表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
766/1039

0761・王都に到着




 Side:ミク



 この東の大陸には現在国家が乱立しているらしい。情報でも追えない程に乱立しているらしく、今日も何処かで自分の領地は国だと誰かが言っている。そんな状態なんだそうだ。それも次の日には滅ぼされて無くなっていたりと、情報面としてはどうしようもないらしい。


 一応この国はデジムと言い、強固であり分裂したりはしていないようだ。理由としては港町を抱えているのと、東の大陸の西の端。悪く言うと田舎なので、あまり攻め落とそうという者もいない。


 そしてこの国自身も大陸の動乱を他人事のように見ているらしく、何処かの戦争に参戦という事もしていない。良くも悪くも自分の国を守りたいのだろうし、それ以外は考えていないのだろう。


 この東の大陸は種族が入り乱れており、もともとは強固な帝国に数多の種族が居た為に交雑も起きている。つまりこの大陸の国には、単一民族の国が存在しないみたいなのだ。レティーがそれを言い出した時には驚いたけどね。


 大体において血統主義や民族主義というのは纏まりやすいものであり、アンデンティティーにしやすい。ましてや国民を纏める為の道具としても使える以上は、単一民族国家があっても不思議じゃない筈。


 にも関わらず無いという事は、良い悪いは別にして帝国の影響がそれだけ大きかったという事なんだろう。おそらく数多の種族に対して開いたからこそ巨大な国になったのだろうし、だからこそ崩壊したと考えれば分かりやすい。


 膨張し過ぎて最後は破裂、そして崩壊したという事だ。そうなれば再び誰かが纏めるまでは荒れるだろう。誰が纏めるかに関しては興味も無いけど、こういう乱世だと民心は荒れる。荒れるという事は私の食うものが増えるという事でもある。



 「確かにね。とはいえミクの言う単一民族国家が全く無いっていうのは珍しいわね。ゴブルン王国だってゴブリンの国よ? オーレクト帝国に比べれば小さいとはいえ、それでもゴブリン種の国だもの。むしろそれが普通だと思ってたわ」


 「帝国は色々と種族が居るからアレですけど、確かにコボルトの国やゴブリンの国にオーガの国と、単一種族の国ってありますからね。あるのが普通というのも分かります」


 「古い時代にはあったんでしょうけど、帝国に対抗する為に国を開いていったのか、もしくは征服されて多種族が流入してきた。おそらくそんなところでしょ。この大陸の中央を牛耳ってたくらいだし」


 「そこまで大きくなると並大抵の国じゃ勝てませんからね。そんな巨大国家から国を開けと言われたら逆らえないでしょう。傘下に入る場合も、同じく国を開けと言われそうですしね」


 「色々な種族が入れるようにした方が、工作もしやすいでしょうしね。単一種族の国だと、それ以外の種族は目立ってしょうがないわ。皇女達は大丈夫かしら? ゴブルン王国じゃオークは目立つのよねえ」


 「礼儀や所作がアレ過ぎるので、分かる方はすぐに分かると思いますよ? 明らかに平民や下級貴族の礼儀や所作じゃないでしょうし、そうなると大凡おおよそで分かると思います。3人居るのは不思議がられるでしょうけど」


 「第2と第3は行方不明だけど、第1は牢獄で死んでる筈だもんね。私が八つ裂きにしたけど」


 「そういえば、何で都合よく第1皇女に似た死体なんて持ってたの?」


 「幾つかのプランを考えててね、その中に死体にすり替えて脱出させるっていうのがあったんだよ。オルトリーとセルウェーヌが助けてほしそうにしてたし」


 「ああ、それでか……。変な事をしてるなーって思ってたけど、最初からそのつもりで用意してたのね」


 「そろそろ良い時間ですし、朝食を食べて町を出ましょう。明日まで泊まれますけど、その意味って無いですよね?」


 「そうだね。宿の従業員に話してさっさと出ようか」



 会話を終わらせた私達は宿の玄関で従業員に話しをし、その後は食堂に行って小銅貨25枚を払って大麦粥を食べる。こちらの大陸でも変わらずあったので助かった。やはり多く採れるし乾燥にも雨にも強い大麦は優秀なんだろう。


