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0771・1日目の戦闘終了




 Side:ロフェル



 未だに私達は戦い続けている。特に危な気なく戦っているけれど、段々飽き始めているのが危険だ。同じ事の繰り返しなうえ、余裕で敵を倒せてしまっているからだけど、その所為か身が入らず集中できていない。


 それでも致命的な失敗はしていないので助かっている状況かな? これが普通になると危ないから今の内に気を引き締め直そう。幾ら私が強くなっているからといって、剣を突き刺されたら普通に死ぬ。決してミクやファーダのように死なない訳じゃない。


 マハルもそうだけど、私達は強くなっただけで無敵じゃない。もちろんミクだって無敵じゃないんだけど、私達からしたら無敵にしか思えないんだよね。それでも神様との戦いは分体が滅ぼされる可能性があるらしい。それでもやられるのは分体だけらしいけど。


 私達はそんな事も無いので、ここできっちり気を引き締めないと危険だ。武器をしっかり持って、相手をちゃんと見て、そして致命の一撃を叩き込む。周りを知覚して、敵の攻撃に反応し、確実に敵の攻撃を避ける。……うん、まだ出来るわね。


 戦闘が始まって結構な時間が経ったけど、まだ戦闘そのものは続いている。もう夕日が出ているけれど、未だ戦闘は終わらない。敵が残っている以上は私達の戦いは終わらないし、生き残っている者達も戦い続けている。



 「くそっ! 早く殺せ! でなければ我らの勝ちで終わらんだろうが!!」


 「だったらテメェがやれや! こんなバケモンども、どうやって殺すっつうんだよ! 見本をテメェが見せぶぇ!?」


 「くそ! また殺られちまった!! 何でこんな戦いに参加しちまっば!?」


 「おぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 死ねぇぇぇぇぇぇげべっ!?」



 ミクもマハルもどんどん敵を殺してるわね。私も当然倒していくんだけど、マハルにはそれなりに疲労が見られる。おそらく体力的な事じゃなくて、精神的な事でしょうけど。でもそれを乗り越えないと経験にならないし、後でフォローすれば大丈夫でしょう。


 夕日が沈むまで戦っていたけど、流石に敵を全滅させる事は出来なかった。しかし敵軍が退いていったので、今日の戦いはこれで終了となる。明日も戦うのか、それとも今日の夜にファーダが食い荒らすのか。ミクはどちらにする気かしら?。


 ん? ……私達の方に軍の現場指揮官が来たけど、何かあるのかしらね?。



 「すまない。奇襲を受けて味方が散り散りになってしまったが、キミ達の御蔭で持ち直す事が出来た。我が軍を代表して感謝する」


 「それは受け取るけど、向こうの方に逃げた連中が固まってるよ。……アレってどうするの? 確実に逃亡兵だよね? 戦わずに逃走したんだしさ」


 「……本当か?」


 「私は気配とか魔力とかで何処に居るか分かるんだよ。本隊が攻撃を受けた後で戦い始めたけど、いつの間にか反応があそこに固まってたんだよね。今もあるって事は、戦いに参加せずに逃げてた連中で間違いない」


 「困ったな。我々では全ての者を把握できない。それ程までに混乱したし、今シレッと帰ってこられたら逃亡兵かどうかの判断は出来ないだろう。既に暗くなってしまっている。この状態では……」


 「明日も戦うのなら、逃亡兵が出ないように固めるしか無いんじゃない? 今の内に戦っていた兵士達を纏めて、他の兵や騎士を近づけるなと言えば良いと思うわよ。まだ固まってるままで、こっちに来る訳じゃないみたいだし」


 「ふむ。そうだな、そうしよう。ありがとう、明日も戦わざるを得ない。我らもここで退く訳にはいかんし、君達の御蔭で敵の士気も大きく落ちている。ここで敵軍を叩いて追い返せば、次の進軍は大きく遅らせる事が出来るだろう」


