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0834・フェルムスト辺境伯領・後片付け




 Side:アレッサ



 戦場にあったおびただしい血の多くは私が吸収する事で無くなった。その事について何か言いたい奴等が居るみたいだけど、私は無視している。何よりそいつらも言いそうで言わないからね。おそらく私が怖いんだろうけど、だったら言おうとせずに飲み込めとしか思わない。


 血の大半を吸収した私は明らかに変わった。見た目は何も変わっていないみたいだけど、明らかに<真・吸血鬼族>としての位階は上がっている。より回復力などを含めて高い能力になったのが、自分の感覚として把握できた。


 何というか、自分の体の素の能力も向上しているし、吸血鬼としての能力も向上している。そして、ようやく【無限ノ霧】が使用できるという事が分かった。それと同時に使い方もハッキリ分かる。これ、超が付くほどヤバい能力だ。


 自身の体から霧を出し、同時に自らも霧になる能力。相手の攻撃を物理的にも魔法的にも受け付けなくなる霧になってしまうというもの。どう考えても反則的な能力でしかない。把握してすぐにヤバいと思ったわ。


 でも厄介なのは、これ吸収した血を消費して使う能力だから、決して無限に使い続ける事は出来ないというところね。【無限ノ霧】という能力名だけど、無限に使用できないのは覚えておかなくちゃ。ま、滅多に使用しないだろうけど一応ね。



 「レティーの死体処理速度も早いわねぇ。私の血を吸う速度もどんどん速くなってるけど」


 「一応処理していますが、味覚は切っていますよ? だって乾涸びている死体なんて美味しくないですし。それにそもそも人間種の死体があんまり……」


 「ああ、ねえ……。とはいえ処理するには重要だから、レティーが処理してくれないと大変なのよ。代わりに栄養剤を出してくれてるから丁度良いとは思うけどね。問題はそれを使うかどうかだけどさ」


 「栄養剤ってどういう事?」



 ヴィーやウィルミナに辺境伯が近寄ってきたけど、おそらく私達に対する雰囲気が悪いからでしょうね。この後で敵軍に味方されたら堪ったもんじゃないし、騎士の一部が兵士などに話しに行っているのもソレでしょう。明らかに顔色が変わったもの。



 「レティーはスライムだけど、食べた物の中で不必要な物や要らない物を外に出せるのよ。人間種の死体とはいえ、当然その中には様々な各種の栄養素が含まれている訳でね。知ってる? 人間種の死体にはリン酸とカルシウムが含まれてるの」


 「それって、農作物に必要な三大栄養素の2つじゃん」


 「そう。だからレティーはその三大栄養素の2つを死体から取り出せるわけ。別にレティーにとって絶対に必要って訳じゃないしね。で、それを今そこのポリバケツに溜めこんでるのよ」


 「成る程。なんでポリバケツが出てきたんだと思ったら、そういう理由か。農作物にとって必要な栄養素って事は、天然の栄養剤であり肥料って事だし……これ畑に使えるんだけど、流石に元の材料を教えると使えないか」


 「でしょうな。死体を元にした肥料と聞いて、使いたいと申しでる者はりますまい。それは誰に聞いても変わらぬかと」


 「まあ、ミクが適当に回収して森か何かに撒くんじゃない? 何処かの森が豊かになる程度なら特に問題ないでしょ。せっかくだから死体とはいえ有効活用しなきゃね。放っておいても腐るだけだし、土地を汚すだけよ」


 「確かに。だからこそ片付けなどに毎度苦労するのだ。戦闘をするのはいいが、町中に入られたら死体の片付けと被害でメチャクチャになるからな。領主としては頭を抱えるしかない。家が傾く事も考えねばならん」


 「被害の補填とはいっても簡単じゃないものねえ。挙句、町中に入られたら被害にあった者達への補償あるし、どうして町を戦場にしたと憎しみを向けられたりもするもの。あの騎士団長、やたらに篭城を押してたけど正気かと思うわ。本当」


 「それでも大人数に対する戦いは、敵を門で防いでの篭城が今までの基本だ。騎士団長の考えも間違ってはいないのだが、あれは門が敵を防げる前提でしかない。そなた達が言っていた通り、アンデッドの核を使われたら門は簡単に破壊されるだろう」