 こちらでも普通に食べられているし、庶民の味方なんだと思う。ただ、向こうの大陸に比べて料理の品数が少なかったり、入っている具材の量や種類が少ないように見える。乱世であり荒れているから仕方ないんだろうけどね。


 食事を終えた私達は店を出ると、そのまま町からも出て東北東へ。このデジム王国の王都は東北東にあるらしいので、現在はそっちに向かって進んでいる。ある程度の情報を集めようと思うと、どうしても1国の首都に行く必要があるんだよ。


 それまでにも村や町はいくつもあるから、その度に立ち寄って潰して貨幣と情報をゲットしないとね。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ロフェル



 港町を出発して6日。ようやくこの国の王都にやってきた。こっちでは狩人ギルドが無いので、町に入る度に税金を取られる。入町税とか入村税とかね。頭に来る程に金、金、金。いい加減にしろと言いたくなる。


 その分ミクが悪人を潰して金銭を得てきてくれているけどさ。私達も買い物程度の金銭は貰ってるとはいえ、こうも税金ばっかりだと鬱陶しい事このうえない。


 よくこんな所で傭兵稼業なんてやろうと思うわね。なんて思ってたら、傭兵だと税金を取られないらしいのよ。ただ、傭兵は村や町を守る仕事をしているから、その間だけは税金を取らないだけなんだって。呆れてものも言う気が無くなるとは、この事ね。


 私達は王都に入る人の列に並んでるんだけど、なかなか先に進まないわ。昼過ぎなんだから、そこまで多くないでしょうに。



 「どうも前の方で商人が取調べを受けてるみたいだね。王都に持ち込む物によって税金が変わるらしいから、馬車の中を詳しく調べてる」


 「それはまた……。馬車1つで一律にした方が手っ取り早いでしょうに、いったい何をやってるのかしら」


 「取れるところからは何としてでも取りたいんじゃないですか? わざわざ税率を変えてまで取ろうとしてるんですし」


 「商人は大変ねえ。っと、やっと動いた」


 「前に進みましたけど、これでは結構な時間が掛かりそうですね。まあ、順番が回ってくるまで待つしかないんですけど」



 その後、それなりの時間を待って私達の番になった。無駄に時間を掛けてる気がするけど何故かしら? イライラさせたいのか、無駄に時間を掛けて自分達は偉いんだぞと見せたいのか。



 「その背負っている鞄を見せてもらおうか」


 「別に良いけど、手を突っ込まないようにね。この鞄は私以外が手を突っ込むと、その突っ込んだ部分が全て無くなるからさ。一応先に忠告はしたから、腕が無くなっても文句は言わないようにね」


 「何を下らん事を、さっさと下ろせ!」


 「はいはい」



 そう言ってミクは背中のアイテムバッグを下ろした。そして兵士はアイテムバッグを開けて止まった。分かるわよ、気持ちは凄くよく分かる。何故なら鞄の上の口はファスナーなんだけど、それを開けると中が夜空みたいになってるのよ。


 あからさまに手を突っ込むとマズいとしか思えないのよね。オーレクト帝国のセプテンガル伯爵領では兵士が手を突っ込んで悲鳴を上げてたけど、アレに堂々と手を突っ込む方がおかしい。



 「………し、調べねばならんが、これはアイテムバッグか? 何故お前ら如きがこんな高価な物を持っているのか知らぬが、何処かから盗んだ物ではあるまいな」


 「それは私専用で私しか中の物を取り出せないんだけど、そんな物をどうやって盗むっていうの? 不思議な事を言うね」


 「なにっ!?」


 「だから、手を突っ込むと無くなるって言ったじゃん。それは私専用だからだよ」


 「………通ってよい。小銀貨1枚だがな」



 そう言われたミクは迷う事無く夜空の中に手を突っ込み、小銀貨を1枚出して渡した。兵士は驚いているものの、受け取ったら次は私達に向いた。


 何故かアイテムバッグの中を調べられなかったけど、もしかしたらミクの物と同じだと思われたのかしら?。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