表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
849/1002

0845・テモニー王国伯爵領・領都攻め その2




 Side:ファーダ



 「そなた何かしておるな? 先ほどまでと比べて異様に力がみなぎってくるぞ! 何故なにゆえこのような事を急に始めたのだ? 上手く扱えておるからよいものを、自らの力に振り回されるところであったわ!!」


 「お前が最前線で戦うからだ。遺言書をしたためたと言ったが、そんな物は俺達にとって迷惑でしかない。お前は俺達を利用する気か? あまり調子に乗るなよ」


 「むう……やはり駄目か? ここまでの力を「滅ぼされたいのならば好きにしろ」持つのであれば……」


 「ヴィダ王国という国がこの大陸から永遠に消え去ってもいいのならば好きにしろ。その時は貴様の家が永遠の咎人の家として記録に残るようにしてやる」


 「………はぁ、そなたらを敵に回す訳にはいかんからの。流石にわしの命では足りんか」


 「足りなさ過ぎる。神の名を冠する種族というのを舐めすぎなのだ貴様らは。シャルを手にする事は不可能だ、何故なら本人が貴族というものにウンザリしているのだからな。たとえお前が命を捨てたとて無駄死ににしかならん。勘違いし過ぎだ」


 「勘違いか?」


 「そうだ。お前達の国に対して、そもそも何の感情も無い。助けてやろうという気持ちも無いうえ、押し付けられても鬱陶しいとしかならんのだ。そのうえ悠久の時を生きるのだから、有象無象が己を頼り毛嫌いする今までの構図と何も変わらん。かつての国と同じだ」


 「そうはならんかもしれんぞ?」


 「ならないとお前が言える根拠はなんだ? 悠久の時ではなく高々100年未満しか生きん小僧に、いったい何が分かるのだろうな? 答えろ、貴様如きに何が分かる。あまつさえ息子も孫もまともに育てられん程度の分際で、いったい何が分かるというのだ」


 「………」


 「貴様の見えているものなど、所詮は物事の表面だけよ。だからこそ息子と孫もあの体たらくなのだろうが。公爵家の者として上手くやってきたつもりなのだろうが、その程度の頭で調子に乗るな。阿呆が」



 ここで釘を刺しておかねばコイツは必ず要らん事をするだろう。そしてその結果、おそらくミクが激怒する事になる。コイツはそこを理解していない。運が良くて全てを放り捨てられる。運が悪ければヴィダ王国の貴族全てを皆殺しだ。


 ミクはヴィーが元日本人だからと言って何の容赦もしない。当たり前だ、そもそもガイアの者でもなければ故郷でもない。俺達は神に創り出され教育された、つまり俺達の思考は神どもの思考に近いのだ。人間種など、どうなろうが興味も無い。


 仲間達は別だが、逆に言えば仲間と認めていなければ単なる食い物でしかない。徹頭徹尾、俺達はずっとそうなのだ。どんな生き物と関わろうが、それが変わる事など無い。



 「前に言った筈だぞ。俺達にとってお前らは食い物だとな? 俺達は喰う側であり、貴様らは喰われる側なのだ。そしてこれは絶対的に変わらん。理解できなければ喰われて滅べ」


 「「「「「………」」」」」



 本性をほんの少し出してやったら、それだけで怯えて気絶する寸前か。あまりに脆い連中だ。何故この程度の連中が、姑息な手を弄してバレんと思うのか理解できん。



 「神どもが言う事は正しい。人間種は愚かに過ぎる。全て喰わんのは見逃してやっているだけだという事すら、すぐに忘れてそれが当たり前の事だと思いこむ。貴様らとこの国の者どもの何処が違うのだ? 俺には同じゴミとしか理解できんがな」


