0755・盗賊団との戦い その2
Side:ミク
こんなザコどもが何故調子に乗っているのか分からないけど、少々付き合ってやるかな。2人にも対人戦の経験をなるべくさせなきゃいけないし、そういう意味では荒れてる国というのは都合が良い。
更には別の大陸の連中という事は、そこの情報も手に入るだろう。セリオには脳を食べているレティーの護衛を頼むかな。そう思い【念話】で話すと、2匹はアイテムバッグの上から飛び降りた。
そのタイミングで私はアイテムポーチから盾とウォーハンマーを取り出す。それを見た盗賊どもが少々驚いた声を上げたがそれだけで、リーダー格のヤツは私をニヤニヤしながら見ていた。
「モンスター相手なら役に立つのかもしれんが、所詮は狩人というところか。盗賊と戦うという事がどういう事か分かっていないみたいだな。お前ら、短剣持っていつも通りに殺せ」
「「「「「へいっ!」」」」」
5人は即座に私を半円状に囲み、そこからジリジリと近付いてくる。わざわざ短剣と言ったという事は、おそらく私がウォーハンマーをまともに扱えない。または振りかぶったりしないと使えないと思い込んだのだろう。浅はかなヤツだ。
半円状に囲んだ奴等が一斉に攻撃してきたが、私は右端のヤツに近付く。その動きは予想出来ていたのか、すぐに右端とその隣のヤツが攻撃してきたが、左手のカイトシールドで防ぐ。当然、攻撃が効かなかった敵は後ろへ下がった。
その瞬間、私はウォーハンマーで右端のヤツの頭を潰す。「ドゴン!」と音が鳴って潰れたが、盗賊どもはすぐには理解出来なかったようだ。それは私の振り下ろしがあまりに速過ぎた所為だろう。
そしてその隙を私が逃す筈もなく、その隣の盗賊の胴にウォーハンマーを横殴りで叩きつける。最初の1人の頭を潰した際に、この方法で殺すと情報が抜けない事を思い出した。なので2人目からは頭以外を潰す事にする。
まあ、1人目は敵に対する圧力みたいなものになったし、インパクトもあったろう。頭が革の兜ごと潰されたのだから、喰らえば一撃で死ぬ事も視覚でハッキリと理解できた筈だ。未だに呆けているが。
「戦場で呆けていると死ぬぞ。私は狩人で何も分かっていないんじゃなかったのか? それとも下らぬヤツの戯言だったのか?」
「チッ! その重い武器をしっかり扱えているようじゃないか! ただ、そんな物をいつまでもブンブン振り回せる訳がない。お前ら、獲物はじっくり攻めろ」
「「「「「おうっ!」」」」」
新たに2人追加されて5人に戻ったが、どうやらそれ以上の人数では攻めて来ないらしい。おそらくそれ以上だと戦いにくいと分かっているからだろうが、そういう意味では対人戦の経験がある奴等なんだろう。大した相手ではないが。
再び半円状に囲んできたが、そこから適当に攻撃をしてきた。2人同時攻撃で、私が弾くとさっさと離脱する。それを繰り返して体力を削り、集中力を乱そうとしているようだ。何故か長期戦めいてきたが、私は長い時間を掛ける気などない。
再び2人同時で左右から攻めて来たので、私は盾を構えると同時にウォーハンマーの先端を相手に向けて前へ出る。そしてカイトシールドでシールドバッシュをしつつ、ウォーハンマーの先端で敵を突く。
両者ともに転んだが、右の盗賊に素早くウォーハンマーを叩きつけ、左の盗賊は起き上がったタイミングで胴に対して水平に振り抜く。最初の1人は胴を上から潰され、2人目は胴に直撃を受けて吹き飛んだ。
死んでいる盗賊に近付いては、かなりの早さで脳を喰らっているレティーも見えているのか、盗賊どものリーダーは訝しんでいる。そういえば、この星でスライムを見た事が無いね?。
