0815・寝室での雑談と夜の掃除
Side:マハル
何故かボク達の寝室に来た第4王子は、ミクさんからバニ○バーを受け取りつつ話を始めました。何か話したい事でもあったんでしょうか?。
「いや、おれの事はヴィーと呼んでくれと思ってさ。第4王子、第4王子と呼ばれるのもアレ過ぎるし、毎回微妙な気分になるんだよ。それを言いに来たのと、現実的に聞きたくてな」
「現実的に?」
「ああ。そもそもだけど、おれって王城から離されてるじゃん。ハッキリ言って、返り咲く可能性は低いんだよ。今まで毒を盛られてたって言っても、社交的には殆ど熟してない訳でさ。貴族の間でも認知されてないって言うか、今ひとつな訳だ」
「言いたい事は何となく分かります。ボクも侯爵家の庶子でしたし、社交界のパーティーなんて出た事が無いんですよね。庶子で男だと家を出る事が決まってますから、わざわざ社交の場に出されませんし」
「男なのに呼ばれないのか? それはおかしい気がするんだけどな。女性の場合は男を見定める場っていうのもあって、男女共に社交の場には出る筈。男で庶子だからっていうのは聞いた事がない」
「それはボクが元マンドレイクだからですよ。アルラウネの国では女性優位で、アルラウネである女性が家を継ぐんです。マンドレクである男は家を出るのが決まってまして、挙句ボクは庶子なので余計に必要が無いって感じです」
「はー……この世にはマンドレイクとかアルラウネとかの種族も居るのか。初めて知ったけど、ビックリだわ。いや、ホント」
「本来のマンドレイクやアルラウネは頭の上に花が付いてるんだよ。その花を奪われると死んでしまうから、絶対に他人が触っちゃいけないのと、その花から香りを出してくるから気をつけろってトコかな」
「毒の香り、麻痺の香り、魅了の香り。大別するとこの3種の香りを使ってくるから、いきなり苦しむ羽目になったりするので気をつけた方がいいわね。でも香りは敵味方の区別が無いから、滅多に使って来ないけど」
「怖いなー、ある意味で毒ガス兵器じゃん。まさかそんなものを持ってる種族が居るとは思わなかった。南東の大陸には悪魔みたいな種族が居るって聞くし、こっちの星も色々な種族が居ると改めて思う」
「悪魔みたいな種族ってどんなのよ?」
「おれもあんまり詳しくないけど、なんか蝙蝠みたいな翼を持つって聞いたからさ。それで悪魔みたいって思ったんだよ。実際には見た事も無いし、分からない」
「第4王子殿下が仰った通り、蝙蝠の翼が生えているのと、黒い鞭のような尻尾を持つと聞きますね。それと種族別に角が違っていたりするそうです。体に毛は無いとも聞きました」
「全く無い訳じゃないんだろうけど、おそらく獣人に比べて毛が無いって事だろうね。となると悪魔っぽい可能性が高くなるけど、その辺りは特に気にしなくてもいいか。悪魔だろうが何だろうが、敵になりゃ倒せば済むし」
「豪快だなぁ。そっちは旅をしているみたいだけど、何でまたこっちに来たんだ? 西の大陸に居たって聞いたものの、それ以上は何も聞いてなかったからさ」
「私達は色々と回って見聞きしているだけですよ。見聞の旅みたいな形ですかね?」
「そうだね。ゴブルン王国では小競り合いというか領地同士の戦争があり、それが終わったら王都に移動。そうしたらロフェルが第3王子に殺されて、ブチギレて【瘴気の苗床】にしてやって、復活したから国境の魔境に移動」
「そこで隣国のコボルトの国であるコルクサが攻めてきたから戦争に参加して、返り討ちにした後で南のオーレクト帝国に移動。そこでマハルと会ったり殺されたリ復活したりがあって、帝都へ移動したの」
「帝都でも色々あってゴブルン王国へ戻り、今度は北のマリウェン王国に行って海産物を食べ、それが終わったら自由国家バンダルを通って南へと行きました。ちょっと時間が掛かりましたがオーガの国に到着。船でこちらの大陸に渡って来たんです」
