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0795・ボンクル軍の会議




 Side:ファーダ



 妙な騎士がミクに因縁を付けてきたらしいが、俺はボンクル軍の方に来ている。今は会議を行っているテントの中に透明ムカデの姿で忍び込んでいるんだが、どうやら傭兵の被害は全く気にしていないようだ。傭兵に対する扱いがよく分かるな。



 「さて、辺境伯の町を攻めてみたのだが、予想外の結果が幾つか出たね。傭兵の諸君の御蔭で、思っている以上の情報が得られてありがたい限りだよ。これで兵士を無駄に減らす事なく戦える」


 「それは大変よき事と思いますが、これからどのように攻めますか? 梯子は壊されましたが予備は後6つ有りますので問題はありません。しかし同じ攻めでは同じだけ死者が出かねませんが……」


 「そうですな。傭兵400のうち、半数の200が死んだと思われます。流石に傭兵はもう使えますまいし、使えるとしても町に攻め入った後でしょう。でなければ反発は必至」


 「当然分かっているさ。そもそも傭兵達に期待していたのは、相手がどれほど守っているかと、内部の者との情報交換をその間にするという事だ。で、どうだったんだい?」


 「ハッ! 結論から申し上げますと、複数の予定されていた方法を使い連絡をとろうとしましたが、全てに反応がありませんでした。この事から周囲の目が厳しく反応できなかったか、もしくは全て潰されていると思われます」


 「………全てかい? となると潰されている可能性が高いね。いやー、ここに来て潰されているとか参るなあ。我が軍の出立まで問題なかったのに、現地に着いたら全滅してるとか……予想外に向こうさんもやるものだよ。ワザとだったとはね」


 「我らが来る前に大掃除を終わらせたという事は、向こうは間者が居る事を知っていたどころか、完全に把握されていたという事になります。敵ながら、ここは拍手を送るところですかな?」


 「そんな事を言っている場合か。内部から呼応する者が居らねば、普通に門攻めをせねばならんのだぞ。それではかなりの損害が出てしまうわ。殿下の御名に傷が付いてしまうぞ!」


 「いや、ボクの名前なんてどうでもいいんだけどね。それより楽に攻略できる目が潰えた以上、出来得る限りこちらの被害を抑えつつ勝利する方法を探らないといけない。それで、辺境伯家に潜ませている者は?」


 「そちらとコンタクトをとるのは夜の手筈になっております。流石に日中では危険に過ぎますので。場合によっては辺境伯を殺害させますか?」


 「それは最後の手段にしたいな。流石に暗殺をやらかすような者は信用されない。仮に我が国があの町を得て統治するにしても、非常にやりにくくなる。陛下も顔をしかめられるだろう。潜在的な裏切りの土壌は作るべきではない」


 「この町以降も手に入れるなら、名声はきちんと得ておく必要がある。前の国と比べて厳しいとなれば民心の離反に繋がるからな。まだ手に入れてはいないが、手に入れた後を考えて行動せねばならん。削って帰るだけでも今回は十分であろう」


 「攻めても無理そうならば決死隊を募る。これは元々からして決定されている事だ。皆には悪いが、その際には門を開けた一番の功労者は決死隊の全員となる。それでも門を開けなければいけないからね」


 「アンデッドの核を砕いたアレを使うのですな? リョーク中央大帝国も何という物を秘匿していたのだとしか思えません。やはり長生きの樹精族は知識や知恵の面で我々よりも上のようで」


 「その樹精族も年々数が減り、ついに内部の統制が効かなくなって分裂ですからな。幾ら知識や知恵があろうと、種としての数が少なくなっていてはどうにもなりますまい。連中は同じ種族としか子をせませんからな」


 「元々の樹精族は未だ中央大森林に居るそうだが、彼らはリョーク中央大帝国には批判的だったという。今も放っておかれているだろう。他にも火精族や地精族も居るが……」


 「彼奴きゃつらは適当に好き勝手に生きておるではないか。森に根ざす樹精族の一部だけが森を出て大帝国を作ったが、それ以外の妖精族は皆生きたいように生きておる。こちらから手を出すべきではない」