 「「「「「………」」」」」


 「ふん。少し問い詰められただけでだんまりか。お前も愚かな息子と孫と同じだな。所詮は調子に乗っているだけの愚かな俗物が……!」



 人間種は本当にコレばかりだ。吐き気がする。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ミク



 コレで悪人を食い荒らすのも終了だけど、相当程度ファーダが怒ってるねえ。牽制しておかないと私がキレて暴れるとでも思ったかな? 残念だけど、微妙に外れてる。正しくは王都攻めの際に纏めて蹂躙するが正しい。


 その後? そんなの知らないよ。適当にフィルオル侯爵家と第2王子の首を氷漬けにして王の前に放り出せば済むでしょ。私達に何か言ってきたら、言ってきた奴等を殺せば済む。私はねえ、ファーダほど人間種に期待してないんだよ。


 あいつらがクソだというのは分かってるし、今さらでしかない。そもそもだけど、だからこそ神どもは私を生み出したんだから当然なわけだ。人間種がクズじゃなかったら私は生み出されてないんだから、考えれば単純な話でしかない。


 ファーダとしては仲間達が元人間種だからって部分はあると思うんだけど、仲間達でさえ人間種のクソみたいな部分には辟易へきえきしてる。元人間種でさえそう思うんだから、理性があり知恵ある獣って、結局は何処までいっても獣なんだよね。


 私達と知り合えて協力が得られた。それだけで十分に良かったと言えるのに、シャルを自国に取り込もうなどという欲を出す。その結果が私達からうとまれるという事なんだから、実に腐った人間種らしい愚かさじゃないか。これぞ人間種としか思えないね。


 そろそろ伯爵家の始末も終わったようだし、後は家捜しと食料の購入で王都まで行くだけだ。今までと変わらない事をするだけだね。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:シャルティア



 戦闘が終わり、輜重の者どもが食料の買い出しに行ったけど、先代公爵があたしを自国に組み込もうとしていたのは知っていた。ファーダはあたしが妙な事に巻き込まれないように釘を刺してくれたらしい。


 こういうところが本当にねえ、ミクと同じじゃなければ良い男なんだけど……最強の怪物の分体なんだよ。悲しい話さ。


 ま、それはいいとして、先代公爵は戻ってきたけどそれだけだね。息子や孫と同じ、逃げっ放しだ。


 謝罪の1つでもして先に頭を下げちまえば、大きな事にはならないっていうのに……。あの息子や孫と何も変わらないね。これがデューダス公爵家の血筋なんだろうさ、下らない。おそらくは【念話】なんて知らないからだろうけど、考えが甘すぎる。


 ここからは先代公爵に指揮をとらせるべきだね。あたしが【群狼王】を使うのもここで終わりさ。適当に言いくるめてやれば問題は無いだろう。あたしを都合よく使おうなどと考える奴を助ける気なんて無い。


 ちょうど先代公爵と騎士団長2人が話し合いをしているみたいだ。このタイミングで言っておくか。



 「ちょっといいかい? 次は王都攻めだ。ここは少なくともヴィダ王国として戦わなきゃいけない。悪いんだけど先代公爵に指揮をとってもらうよ? 傭兵のあたしが出るのは明らかにおかしいからねえ」


 「まあ、それは確かにそうですな。これはヴィダ王国とテモニー王国の戦争です。指揮権は先代公爵様にあるのですから当然でしょうが……あの力は使ってもらえるので?」


 「あたしが指揮しないんだから使える訳が無いだろう。後はあんた達の自力で頑張んな。とはいえ前線には出るから、そこではきちんと戦うさ。じゃ」



 それだけを言ってあたしは離れた。久しぶりに指揮をして楽しかったのは事実だけど、こうやって都合よく使われるのが嫌いだから、祖国とたもとを分かったっていうのにねえ。また巻き込まれちまったかい。


 仮に将軍に復帰するとしても、それをやるなら祖国であって、こんなどうでもいい国じゃないんだけど……その程度も分からないマヌケなのか、それとも先代公爵の命程度でなびくと思われてるのか。


 いや、そこまでやれば大丈夫だろうと疑ってないんだろう。公爵家だから周りが気を利かせてくれてたのも分からない、そんな感じか。つまらないヤツだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