「こちらではデジム王国の東に行き、国境でナロンダ国の侵略を防ぐ戦い。北の国境ではボンクルの侵略を防ぐ戦いに参加。それが終わったら混乱が少しは落ち着いたであろうナロンダへ行き、そのまま通り過ぎてヴィダへと来ました」
「長いなー。色々な所を旅してるのは確かに分かるよ。凄いなと思う反面、戦えないと絶対に死んでる旅路だよね? よくもまあ、そんなに色々な所で戦うもんだと呆れてくる」
「第4王子殿下、そろそろ寝室に戻られたほうが良いですよ。遅くまで居ては御迷惑ですし」
「うん? いや、そうだけど、おれの事はヴィーでいいよ。殿下、殿下って面倒臭いだろ? 流石に素がバレてる以上、王子扱いはしなくていいさ。肩が凝るし面倒臭い」
そう言いつつ部屋を出て行きましたけど、こっちを疑ってたのか、それとも話が聞きたかっただけか。何だか微妙な感じでしたね。ただ、スキルの系統は持っていないので、疑っていたとしても何処まで知れたかは疑問ですが。
アレッサさん達も部屋に戻られたので、ボクはさっさとエアーマットを敷いて寝転がりました。後は寝るだけですし、さっさと寝ます。ミクさんは悪人の掃除に行くそうですが、これはいつもの事なので気にする必要もありませんね。
それじゃ、おやすみなさい。
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Side:ファーダ
今は夜。ミクと共に辺境伯の屋敷を後にし、俺達は領都の掃除に出た。悪人の掃除はいつもの事だが、ここの領都は念入りにしておかなきゃいけないだろう。あの第4王子こと、ヴィーの監視役が居る可能性が無いとは言えない。
毒を使うなどという直接的な行為で殺しに来ている以上、向こうは徹底的にやる筈だ。失敗したら第2王妃や第2王子だけじゃない、第2王妃の生家である侯爵家まで破滅する可能性が高いんだ。向こうからすれば失敗は死を意味する。
特に喧嘩を売ったのが武闘派の公爵家と言うなら、尚更バレたら終わりだと思っているだろう。子供だけなら裏取引があったかもしれないが、正妃である公爵家の娘まで殺害している。これはもう戦争案件だからな。
たとえ王が許可していたとしても、バレれば王が病死しかねない。公爵家という事は、言葉は悪いがスペアなのだ。場合によっては現王家がスペアに回るという可能性すらある相手が公爵家。そこを敵に回すのはマズいの一言では済まない。
言うなれば手にかけたとしても正統性があるのだ。毒殺という事を明るみにすれば、王家交代が起きても国内の貴族は納得する可能性がある。実際に起きてみなければ分からないが、暗殺を大々的に認める事は国家として不可能だろう。
それは国家としての名を地に落とす行為でしかない。もちろん何処の国も似たような事をやっているが、それを公に認める訳にはいかないのが国というものだ。たとえ表だけとはいえ取り繕う必要があるし、それが出来なきゃ蛮族国家の仲間入りとなってしまう。
何処の国の貴族であっても、それは納得しないだろう。国内の反発も相当厳しくなるし、国民も納得はしない。場合によってはクーデターが発生し、現王家は引き摺り下ろされて別の国に変わる場合もある。実際に無いとはいえないんだよ、ガイアの歴史でもあったし。
それにしても悪人の少ない町だな? スラムも含めてもっと治安が悪いと思っていたんだが、どうもそんな感じじゃない。不思議なものだが、それだけ辺境伯が頑張っている証か。それでも悪人自体は居るんだけどな。
脳を喰ったレティーいわく、第2王妃の手の者は居ないらしい。喰ったのは全てチンピラ程度のようだ。今までで一番楽な町だな。たまにはこういうのも良いか。