 「なら、やるしかありませんね。敵に侮りがたしと思わせるのが、国を守る為には一番良い事ですから」


 「うむ、その通りだ。何だか傭兵にしておくには惜しいが、とにかく明日も戦いはあるので早めに休んでくれ。今日の戦いで相当疲れたろうからね」



 そう言って現場の指揮官である騎士は去っていった。ああいうのが居ると助けてやろうかなって気になるのよね。逃げた連中も多いけど。


 ミクが歩くのでついていき、ある程度離れると料理を作り始めた。今は夜であり、ミクのように夜でも見える訳じゃないので、私達は料理をミクに任せてしまう事にした。灯りの道具でも持って来ていたらハッキリ見えるんだけどね。



 「………これで大丈夫? カンテラぐらいは持ってるんだけど、これガイアで買った物なんだよね。だから透明なガラスだったりがこの星で作れるかどうかは不明だけど、まあいいか」


 「確かにここまで透明なガラスって見た事ないかも。ミクが使わせてくれる鏡もそうだけど、ガイアって星の技術力は高いわよねえ」


 「代わりに長い間、魔法が一切無かったと聞きますし、それの御蔭で技術が発展したと聞きます。どちらにも一長一短があるんでしょう。魔法の技術が伸びるのにも時間は掛かるでしょうしね」


 「それでもこの星より早いんじゃない? だって色々な知識があるなら、当然だけど学習速度も違うでしょうしね。私達がミクから教えられた事で一気に変わったように、ガイアって星も一気に変わるんじゃないかと思うわ」


 「そうかもしれないけど、そもそも比べる必要なんて無いよ。違う星だし、そもそも関わる事も無いからね?」


 「まあ、そう言われればそうなんだけど、どうしても気になるのよ。私達よりも遥かに上だっていう星はさ。……っと、出来たみたいね。今日はさっさと食べて、さっさと寝ましょう」


 「そうですね。死体の臭いの中で寝られるかどうかは分かりませんが……」


 「心配しなくてもファーダは既に動いてるから、時間は掛かるけど死体は全て無くなるよ。装備品なんかは転がしておくから、後でハゲタカ連中が集まって持って行くんじゃない?」


 「「ハゲタカ?」」


 「ハゲタカっていうのはガイアに居る腐肉食の鳥の事だよ。腐肉、つまり腐った肉であり死体の肉を食う鳥だね。そこから死体漁りの事をハゲタカとか言ったりするようになったってわけ」


 「ああ、死体漁りの事ね。何処の戦場にでも出てくるけど、主に商人がやってるわ。荷車や荷馬車に大量に積み込んで持ち去っていくもの。それを綺麗にして安値で売り、それをまた領軍が買い戻したりするのよ」


 「領軍が持って帰らないのですか?」


 「持って帰るわよ? 持って帰れる分はね。でも当然ながら全部持って帰れる訳じゃないから、置いて行かざるを得ないのよ。死んだ者が多ければ多いほど、持って帰れる量は少なくなるわ」


 「戦場までは本人が着てきてるけど、それが死んだんだから当然他の物が運ばなきゃいけない。唯でさえ戦争で疲れてるのに、他人の装備まで持って帰るのはねえ……現実的に考えて輜重に載せるくらいしか無理でしょ」


 「しかも空いた部分に入れるくらいだけど、装備品ってたいてい鉄だから食料より重いのよ。それを考えたら持って帰れないのも分かるでしょ?」


 「確かにそうですね。鉄の鎧なり剣なりを持って帰るって簡単な事じゃありません。それに刃毀はこぼれしていたりすれば、大した値段にもならなさそうです」


 「そうそう。敢えて良さ気な物だけ見繕って持って帰る領軍もあるって聞くわね。装備も安い物じゃないし」


 「大変なんですね。ボクは戦争に参加した事も無ければ、領地が戦争をした事も無いので知りませんでした」


 「出来るならば、知らない方が良い事よ。今はそうも言っていられないけどね」



 慣れないと危険だし、食事をとって顔もマシになったみたいだから、マハルは大丈夫そうかな。一晩寝て、明日どうなるかによっては……。


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