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0074・ギルドとヴェスに報告




 脱出したミクは王都へと真っ直ぐ戻り、探索者ギルドの横の道から裏に回る。解体所に着いたミクは解体師の前で獲物を出していくものの、やはり61階から先の魔物は驚かれた。



 「はー………これが61階から先の魔物かー。っつーか砂漠の地形とか過酷すぎるだろうし、何だこの巨大ミミズは? 尋常じゃねえ皮してやがる。弾力はあるし強靭な皮だしよ」


 「こーりゃ、とんでもねえなぁ。よくもまあ、こんな魔物を倒せたもんだ。聞けば分からなくもねえが、あんたもとんでもねえぜ? まあ61階に行けた時点で既にとんでもねえんだけどよ」


 「そりゃな。とはいえ解体師としての腕の見せ所だぞ。この弾力のある皮は防具の内側に使えそうだし、他にも色々と思いつく。場合によっちゃ高値で売れるかもしれねえんだ。気合い入れろ、お前ら!!」


 「「「「「おう!!!」」」」」



 男達の野太い声が響く中、ミクは木札を貰ったのでギルドの建物へ。その木札にはサンドワームが4匹、サンドリザードが12匹と書かれていた。


 サンドリザードはあまり大きくないので数が出てきたが、サンドワームは体が大きいからかなかなか出てこない魔物だったのだ。まあ、それでも本体空間には3匹の死体があったりするのだが。


 ミクは受付で木札を提出したが、受付は大声を出さなかったものの困惑している。サンド、つまり砂漠系のモンスターが書かれていたからだろう。しかもこの魔物名は暫定であり、正式名称ではない。


 魔物の名前が本当に正しいかは分からず、本決まりするには数ヶ月、あるいは1年かかる事もあるのだ。なので暫定として名前が付けられているので、名前の手前には(仮称)と書かれている。


 受付はどうしていいいか迷った後、その木札を2階に持って行ってしまった。おそらくギルドマスターの所へ行ったのだろう。


 そのミクの予想は正しく、2階へと案内されてギルドマスターの部屋へと通された。昨日の老人は特に顔色を変える事もなく、ミクをソファーに座らせ話を聞く。ミクが話そうとした時、速記人も入ってきた。



 「うむ。速記人も来たので早速聞くのじゃが。この木札の内容から察するに、61階から砂漠の地形だったのじゃな?」


 「そう。………これが地図。なかなかに厄介というか、周囲が砂だらけだから目印が少ない。一応サボテンとか岩とかあるから分かるけど、何もなかったら突破は無理だろうね」


 「成る程のう。流石は61階以降じゃ、それまでとは比較にならんわい。このサンドワームというのは、もしかせずとも大きなミミズなのか?」


 「そう。解体所に行って見てみれば分かるけど、かなりの大きさだったよ。それに地面の下から強襲してくるし、先端がこう、開く奴だった。中にビッシリ牙が生えていて、一度口に入れると引っかかる感じだったね」


 「つまり獲物を喰う牙ではなく、獲物を逃がさぬ為の牙か。そういう魔物もおるが、厄介な事じゃ。釣り針の返しのような役目なのであろうな」


 「サンドリザードは普通のトカゲだったね。可も無く不可も無く。トカゲ肉として食えるんじゃないの? って感じ。特に皮が強い印象は無かったけど、暑さや乾燥には強い感じだったから、そういう効果はあるかもね」


 「ふむふむ、成る程のう。どうやら61階以降の素材は少々特殊な物となりそうじゃ。使えるかどうかは微妙なので何とも言えぬが、それを金に変えるのはワシらの役目。上手く探索者が儲かるようにせねば」


