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0832・フェルムスト辺境伯領・領都前の野戦




 Side:アレッサ



 辺境伯領に来て6日経った。色々と細々とした事とか食料などを運び入れたりしていたけど、いつまで経っても来ないから困ってたのよね。何があったか知らないけれど、第2王妃が適当な事を教えられていなかったと分かって何よりよ。


 あくまでも第2王妃は【善なる呪い】という嘘は吐けない呪いに掛けられただけで、元々嘘を教えられていたら騙されるところだった。ただ、その場合は争いも起きないから平穏ではあったんだけどね。そっちを期待していたのも領都には多く居たのよ。


 とはいえ攻めて来るのは敵国だから、こちらのタイミングで迎撃できる訳じゃないし止めさせる事もできない。止めさせるには国境に軍を派遣しなきゃいけないけど、その肝心の軍は北に行っている。


 ナロンダが遅かったのは、それを確かめていたからじゃないかと思う。王都に間者を入れたりしてるだろうし、そいつが今までおかしな事をしていなかったら分からないもの。王都から軍が出発し、その情報が届いてから出発して攻め込む。これぐらい時間が掛かるのも仕方ないかな?。


 ナロンダはデジムに負けてるし、それで慎重になったのなら分からなくも無い。傭兵は多い国だけど、その分多くのモンスターを抱えている国だものねえ。前回はその傭兵をあまり出してきていないみたいだし、今回は本格的に出してくるかもしれない。


 ただし自国内が危機に陥るまで傭兵を出してくるとは思えないし、応募するとも思えない。モンスターを狩れば暮らしていけるんだし、余ほど成り上がりたいっていう野心を持ってないと多数にはならないでしょ。



 「その多数になった場合でも、蹂躙する敵が増える程度の話でしかありませんしね。ボクもそろそろ魔法を使った戦いを経験しろと言われてますし、今回からは魔法を使わせてもらいます」


 「って事はミクから解禁された訳ね。今までは本体空間での練習だったけど、それはクリアという事かー。魔法は慣れてないと同士討ちになる可能性があるからね。特に私達みたいな魔法を乱射できるタイプはさ」


 「それでもこちらは楽ですよ。デジム王国では魔法は使えませんでしたからね。こちらではミクさんを知っているというか、知らせた人達が居るので魔法が使えます。正直に言ってボクは魔法の方が得意ですから、そちらの練習をしたかったんですよ」


 「それは仕方ない事でもあるから、どうしようもないんじゃない? 【根源魔法】を見せて興味を持たれても困るしさ。ここで何かあっても辺境伯が突っぱねてくれるから出来るけど、デジムじゃ難しかったでしょうし」


 「そうですね。それより明日か明後日に来るらしいですけど、準備は整ってるんでしょうか? 邪魔をされていたりしなければいいんですけど……」


 「大丈夫じゃない? ミクが毎日見張ってるし、ここ最近悪人になったヤツは全員善人に変えられてるんだからさ。裏切り者は強制的に善人になっている以上、普通の町より強固でしょ。裏切りを許さないんだから」


 「そう、ですね。心配してても始まらないですし、後は本番を待つだけですか」


 「そうそう。ドーンと構えて待ってればいいのよ」



 そこまで緊張する戦いでもないしね。国境で見張ってた連中が帰ってきたらしいけど、敵の数は1600ぐらいだったらしいわ。辺境伯領の騎士と兵士は合わせて400。それプラス傭兵を集めても500~600にしかならない。


 兵数差は2.5倍から4倍にものぼる。それでもわたし達は負けないし絶対に勝てるのよねえ。相手の兵に傭兵が多い事もあるけど、それ以上にわたし達が戦うから負けない。それこそ血を大量に吸収するチャンスでもあるし、どうにか手に入れられないものかな?。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:マハル



 情報が来た次の日、ようやく敵軍が辺境伯領の領都前までやってきました。ここが平原で兵が一番展開しやすい場所なんです。わざわざ奇襲もせずに待っていた最大の理由は、ここで逃がさずに蹂躙する為。何故なら敵は深く入り込んでいますからね。


