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0779・子供と女性達と座標




 Side:マハル



 行きと同じく5日掛けて王都に帰ってきました。なかなかに大変だったけど、ボク達より騎士や兵士の方が大変だったと思います。後は2~3日待つと正しい評価が下り、やっと報奨金が貰えるそうで、それを待つ事になりました。


 王都に帰ってきた時は戦勝で湧いていましたけど、それはその時だけです。国が守れたというだけで、そもそも何か得があった訳ではありませんしね。とても強い国に勝ったとかならまだしも、すぐに平穏に戻りました。


 ミクさんはナロンダ軍の装備を鉄の塊に変えたらしく、それを売ってくるとの事で町中に行っています。ロフェルさんは宿の部屋で寝ていて、ボクはベッドに寝転んでいますが、今は何かしたいとも思えません。戦争が大変でしたし。


 それに多くの傭兵が亡くなってしまったうえ、その後の生活とかをどうするんだろうと考えると、何とも言えなくなってきます。傭兵の中には結婚している人も居るし、当然子供も居る。とはいえ両親が傭兵だと、今回の戦争で両親共に亡くなっている可能性が……。


 幾ら王都とはいえ孤児院は大きくないだろうし、急に増えた子供を入れる事は無理だ。経営的に無理なんだから、どうにもならないと思う。そうなるとスラムしか行く所は無いし、ミクさんかファーダさんに食べられて終わりかな?。


 何ともる瀬ない気持ちになってくるけど、ボク達が何かを言える事なんて無いし、責任のとれない事を言うべきじゃない。そう、言うべきじゃないんだけど……。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ミク



 王都に戻ってきてから3日。やっと報奨金が出るというので取りに行ったら、1人大銀貨2枚だった。あまりにもふざけ過ぎているだろうと傭兵達が激怒しているが、要らないなら置いていけと言われたらしい。これは話にならないな。



 「ここに敵のスキル持ち騎士を打ち破った、ミク、ロフェル、マハルという者は居るか! 居たら手を挙げろ!」


 「私達だけど、なに?」


 「おお、お前達か。良かったな、お前達は我が国で雇ってやる。感謝しろ!」


 「は? ふざけてんの? こんな褒賞金しか渡さない貧乏国家に誰が雇われるっていうのか聞いてみたいね。寝言は寝てから言え」



 私がそう言うと、傭兵達は拍手喝采を始めた。それはそうだろう、傭兵達は命を懸けて戦ったのだ。それがこの程度であるならばモンスターを狩っていた方が遥かにマシだし、2度とこの国の戦争に参加する気は無い。



 「何だと!?」


 「もう1度言わなければ分からないか? 寝言は寝てから言え。こんなケチ臭い国はさっさと出て行くに限るね、バカバカしい」



 そう言って私達は背を向けて臨時の受取所を後にする。後ろからゴチャゴチャ言っている声が聞こえるが、私達の知った事ではない。ロフェルもマハルも怒っているしね。他の傭兵達の怒りもそうだが、当たり前の話だ。


 そうして宿まで戻っていると、私達の前に居た傭兵団の団長と副団長が話し掛けてきた。何やら私達に相談があるらしい。仕方なく宿まで戻って話を聞く事にする。



 「実はだね………。ちょっと言い難いんだが、村で専属傭兵の仕事を探すと言ったら、他の傭兵団の残された子供も連れて行ってくれと言われてさ。すまないんだが、何処か引き取ってくれる所を知らないかな?」


 「全部で16人の子供と、13人の奥さんが居るのよ。合計で29人を押し付けられてね。ウチだって亡くなった団員の子供が3人に奥さん5人の8人も居るっていうのにさ」


 「つまり合計で37人? さすがにそれは■※#■※□□*―*■※##※*―#※*※#※■―□*※#*※#……?」


 「急にどうしたんだい? いきなり訳の分からない言葉を言い始めたけど……」



 何故私の口から空間座標が出た? いったいどういう事だ? 私は混乱するままに【座標観測】で調べると、その結果まさかの事が判明した。これ葉月家の本邸の玄関前だ! 何故この空間座標が分体の口から出る!?。