 「今日は70階までしか行けてないけど、70階からは鳥の魔物が出てくるみたい。今日は調査をしながら進んだから、その辺りが限界だったよ」


 「十分すぎる結果じゃの。ところでお主ランクは5らしいの? ゴールダームのギルドマスターは面倒見が良いので有名なのじゃが、何故お主は未だにランク5なのだ?」


 「そもそも私は探索者ギルドに加入して日が浅い。まだ2ヶ月も経ってないんだから、こんなものだと思うよ? ラーディオンからは実力は問題ないけど、実績が足りないから上げられないって言われたね」


 「ああ、そういう事か。………ならば受付で精算する時に……これも出すが良かろう。お主のランクは上げておかねばならん。流石に61階以降に行っておる者がランク5では困る故にな」


 「了解。ま、上がる分にはありがたく頂いておくよ。私の話す事はこれで終わりだけど、何か聞きたい事はある?」


 「いや、無いの。ご苦労じゃった。……そうそう。昨日のバウドのチームも含めて、数組のチームにお主からの情報を持たせて攻略を頼んだ。やはり一人でも突破したとなれば勢いがつくのじゃろう、元気に出発していったわ」


 「誰かが攻略すれば、攻略は不可能じゃないって分かるからね。そうしたら自分もってなるんでしょう、有象無象は。どうして一番になろうと思わないのか不思議だけど」


 「ふふふ、確かにの。とはいえ一番になれる者となれぬ者の差というのは、往々にしてそんなものじゃよ。自分が一番に攻略していればと思うのかもしれぬが、誰かが攻略するまではやる気にならんし、命を懸けん」


 「安全が先で、名を上げるのは後って事か。だから一番にはなれないんだけど、代わりに命の危険からは遠ざかれると。あくまでも遠ざかるだけで、死なないわけじゃないんだけどねー」


 「あの連中がそれを理解しておるかは分からぬがの。さて、聞く事も聞いたし、そろそろ夕方じゃ。ワシも仕事をさっさと終わらせて帰るかの」



 そのギルドマスターの一言で解散となり、ミクは探索者ギルドの1階へ下りて受付で精算を行う。仮称サンドワームが中銀貨1枚、仮称サンドリザードが小銀貨2枚。中銀貨4枚と小銀貨24枚になった。


 そしてランク6になった登録証を受け取り、中央区画へと移動する。今日もまた後ろをつけてくる奴等が居るが、今までと変わらず貴族街の門の手前で引き返して行った。


 変わらないなぁ、と思いつつ、ミクは屋敷に入ってヴェスの執務室へ。今日の攻略の報告を行う。



 「へー……61階以降は砂漠かい。そんな厄介な場所だとは思わなかったけど、同時にそんな場所はミクじゃないと攻略できないだろうねえ。尋常じゃないとしか思わないよ」


 「暑ささえどうにか出来たら攻略できるんだろうけど、その暑さが人間種じゃ大変かな。こっちはそれぐらいだったけど、そっちは? 城に呼ばれたんでしょ?」


 「そうだねえ……ちょっと面倒な事になった、と言えるかな。オールドム侯爵がこっちを強く疑ってる感じだよ。……ああ、オールドム侯爵っていうのは、国境の街セピターを含めた一帯を持つ貴族さ」


 「代官を喰った町か。その侯爵は王都に居るの?」


 「オールドム侯爵は内務の文官を纏めている内務卿なんだよ。だから王都に詰めていなきゃいけない貴族なのさ。どうもあたしが通った所の代官や貴族が死ぬから不審に思ったみたいだ。予想の範囲内ではあるんだけども、ちょっと雲行きが怪しいかもしれない」


 「そうなの? なら喰った方が早いんじゃない?」


 「今このタイミングでオールドム侯爵が死ぬと、完全にあたしに疑いが向くからね。それはちょいとマズい。それにまだ精査中だし、ちょっと喰うには早いね」


 「了解、了解。喰うタイミングになったら教えてよ、っと呼びに来たみたいだね」



 メイドが呼びに来たので食堂に行き、夕食を食べて部屋へと戻る。いつも通り下着姿になったら、ベッドに寝転び関わりを最小限に。後は本体空間で暇潰しをするのだった。


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