 それに向こうは到着したところであり、体力は消耗したままこちらとの戦闘に入らなければいけません。明らかにこちらが有利ですが、相手はこちらの数が400しか居ないので楽勝だと思っているらしく、大きな笑い声が聞こえてきました。


 しかしそんな事を気にする事無く、ヴィーが大きな声を上げて口上を言います。



 「我が国の騎士、兵士、傭兵諸君。愚かな敵がノコノコとやってきた! 彼奴きゃつらは僅か4分の一しか居ない我らに破れ、尻尾を巻いて逃げるであろう!! 奴等の生涯に恥を植え付けてやれ!! 先鋒、突撃ーーーーーっ!!!」



 尻尾を巻いて逃げる、という言葉は獣人にとって耐え難き恥だと聞きます。現に敵軍からは怒りの声が聞こえるのですが、一番前に居たアレッサさんが景気良く声を挙げながら突撃していくと、その後ろで最大サイズになったセリオも突撃を始めました。


 ボクは慌ててその後ろを追っていきますが、敵味方から驚きの声が上がっています。味方はともかく敵は驚いていて良いのですかね? 高さ4メートルの生物が突進してくる事の意味を分かっているのでしょうか?。



 「おぉぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 「ガァァァァァァァァァッ!!!!」



 アレッサさんとセリオが気合の入った声で敵軍に突っ込みました。敵は驚いていたからか対応が間に合っておらず、アレッサさんの斧の攻撃と魔法を受けて混乱しているようです。ちなみにアレッサさんはギリギリで右に跳び、そちらの方に攻撃をしかけました。


 そしてセリオは真っ直ぐ進み、【竜鱗】スキルと【吶喊】スキルで敵を轢き殺しつつ撥ね飛ばしています。もちろん踏まれた敵は一撃で潰れて死にました。冗談でも何でもなく天災レベルの災厄が顕現けんげんしているような感じでしょうか? 後ろから見ていても酷い。


 ミクさんはカイトシールドとウォーハンマーで左の者達を蹂躙し始めました。なのでボクは少々突っ込んでから敵を倒していきます。魔法はあまり強力ではない【火弾】と【土弾】を使い、周囲の敵を近寄らせないように戦う。


 完全に敵軍に突っ込んだ乱戦になるので、後ろからの敵に対して使えと言われています。気配で敵を察知し続け、後ろから襲ってくる敵に魔法、前方の敵は物理攻撃で倒せと。


 今始まったばかりですから最後まで上手くいくかは分かりませんが、それでも今のところは上手くいっています。この調子で戦っていきましょう。それとセリオが敵軍の最後方まで蹂躙したらしく、引き返してきました。


 もしかしたら最初の1回で命令系統が潰れた……つまり敵軍の総指揮官が死んだかもしれませんが、これに関しては諦めてもらうしかありませんね。ミクさんがそれを指示していましたし、生半可な攻撃じゃセリオに通じませんから。


 そもそもドラゴンと1対1で戦って勝てるんですから、人間種が1600居ても勝てる筈がありません。ドラゴンを相手にするのと同じく蹂躙されて終わりです。当たり前の結果ですね。


 デジム王国の戦争と違って気楽なのか、ボクも張り切って戦えています。単に慣れただけなのかもしれませんが、今までと違って敵の動きがよく見えますし周囲も把握できている。自分でそれが良く分かります。


 こういう時こそ調子に乗らないようにしなければいけませんね。少し気を引き締めましょう。



 「アッハッハッハッハッ!! そらそらそらそらそらぁ!!」



 アレッサさんが躍動しすぎと言いますか、前回の戦争時にも見ましたけど、目が真っ赤になってらんらん々と輝くんです。まさに吸血鬼としか思えません。


 漫画で見たのとソックリですけど、気付いていないっぽいんですよね。自分の眼は見えないからでしょうか?。


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