0813・鑑定の石板で調べてみた
Side:アレッサ
本題からズレたけど、本題に戻して再び話を始める。そもそも第2王妃が自分の息子を王位につけたくて暗躍してた訳だけど、正妃まで殺害されて犯人が分からないってどういう事なのかしら?。
「王城の中でどういう捜査、じゃなくて調査が行われたかは知らない。私に知らされたのは母上と兄上が亡くなったという事だけだ。しかし陛下がそれを知っておられるのかどうかは分からない。でも母上は公爵家の者なんだけどな?」
「確かにそうですね。それも武闘派の公爵家であるデューダス公爵家です。もし罪がバレたら、フィルオル侯爵家に必ずや攻め込まれます。デューダス公爵家によっては舐められたようなものなのですから、当然の如く許しはしないでしょう」
「あそこは古き代の王弟が元の家であるし、その王弟は敵国を何度も打ち破った方であるしな。かつては仲の悪かったナロンダさえ幾度も退けた名将と言われる方でもある。その名を傷つけられれば報復するのは当然だろう。理屈ではないのだからな」
「祖先から続く名を貶めぬ為にも止まらないでしょう。本当にフィルオル侯爵家は碌な事をしませんね。北のテモニー王国は未だにこちらを狙っているというのに……」
「己の欲しか考えておらんのだろう。挙句、嫁ぐ際に連れて来たという事は、その時から毒で亡き者にする事は考えておったという事だ。これではデューダス公が止まる事など絶対にあるまい。滅ぼすまで止まらんぞ」
「フィルオル家が悪いのですから、甘んじて受け入れて貰うしかありませんね。どう考えても無理です。止める方法も、止める理由もありません」
「第2王妃もさる事ながら、第3王妃はどうなのだ? そちらはあまり聞こえてこぬが」
「私には分かりません。毒などを扱わされていた以外には何も教えていただいておりませんので……」
「全てを知っているのは第2王妃だけか。少なくとも体調が治るまでは我が家で療養していただき、それが終わったら王都へと行かねばな。陛下に事のあらましを知らせる為にも手紙を書かねばならんか」
「中を見られるのはマズいので、確実に陛下に届くようにしなければいけませんが……」
「我が家は辺境伯だからな、正直に言って中央には詳しくない。誰に送れば確実に届くかなど分からんし、どうすれば……」
「今は第4王子が良くなったのも黙っておいたら良いんじゃない? そしたら向こうも動かないだろうし、体調が治ったら直接行けば済むでしょ。誰が第2王妃に内通してるか分からないって素直に言えば、流石に王も納得すると思うけど?」
「まあ、そうだな。流石に陛下も分かって下さろう。迂闊に手紙を送っておかしな行動をされるよりはいい」
どうやら決まったようね。わたし達は町の宿に泊まるから帰ろうかと思ったら、何故か辺境伯の屋敷に泊まる羽目になったわ。どうやら他にも細々とした事の相談に乗ってほしいらしい。
「その前にハッキリさせておこうかい。第4王子の記憶に関してさ」
シャルがそう言うので第4王子の記憶に関して正しく説明し、ミクが取り出した色々な物を見て辺境伯親子も理解したようだ。ちなみに第4王子はエアーマットを欲しがった。ベッドが合わなくて体が痛いそうだ。
「仕方なく我慢してるけどさ、王城でも変わらないんだぜ? 硬いベッドで寝て翌朝には体が痛いっていう事を繰り返すんだからやってられないよ。木のベッドで布を何枚か重ねるだけ。そんなのでクッション性なんて確保できる訳ないだろ」
「それなら平民の方が良いベッドで寝てるかもね。藁だけど、使う当初はふんわりしてるからさ。それに数が多くあれば少し潰れてもクッション性は多少残るし、そっちの方が暖かくて良いと思うけど?」
「マジか……。古いアニメにも藁のベッドって出てきたけど、あれって案外良い物だったんだなぁ。っていうか昔から使われていた以上は、悪い物の筈がないのか。まさか王族に産まれたからベッドが悪かったなんて、考えもしなかった……」
「そもそもクッション性なら綿を使えば宜しいのでは? 私の元の星でも、それぐらいは普通にありましたよ。庶民は藁でしたけど、あれは毎日ダンジョンから手に入るので問題はありませんでしたし」
「ああ、ダンジョンかー。通ってた大学のトイレに出来てさ、挑んで呆気なく死んだのが昨日のようだよ。【棒術】だから棒を持って行ったら戦えるだろうと思ったんだけど、全然駄目であっと言う間だった」
「そりゃそうだ。スキルがあるからって、必ず上手く使える訳じゃない。練習しなきゃ駄目に決まってるだろうに。そもそも努力以上のものがスキルだけで手に入る訳がないのは、考えれば分かるだろ」
「そうなんだけど、ラノベとか読んでたら行けるって思うじゃん。それが悪かったとはいえ、あっさりと死ぬなんて思わなかったんだよ。二度とモンスターを舐めたりしないって思ったね」
「死ななきゃ分からない時点で、駄目なヤツにしかならないんだけどね」
「そういえば転生した訳だけど、今のあんたって何のスキルを持ってるの?」
私が気軽に聞いたら、何故か腕を組んで悩み始めた第4王子。わたし何か変な事を聞いた? 別におかしな事なんて聞いてない筈だけど?。
「そうじゃなくて、何となく分かったりとか、夢の中で教えてもらったりとか無いんだよ。だから戦闘系のスキル以外は非常に分かりにくいんだ。戦闘系とか気配を調べる系のスキルはハッキリしてるんだけど、それ以外はなぁ……」
「もしかして、それでスキル持ちの騎士なんていう言われ方をするわけ? なんでスキルを持ってる程度で調子に乗るのかと思ってたけど、そういう理由からだったのねえ」
「スキル持ちは相当に優遇されるのだが、どうやら君達にとってはそうでもないらしいな。ある意味で羨ましいものだ。私など、何度スキルが欲しいと思った事か」
「だったらミクに鑑定の石板を貸してもらえばいいじゃない」
私がそう言うと驚いたような表情になり、鑑定の石板の事を聞いてくる第4王子。どうやら鑑定の石板が何かは、言葉からすぐに分かったらしい。自分を調べたくて仕方ないのだろう。ミクが呆れながらも出している。
そしてすぐに手を置いて内容を確かめたが、驚くと同時に何ともいえない顔になる。
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<ヴィドラント・ユークス・ヴィダ>
種族:狼人族
年齢:15
性別:男
スキル:前世記憶・毒耐性
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「………いや、まあ、何というか。【毒耐性】の御蔭で助かったんだろうけど、何とも言えなくなってくるな」
「貴族とか王族で【毒耐性】は結構当たりの部類だと思うけどね。実際に行われた以上は、持ってて良かったろ? 無きゃ死んでたんだしさ」
「それは確かにその通りなんだけど……」
そんな話の横で、辺境伯と娘も鑑定の石板を使ってる。それ自体は悪くはないんだけど、娘の方の鑑定結果に全員が黙って見ないフリをした。
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<アッディド・ゲイム・フェルムスト>
種族:狼人族
年齢:47
性別:男
スキル:疲労耐性
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<ウィルミナ・ゲイム・フェルムスト>
種族:狼人族
年齢:16
性別:女
スキル:暗殺術
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「………」
「「「「「「「「………」」」」」」」」
父親である辺境伯まで黙っちゃったものねえ。ま、気持ちは分かるけど。




