表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
813/1002

0809・取調べ




 Side:テイメリア・フェルス・ゴールダーム



 ナロンダ国の王都で情報収集をしてから15日。私達はナロンダ国の東にあるヴィダ国へと来ています。ここは大陸の外側ですので国が乱立している中央とは違っており、そこまでいさかいや争いが多い訳ではありません。


 本当はもう少しゆっくりする予定だったのですが、何やらこの国がキナ臭いという事でして、予定を早めて来ました。ナロンダ国とヴィダ国は昔から関係が良好だったそうですが、ナロンダが弱った今は何をするか分からないという警戒が聞こえてきたのです。


 なので私達がやってきたのですが、現在私達は1つ目の町で足止めを受けています。その理由は、この国が別の意味で揉めているからだそうで、それは王位継承権の問題です。ここ辺境伯の領都には王子が匿われていたそうですが、その王子に対し暗殺者が差し向けられたと聞きました。


 おかげで現在私達も怪しまれており、取調べのような事を何回か受ける羽目になったのです。疑いが晴れたのかどうかは分かりませんが、少なくとも拘束されての尋問や拷問はありません。まあ、それがあったらとっくに喰われているでしょうが。


 しかし面倒な国に来てしまったものだと話していると、またもや宿に領主から派遣された騎士が来ました。いい加減にうんざりしているのですが、どれだけ迷惑を掛ければ気が済むのでしょう。この町を出て行けるなら、即刻出て行くべきです。



 「お前達の容疑は晴れていない、ならば調べられるのは当然であろう。さっさと来い!」


 「お前達が疑い続けているから、いつまでも晴れないんだろう。こんな所さっさと出て行くっつってるだろうに、それも出来ないようにしているのもお前達だろうが」


 「口を開くな! 黙って従っておればよい!!」



 また始まりましたね。この者達は本当に変わりません。大声で怒鳴ればどうにでもなると思っている蛮族です。いい加減にしてほしいのですが、いったいいつまで私達を疑うつもりなのでしょう。ミクもそろそろ限界みたいですし、一斉に掃除をする可能性が高いですね。


 疑われているから黙っているだけで、我慢の限界を超えれば全て貪り喰うでしょう。それも悪人判定は相当に厳しくなるでしょうしね。王子が居るのかどうかなど旅人の私達が知る訳ないのですが、何故理解出来ないのでしょう? 不思議です。


 再び兵士の詰め所に連れて行かれた私達は、バラバラにされて同じ質問を繰り返されています。



 「言え! お前達がやったんだろう!!」


 「だから、前にも申しましたが、どうやってやるんです? そもそも私達がこの町に来たその日に犯行があったらしいではないですか。そんな目立つような状況で、私達が泊まっていた宿からどうやって知られずに移動するんでしょうか」


 「お前達が話せば済むだろう。さっさと話せ!」


 「話になりませんね。その理屈が通るのであれば、誰でも暗殺者に仕立て上げられるでしょうに。自分が何を言っているかも理解していないのですか? 何の根拠も論拠も無く、ただお前が犯人だと喚いているだけですよ? それにいったい何の意味があるのですかね」


 「グッ! お前達のような者が町に入り込んで「だからどうやって?」殿下を……」


 「疑っている貴方がたが立証しなければならないのでしょうに、その立証までも疑っている相手にさせるというのは意味が分かりませんね。それとも私が言っている事が分かりませんか? 調べるのは貴方がたの仕事ですよ?」


 「キッサマーーーッ!!!!」



 私の頭を強引に壁に打ち付けましたが、この程度など何ともありません。むしろ思いっきり怪我をさせてくれれば、ミクが必ず大きな反撃をしてくれるでしょう。実はこの町に既に5日も勾留されているのです。既に私も我慢の限界を超えそうでしてね、この者達を悪人に仕立て上げる為にワザと挑発をする事にしました。


 暴力を振るわせれば自動的に悪人になりますからね、そうであれば復讐は自動的に成るという事です。いい加減にしてほしいですから、こういう形に出る事にしたのは必然とも言えるでしょう。



 「………」


 「死ね! 死ね! 死ねぇぇぇぇぇぇ!!!」



 何度も壁に頭を打ちつけてきますが、私は冷めた顔で相手を見ます。自分の思い通りに行かないので癇癪かんしゃくを起こした子供のようですね。無様なものですが、何故ここまで私達を執拗に犯人扱いするのでしょうか? もしかして……。


 そう考えた矢先、取調べを受けている個室の扉が開き、外から騎士が雪崩れ込んできて兵士の男を止めました。それだけではなく床に押し倒し、縄で縛り付けています。



 「兵士長、貴様を殿下暗殺未遂の犯人として捕縛する。これは辺境伯の令状だ。貴様に拒否権は一切無い。更には拷問まで許可されている。覚悟せよ!!」


 「なっ!? グッ! くそ! 放せぇ!!」


 「連れて行け!!」


 「「「「「ハッ!!」」」」」



 騎士達が部屋を出て行きますが、あの男が犯人だったのですか。通りで私達を必死に犯人に仕立て上げようとする筈です。異様な程に町に勾留しようとしますし、変だと思いました。今日こんな事があるなら、暴力の受け損では?。


 騎士も何もかもが出て行った部屋で、納得のいかない感情が沸々と湧いてきます。何というか、完全に舐められているなという思いが溢れてきました。ここでは平民が暴力を受けるなど日常茶飯事なのでしょうか?。


 考えが纏まらないまま何かの感情が煮えたぎってくると、ミク達が部屋に現れました。他にも誰かが一緒に居るようですが。



 「まあ! 大変!! 早く手当てをしなければいけません。血が出ていらっしゃいます!!」


 「おやおや。ティアが頭から血を流しているのに、さっきの騎士は無視した訳かい。辺境伯っていうのは、どうやらその程度らしいねえ。兵士長ってのが犯人だった訳だし、自分のお膝元で何をやられても理解していないみたいだ。随分と部下に舐められてるようじゃないか」


 「平民なんてどうでもいいんでしょ? 私達はこの国に来たばかりだけど、辺境がコレではね。この国の顔に泥を塗ってるんだけど、辺境では理解していないのか、それともその程度の国なのか。どっちにしても大した事はないわね」


 「それ以前にボク達が別の国に行って、ここはその程度の国だったと話したら名が落ちるんですけどね。その程度の事にも思い至らないって、田舎者あるあるって感じでちょっと面白いです」


 「マハルも辛辣だねえ。とはいえ仲間をこんな目に遭わされたんだから当然か。ま、この程度の領地か国かは知らないが、あたし達は根無し草である以上どうでもいいさ。この国や辺境伯の事を考えてやる義理も無いし」


 「そうですね。あそこに行くと無実の罪で監禁されて暴行を受けるとでも言っておきましょうか。貴族にとって醜聞は蜜の味ですから、派手にバラ撒いてくれるでしょう。嬉しそうに他人の揚げ足をとるのが貴族ですし」



 私の頭の手当てをしている令嬢の雰囲気が宜しくないですが、どうやら辺境伯家の者のようですね。そしてその事に気付いていながら容赦の無い声を浴びせる皆。ワザとでしょうけど、今までのイライラもあって手加減が一切ありませんね。


 まあ、私も皆の立場なら嫌味の10や20は言ったでしょうけども、今は後頭部が痛いので黙っておきます。それにしても血が出ていたとは知りませんでしたが、確かに怪我をしている女性を無視する騎士というのは……。


 碌な者ではありませんね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