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0838・テモニー王国辺境伯領・領都内にて




 Side:ミク



 さて、混乱に紛れて私とファーダはテモニー王国の辺境伯領の領都へと入った。悪人はすぐに喰らって次へと行く。その繰り返しを行い、本来ならば戦争があっても残るゴミどもを処分していく。


 兵士や騎士に傭兵は皆が皆殺しにするだろうから、残るは平民の中の悪人だ。こいつらは私達が処分するのが一番手っ取り早いんだよね。見られる心配が無いし、消えたところで悪人だからどうでもいい。


 そもそも領都を攻められている混乱の中で、冷静に把握できる者が果たして何人居るのやら。仮に終わった後に話を聞いても、夢でも見たんじゃないかと言われるのがオチだね。そもそも人間種がいきなり消えるなんて怪奇現象以外に無いし。


 むしろ言い出したヤツが殺したんじゃないかって怪しまれるだけだ。それが予想出来るようなヤツは、むしろ口に出したりしないだろ。知らない分からないと口に出して、無かった事にするのが一番良い。


 殺人犯に仕立て上げられるのも嫌だろうしね。とはいえ悪人と共に居るのが悪いんだし、自業自得って事で諦めてもらいたい。無理矢理だったら御愁傷様ってところかな? そもそも助けてやる義理なんて無いし。


 順調に食べ進めていくと、ファーダの方も大半は終わったみたいだ。残っているのは辺境伯家の中か。あそこの連中は大混乱してる最中だから、むしろ今の内に喰った方が良いね。それにしても悪人が兵士や騎士に多い。傭兵もだけど。


 平民の悪人はだいたいスラムに集中していて、それ以外の場所には多くなかった。よく居る悪徳商人とかぐらいだったよ。代わりに公権力と荒くれが悪さをしている町だったらしい。ま、これもよくある事だけど。


 辺境伯家に突入すると、物凄く士気の高い連中が辺境伯家の兵と戦っていた。しかしヴィダ王国の連中、異様なほどに士気が高いんだけど大丈夫かな? 危ない薬をキメてるんじゃないかと言いたくなる。ついでにその最前列に先代公爵が居るし。


 おまけに碌な傷を受けてないらしい。今も執事っぽいヤツをバッサリと切って捨てた。容赦の欠片も無く次の敵へと飛び掛っているし、辺境伯家を全滅させる気かな? まあ、それでも良いけどね。それより今の内に悪人を喰わないと殺されてしまうよ。


 私は分かっている悪人の中で、一番味方から遠い者を捕食しに行く。辺境伯の一族は誰一人として逃がす気は無いので、ここで死んでもらう。更には逃がさないように私とファーダが常に気配、魔力、精神、魂魄、存在を感知し続けている。


 辺境伯領が攻められる前に逃げていない限り、ここから逃げきる事は不可能だ。必ず私達が気付く。ついでに地下にも気を配っているので、そこから逃げても捕捉は出来る。今のところ逃げた者は居ないから大丈夫だろう。


 そもそもあんな速さで門が破壊される事など想定されていない筈だ。ヴィダ王国には不死玉が獲れる場所が無いんだし、高を括っていた可能性が高いと思っている。蛮族ってそういうトコあるし。


 ファーダも喰い終わったらしく、私達は辺境伯家を出て路地裏へ。誰も見ていない場所で体を戻したら、皆の所へと歩いていく。未だに常時監視中なので、その情報から皆の居る場所は分かっている。



 「皆はここで何をしてるの? 味方の兵におかしなヤツが居ないかの監視は?」


 「それが……兵士や騎士に傭兵をブチ殺したら、全員が辺境伯家に突撃したのよ。例外が誰も居なくて拍子抜けしたわ。兵士や騎士に関しては一切の情け容赦なく殺して行ったし、傭兵達はわたし達が探し出して殺戮しておいたから、後は辺境伯だけなんだけど……」


 「おそらく誰も残っていない筈。多く集まっている所は分かるから、そこに突撃してアレッサとマハルが調べてくれたわ。嘘を吐いていないかとか本心かとかね。その御蔭でほぼ駆逐できたと思う」


 「それなら間違いなさそうだね。それにここまでやられれば、再起にどれだけ掛かるか分からない。それにヴィダ王国の辺境と違って、平民が多く残っている以上は余計に問題が起きるよ。特に食料問題がね」