 「うむ。少し前にも何処かの国が手を出そうとして、こっぴどくやられたと聞く。そもそも妖精族は強いのだ、欲のままに動くと碌な事にならぬ」


 「あやつらは温和な見た目をしておるが、知識も知恵も異常な程に持つ。そのうえ長生きで、少なくとも500年は生きるからな。我ら80年生きれば良い方だという種族とは違いすぎる」


 「それに妖精族は皆が魔力に優れておる。樹精族は木のような体をしておるし、火精族は真っ赤な体でトカゲのような姿。地精族は逆に小さな体で日の光に弱いし、風精族はいつも何処かを飛んでおる。水精族は水の近くから離れんし、いったい妖精族とは何なのやら」



 ふむ。妖精と言いつつ、体が木のようだったり、小人だったり、トカゲだったりするのか。飛んでいるという風精族と、水の近くから離れない水精族とやらが分からんが、そちらも恐らくは然して変わるまい。


 どうやら人型ではないのか、人型ではあっても人間のような皮膚はしていない、もしくは小さい種族なのだろう。それなら根源の神が人間に似た種族は居ないと言う筈だ。


 ガイアの人間でさえ、肌の色が違うだけで人間扱いしなかったのだ。歴史的にもな。ましてや多種多様な種族が居る星で、人間っぽい肉体を持っていても違いは一目瞭然なのだ。人間は居ないと言っても間違いあるまい。


 ただし二本の腕と二足歩行というのは被ってしまうのだろう。となると、あの姿はやはり優秀な部分があるという事だ。おそらくは物作りを始め、何かを器用に作ったり使ったりするには都合が良いのだと思う



 「妖精族の事はどうでもよい。それより今は町を陥とす為の策だ。横道に逸れておる場合か!」


 「簡単には援軍など呼べぬのだから、じっくり攻め落とせば良いであろう。まずは辺境伯家に潜ませておる者に連絡をとるのが先だ。それが使えぬならば、また改めて話し合えばよい。今性急に決めても良い事など無いぞ?」


 「それはそうかもしれぬが……」


 「何が引っ掛かるんだい?」


 「強き弓を撃っておった者どもが気掛かりです。敵の兵か傭兵かは知りませぬが、アレを排除しておかねば厳しいかと思いまして……」


 「あの吹き飛ばすような威力の矢か。あれは確かに驚異的ではあるが、【怪力】スキル持ちにやらせているのであろうよ。同じ事は出来るだろうし、そもそも数は少ないみたいだった」


 「その事なのですが。傭兵を貫通したものがあったので調べましたところ、クロスボウのボルトもあった事が確認できました。ですので弓持ちとクロスボウ持ちが居るようです」


 「成る程、弓だけじゃなかったんだね。流石にあれ程の威力となると量産は難しいだろうから、おそらくオーダーメイドで作らせたんだろう。そしてそんな物を使うぐらいだから、十中八九は傭兵だと思うよ」


 「でしょうが、だからこそ内部の者に排除させるしかありますまい。壁の上を狙う前に、こちらが狙われてしまいます」


 「魔法は……使う前に射殺されかねんな。そもそも魔法は遠くに放とうとすればする程に難しくなる。弓兵の方が遠くを撃つのは楽だからだが、ただし威力は魔法の方が上だ」


 「そなたは魔法兵を統率しておるからそう言うのは分かるが、今は射程の方が問題だ。あれだけの威力の矢が、短い距離しか撃てんなど絶対にあり得んぞ」


 「分かっておる。しかし、それもこれも、まずは内部の者と連絡がとれてからだ。そなたの危機感も分からんではないがな」



 相当の危機感を持っているようだが、何か理由があるのかもしれんな。もうちょっと探るか。


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