 …………どれだけ考えても答えは1つしかない。おそらく【世界】が私に介入したのだろう。それしか考えられない。何故かを考えると……もしかして子供と母親か? それを連れて来いと?。


 仮に違っていてもハルカならどうにでも出来るだろう。金持ちだし。



 「その子供と母親は私が預かるよ、私が信用できるならね。こちらとしてはどっちでもいい。信用出来るなら、なるべく飢えずに暮らせる場所に送る」


 「そうかい。もしそれが本当なら頼む。こちらもなるべくなら助けたいんだけど、我々も自分の食い扶持を稼ぐので精一杯になる。ある程度時間が経たないと、生活が軌道には乗らないだろう」


 「言葉は悪いけど、それまでは荷物を背負っていられないっていう本音はあるの。数ヶ月は忙しくしなきゃいけないだろうし、私達の方にも余裕なんて無い。報奨金がもっと出てたら余裕はあったんだけど、アレじゃ流石に……」


 「それはしょうがないわよ。ミクが大丈夫って言うなら大丈夫だし、さっさと連れて来なさい。今の内に王都を脱出した方が良いわ」


 「あの人達が追いかけてきそうですしね。ボクも流石にあんな報奨金しか渡さない国に雇われるなんて、御免被ります」



 2人は頭を下げると、急いで宿を出て行く。私はその前に王都の門の前に集合だと言っておいたので、おそらく大丈夫だろう。すぐに準備をした私達は宿を出ると、王都の門の前に歩いて移動する。


 まだ王都側なので大丈夫だが、あまり時間は無いかもしれない。どうも私達が役に立つからと軍か何かに入れろと命じられていたのだろう。かなり五月蝿かったからね。とはいえ傭兵がどうするかは傭兵の自由だし、貧乏国家に雇われてやる義理など無い。


 私達が待っていると、先ほどの2人が急いで37人を連れてきた。私達は確認として「これから一緒に行く事になるが良いか」と聞くと、全員が了承した。なので私達はすぐに王都を出た。


 そのまま歩いて進んでいると、後ろから騎士と兵士と先ほどの受取所で五月蝿かったヤツが来た。五月蝿かったヤツは連れて来られたような感じだが……?。



 「少し待て! お前達は戦争で活躍した3人組だな?」


 「活躍したかどうかは知らないけど、3人組ではあるね」


 「お前達が警戒するのも分かる。この男が下らん言い方をした所為だろう。しかし、お前達ならば十分に上にあがれるだけの力があるぞ。考え直さないか?」


 「1人大銀貨2枚なんていう報奨金しか出さない、ケチ臭い国に雇われたい阿呆が居ると思ってんの? あり得ないでしょ」


 「は? 報奨金は1人大銀貨10枚の筈だぞ。何故2枚しか渡されていないのだ!?」


 「そんな事は知らないよ。大方どこかのヤツが懐に入れたんじゃないの? 私達は大銀貨2枚しか貰ってないよ。……そこの連れて来られた奴の顔色が悪いみたいだね?」


 「貴様……しっかりと話してもらうぞ!! 国の顔に泥を塗ったのだからな! 事と次第によっては、その素っ首が落とされるものと知れ!!!」


 「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」



 受取所に居たヤツは私達から離れるように走って逃げ、それを騎士と兵士が慌てて追いかけて行った。私達はそれを無視して歩いて行き、ある程度の距離を離れたら全員を集める。



 「申し訳ないね。全員しっかりと私達の近くに集まって。……そうそう。ぎゅうぎゅうに詰まるぐらいに近くにね。それじゃ、行くよ。【転移】」



 私達の足下に魔法陣が現れたが、相当の魔力を喰っている。遠く離れた星に移動するだけじゃなく、数が多いから余計だろう。本体から神力が流れてきたので問題は無くなったが、やはり魔力だけでは厳しいものがあったね。


 目の前の景色が変わった刹那、私は久しぶりにガイアの地を踏む事になった。目の前にはハルカの家が見えている。本当に懐かしいね。


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