を出してきた。マヌケにも程があるな。



 「き、貴様らは何者だ!?」


 「こちらが聞いているのだ、貴様らは何者だとな。だがもう面倒だ。中の奴等に呪いを掛けてから引きずり出そう、それが一番手っ取り早い。阿呆の相手をしているのも面倒だからな」



 俺とミクは一斉に【善なる呪い】を使い、中にある反応全てに呪いを掛けた。そのすぐ後から激痛にのた打ち回る声が聞こえたが無視し、中から全員を引きずり出す。いちいち手間を掛けさせる奴等だな。


 中から引き摺り出した奴等は全部で6人。中年の男女が2人に、女が2人、青年が2人。おそらくだが、フィルオル侯爵家と第2王子だろう。まずは尋問をしていくか。



 「さて、お前達には既に【善なる呪い】を掛けた。この呪いで、お前達は逃げる事も黙る事も出来なくなっている。しっかりと答えてもらうぞ? お前達は何者だ、答えろ!」


 「………ギャァァァァァァ!!!」


 「「「「「ギャァァァァァァァ!!!」」」」」


 「呪いを掛けたって言った筈なのに……こいつら最初から愚かなままだねえ。逃げも逃げたりって感じだけど、お前達の逃亡劇はここで終了だよ。呪いに掛けられた以上、逃げる事は出来ない」


 「マヌケであればある程に苦しむからな。そもそもヴィダ王国の第2王妃も呪いに掛けてやって激痛にのた打ち回ったのだ。お前達も同じ目に遭うに決まっているだろう? 逃げられるなどと本気で思っていたとはな」


 「……おのれ、貴様!! 母上に何をした!!!」


 「何をも何も、先ほど言ってやっただろうが。呪いを掛けたんだよ、お前達に掛けたものと同じ【善なる呪い】をな。その後で聞き出そうとしたら「ギャーギャー」と痛みにのた打ち回っていたぞ?」


 「ふざけるな! 貴様ら絶対にゆるギャァァァァァァァァ!!!」


 「バカでしょ、コイツ? 激痛にのた打ち回るって言ってるのに、何にも理解してないね。流石は逃げるしか能の無いマヌケだ。しかもこんな所で捕まって終わりなんだから、本当に笑うよ。さて、馬の方は善に書き換えておくか。言う事を聞くように」


 「そうだな。いちいち暴れられても鬱陶しい。馬車は扉を破壊しただけでまだ利用できる。呪いを掛けた以上は逃げる事も出来ん。いや、【転移】させた方が手っ取り早いか?」


 「どっちだろうね? 私達も【転移】で移動して、軍だけ自分達で帰す? そうすれば面倒な事をしなくても済むんだけど……。まぁ、そこは今後の流れ次第でいいか。それよりこいつらを移動させよう」



 俺とミクはバカどもを馬車に乗せ、馬に指示して王都の正門前へ連れて行く。中で「ギャーギャー」言っているので、まだ痛みにのた打ち回っているらしい。頭が悪い奴等もその内に気付くだろう。逃げる事も嘘を吐く事も出来ないと。


 俺達が正門前に行くと、ちょうど先代公爵と2人の騎士団長が王都から出てくるところだった。豪華な見た目の馬車がある事で、慌ててこちらへと近付いてくる。



 「この馬車はいったいどうしたのだ!?」


 「俺達が王都からに出るところを捕縛しただけだ。中の連中には既に呪いを掛けてある。第2王妃に掛けたものと同じ呪いをな。そして第2王妃を母上などと言っていたからな、おそらく第2王子で間違いあるまい」


 「おお! すまぬ、助かる!! テモニーの者どもめ、のらりくらりと返答しおって! 今度こそ、こ奴等と共に悪事の全てを暴いてやるわ!!」



 そう言って中から6人を引きずり出し、憤怒の表情で見回す先代公爵。間違いなく第2王子とフィルオル侯爵家のようだ。そして先代公爵の表情に震え上がる6人。その程度ならば最初から大それた事などしなければいいものを。


 先代公爵と騎士団長2人は多くの騎士を連れて、再びテモニーの王城に向かっていった。あの6人を連れて行って、テモニーの連中から賠償などを大量に得るつもりだろう。ま、俺達にはどうでもいい話だ。興味も無い。


 王都の前で適当に座り、他の兵士達と同じようにゆっくりとする。ようやく終わったと言えるものの、まだ帰りがあるので半分だ。ここで放り出せるなら良いのだが、おそらくそれは出来ないだろう。それをやると俺達へのヘイトが溜まるだけだ。


 それでも構わないのだが、後々の事を考えると面倒な事になりかねない。唯でさえ王都前の戦いで手を抜いたからな。ま、あれはこちらを都合よく利用しようとした阿呆への牽制だが。



 「さて、これからどれぐらい時間が掛かるのでしょうか? 場合によっては結構な時間が掛かるかもしれませんし、その間に他の所から援軍が来たりするかもしれません。兵士の数も半数ぐらいまで減っていますしね。あまり悠長にはしていられないでしょう」


 「とはいえ難しいところじゃない? ヴィダ王国としても、賠償も何も無しで撤退はあり得ないし納得も出来ない。そんな事になったら後日改めて攻め込む事になると思うけど、それにテモニー側は耐えられるのかしら?」


 「少なくとも主要街道というか、国境からテモニー王国の王都までは私達が壊滅させたし……そこを防ぐのは難しいでしょうね。そもそも町の全てが陥落してるし貴族も皆殺しになってる。統治がそもそも出来てないんだけど、どうするつもりかしら?」


 「さあ? そもそもなんだけど、その事をテモニーの上層部が理解しているかも定かじゃないしねえ。もしかしたら何も理解せずにバカな引き延ばしを始めてるのかもしれないよ。あたし達には関係の無い事だけど」


 「そろそろ帰りたいんだけど、話し合いは時間が掛かりそうね。面倒臭いったらないわ。もう宝物庫を荒らして、全部掻っ攫っていったら? 賠償として全部貰っていくって言えばいいじゃん」


 「やっている事が凄く盗賊ですね。とはいえ王城を襲う盗賊なんて居ないでしょうが……」


 「だねえ。王城を襲ってる時点で、既に盗賊なんて規模じゃないだろう。盗賊団というか、一大勢力じゃないと普通は無理さ」


 「何日もここで足止めされると本当に面倒な事になるのだがな。そうなるくらいなら力で強引に奪うべきだというアレッサの意見も分からんではない。時間が掛かれば掛かるほどに面倒だ」


 「それをする為に呪いを云々と言ってくる可能性もあるけどね。それを言うなら先代公爵にも掛けてやるけど、それを了承するのやら?」



 ま、絶対にせんだろうな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