「あの赤いのが何か分からないが、もしかして死体を溶かしているのか? ……思っているよりも厄介な奴等だな。向こうの連中も負けているし、面倒な奴等だ。お前ら、一気に囲んでブチ殺せ。それで終わらせたら、さっさと他の奴等のところに行くぞ」
「「「「「へいっ!」」」」」
再び5人になった奴等が私を半円状に囲むが、そろそろ同じパターンばかりで飽きてきた。戦力の逐次投入は愚策だという事も知らないらしい。盗賊のリーダーも自分が賢いと思い込んでいる愚者。つまり策士気取りだったようだ。
世の中にはマヌケが多いなと思う一方、こういう奴等だからこそ大陸を渡ってまで逃げて来たんだろうと思う。所詮は元の大陸を追われた負け犬でしかない。にも関わらずプライドだけは高いようだ。
今度は5人が一斉に襲ってきたが、私は攻撃を流しつつ体を泳がせ、別のヤツの邪魔になるように転倒させる。人数が多くなればなる程に、そいつらは邪魔になっていく。だからこそ有効活用するのは当たり前だ。
転倒した味方が邪魔して攻撃できない。そうなっている間に別のヤツの攻撃を流して転がす。左手も右手も使っているが相手は5人。最後の1人がチャンスとばかりに私に襲い掛かってきた。
が、それで倒されるほど私は甘くない。敵の突き出した短剣をかわすと、ウォーハンマーを掬い上げて攻撃。腰に直撃したそれは相手を浮かせるには十分な威力であり、同時に相手の腰骨を完全に破壊した。
味方が邪魔で攻撃出来なかった2人が転倒した盗賊を越えて攻撃してきたが、左の攻撃を流して体を泳がせる。こいつは倒れなかったが、態勢が崩れただけで十分だ。右からの攻撃に対し腕を蹴り上げて逸らし、足を下ろすと同時にウォーハンマーを振り下ろす。
それは肩に直撃して破壊し、左に居る体が泳いだ盗賊の態勢が復帰した直後、胴体にウォーハンマーをお見舞いしてやった。それで吹っ飛んだ盗賊を一瞥もせず、転倒していた盗賊に襲いかかる。
既に2人しかいないので慌てている様だが、右をシールドバッシュで弾き飛ばし、慌てる左の攻撃は左足を後ろに戻すように半回転してかわす。その直後にウォーハンマーで肩に攻撃。ハッキリと潰れる音を響かせた。
そいつは放っておき、先ほどシールドバッシュで吹き飛ばしたヤツが起き上がる前に、胴体に振り下ろして破壊。その後に周りを見ると、ロフェルとマハルの戦いもほぼ終わっていた。何故かロフェルは矛を使っているが、鉞は使わなかったようだ。
使い難いとも言っていたし、やはりポールアックスの方が良かったかな? 幅広の斧刃でもロフェルのパワーなら振り回せるだろうし、片手で扱うかもしれない。私には勝てないとはいえ、鬼神のパワーは伊達じゃないからね。
見ていると、最後の敵の首をロフェルが穿ち、マハルは盗賊の頭にメイスを振り下ろしていた。頭から血が噴出する程度で済ませているので、私みたいに頭を潰してはいないみたいだ。それなら情報収集は十分に可能だろう。
「おつかれー。レティーはまだ動き回ってるし情報収集の最中だけど、これで盗賊団は壊滅かな?」
「おつかれさま。それはいいけど、偉そうだったリーダー格が逃げてたわよ?」
「おつかれさまです。リーダー格が逃げたって大丈夫ですか? 少人数だとこっちの命を狙ってきたりしませんかね? 逆恨みで」
「大丈夫、大丈夫。そもそも戦う前の予定を忘れてない? 私は裏をファーダで塞ぐって言ったよ」
「ああ、逃げたリーダー格はファーダの獲物って訳ね。チラッと見てたけど、残っていた相手は5人ぐらいだし、ファーダなら余裕でブチ殺せるわね。演技しなくていいでしょうし」
「本気で戦うんですか? それではすぐに決着がつくような気がしますが……」
「それはね。そもそも手加減をす……戻ってきたみたい。リーダー格しか連れてないから残りは喰ったかな?」
こちらにファーダが歩いて来るけど、リーダー格の手足が無いという事は切り落としたみたい。