 「だろうね。コレを見れば分かるけど、連中は不死玉として戦場に持ってきていたよ。おそらくは後で粉にして使うつもりだったんだろうね。粉で持って来たら引火する危険があるから」



 ミクが来てアイテムバッグから木箱を出す。その中には不死玉と呼ばれる玉が沢山入っていた。確かに不死玉と呼ばれるように、どれも綺麗な球状をしているわね? これがアンデッドの核なのかしら?。



 「どうしてこの星のアンデッドは不死玉なんていう核を持っているのかしら? 私達の元居た星じゃ不死玉なんていうのは持ってないわよ? 随分と変わってるわねえ」


 「それはこの星の神どもが決めた事だろうから、何を言っても意味は無いよ。聞いたところで何か意味のある答えが返ってくる訳でも無いだろうしね。これが爆薬というか火薬として使えるという事実の方が重要」


 「それは確かにね。後で辺境伯が騎士団長を連れて実験すればいいんじゃない? 粉にして設置し、遠くから魔法で火をつければいいわ。それで大爆発するから。ヴィーなら安全に実験する方法も分かるから、ヴィーに相談しなさい」


 「うむ、そうだな。そなたらがそこまで言うぐらいだ、どれだけ危険なのかは把握しておいた方が良かろう。事と次第によっては我が国も入手せねばならんかもしれん。テモニー王国は<死者の谷>を持っておるし厄介な事だ」


 「アンデッドの湧く魔境ですよね。テモニー王国だけは好き勝手に不死玉が使える訳ですし、何か対抗策を持っておかないと危険です。ですけど、対策なんてありますかね?」


 「それこそ強力なクロスボウで対抗するのが一番なんじゃないの? 実際にガイアでも、強力なクロスボウは戦争での使用を禁じられたくらいだし。理由はプレートアーマーを貫いて簡単に殺してしまうから、だったかな?」


 「なにそれ?」


 「非人道的、つまり戦争で大量の騎士が死んでしまうから止めろって事らしいよ。特にプレートアーマーを着ているのは貴族かお金持ちだったから、その階級の者達は自分達が殺されてしまう武器をどうしても禁止したかったんでしょ? 情けないと思うけどね」


 「本当に情けないわね。自分達が殺されてしまうから嫌ってさ。だったら戦場に出てくるな、としか思わないわよ」


 「これが最初に作った手慰みのクロスボウだよ。普通の人間でも引けるような張力で作ったお試しの物だね。これあげるから強力にして兵士に装備させればいい。扱いは簡単だから、農民兵に持たせてもプレートアーマーを貫くよ」


 「………そんな武器があるのですね。こんな物が誰にでも使えるようになれば非常に危険です。それはどのようにお考えですか?」


 「考えても無駄だよ。そもそも不死玉だって絶対に流出する。どれだけ厳重に管理しても、中の者が金銭で買われたりすれば漏れるしね。そもそもこれは不死玉に対抗する武器として見せただけ。量産できたら王に言って国軍の武器にすればいい」


 「それなら大量に配備できるでしょうし、クロスボウは特に防衛戦で効果を発揮するからね。野戦なら土嚢を積むか塹壕を掘るべきかな? でも土嚢の方が良いか」


 「そうだね。戦地に丈夫な布の袋を持っていって、戦場に着いたらせっせと袋に土を入れて乗せていけばいい。それであっと言う間に陣地を構築できる。土嚢という盾があるんだから、後はそこに身を潜めながらクロスボウを撃てば良いだけだよ」


 「それってさ、既にやってる事が近代戦術じゃん。この国も周辺国も、まだ中世並の戦術しかないんだけど?」


 「あくまでも土嚢を積んだりして陣地を構築するだけだよ。浸透戦術までは教えてないんだから、近代戦術とまでは言えないね。あくまでも戦国時代に盾を並べて戦ってたのと変わらないでしょ。それよりは強固だけどさ」


 「ごめん、おれもよく分からない。浸透戦術ってなに?」



 私も聞いた事が無いけど、近代戦術って事は銃とか戦車が一般的になった戦争の事かしら?。


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