 「そうだな。そろそろシャルの方に行って食料の買い占めを始めようか。辺境伯家には金が有るだろうし、それを持ち出して食料を買えばいい。なあに、正当な商売をしただけだから何も悪い事など無いさ」


 「悪いやり口だけど、テモニー王国が北の辺境伯領にやった事より遥かにマシね。辺境伯家にお金はあるだろうし、十分な輜重をゲット出来そうだわ。ついでに馬車も貰っていきましょう。辺境伯の家にあるだろうし、放っておいても町の住民に奪われるだけよ」


 「そうですね。どうせ奪われるだけなら有効活用しましょう。ボクも北の辺境伯の所でやった蛮行は許せそうにありませんし」


 「では動き始めようか。効率よく動かねば時間が勿体ないからな」



 そのファーダの声をきっかけにして、私達は各々動き始めた。


 私は町中の店を調べて歩く。どこに何の店があるかは分からないので、調べて皆と情報を共有していこう。【念話】を使えば難しくないので会話をしつつ、それぞれの場所に物が有るかは【掌握】で把握する。


 空間そのものを感知しているので、隠す事など出来はしない。そうやって調べつつ歩いていると、私に対して物を投げつけてくる者が現れた。唯の平民みたいだが、憎しみの篭もった目をしているね。



 「出て行け! ヴィダの蛮族めが!! お前達のような野蛮な連中、必ずや神様が神罰を下されるぞ!!」


 「それは無い。あいつらはそんな暇じゃないし忙しい。この星の神が神罰を落とそうとするなら、私に喰われて消えるだけだ」


 「は?」


 「それともう1つ。ヴィダ王国の北の辺境伯領は、お前達の国の軍に虐殺された。僅か十数名しか生き残っていなかったのだよ。これはその報復であり、蛮族は貴様らなのだ。女子供を虐殺したのは貴様らなのだからな」


 「そ、そんな事があるものか!」


 「お前達がどう思うかなど極めてどうでもいい事だ。私達はお前達など関係なく報復を行う。怨むならお前達の国の軍を怨め」


 「「「「「「「………」」」」」」」



 話を聞きつけて外に出てきた者も居たのだが、私の話を聞いて憎しみは霧散したらしい。そもそもテモニーの軍がここを通っていないなどあり得ない。そして何となく噂で聞いていたのだろうね。表情で分かる。



 「やっぱりかい。軍の連中は酒を飲みながら偉そうに言ってたけど、女性や子供まで虐殺するなんて他国でもやっちゃいけない事だろうに!」


 「だが、敵国だぞ!! ヴィダは昔からの敵国じゃねえか!」


 「なら、今攻めて来ている奴等に虐殺されても文句は無いな? 敵国なら女子供を虐殺していいのだろう?」


 「………」


 「「「「「「………」」」」」」



 最初に物を投げてきた男が「敵国だ」などと言っていたが、今は周りの連中から冷たい視線を浴びている。当たり前の事だが、自分達にだけ都合の良い事などあり得ないのだ。相手にやった事は自分達に跳ね返ってきても文句は言えない。


 私は鬱陶しい奴等から離れて町中を歩く。周りの家はカーテンを閉めているものの、コソッとこちらを覗いているのは分かっている。とはいえ私からは何もする気が無いので、ただ歩いているだけだ。


 しかし、その私の目の前に何人かの男が現れた。先頭はロングソードを持った男だ。



 「皆、せめてこんな所に居るヤツくらい我々の手で倒すのだ。一矢報いてやらねばテモニーの男とは言えんぞ!」


 「お前は元騎士か何かか? 随分と立派な剣を持っているな」


 「それが何だ! ヴィダの蛮族など騎士を辞めた私でも……!」



 私は一足で接近し、元騎士というヤツの頭にウォーハンマーを振り下ろした。「ドゴン!!!」という音と共に頭が潰れ、その一撃であっさりと死亡。戦闘は終了した。



 「お前達は平民だな? だったら見逃してやるから、とっとと失せろ。私の命を奪うというのであれば、ここで死ね。………さっさと、どちらか決めろ!!!」



 そう言うと蜘蛛の子を散らすように逃走していく男ども。所詮は騎士崩れか何かが居たので気が大きくなっただけだろう。下らないな。


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