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0739・王都マリン




 Side:マハル



 マリウェン王国に入って5日。ようやく王都マリンに到着しました。今は暑い季節だそうですが、ボクには暑いというのが理解できません。多くの人が薄着で過ごしてますが、オーレクト帝国の熱い季節とはまるで違い、ここでは涼しいのが暑いようです。


 ミクさんが北に行けば行くほど気温は下がると言っていましたが、実際にその通りだったので驚きます。この国の人達がオーレクト帝国に来たら、暑さに耐えられないかもしれませんね。そんな事を見ていて思いました。


 ボク達は王都にて2日の宿をとり、今は色々な情報収集をしています。どうやらデヴェルヴェ王国と同じように、マリウェン王国にも魔境が無いみたいですね。また狩人ギルドの受付嬢に中銀貨を渡しています。


 その後は満面の笑みで答えてくれますが、あまりの豹変にいつも驚きます。表情も態度も違い過ぎていて、まさしく豹変という言葉が正しいとしか思えない変わりっぷり。たしかに情報を話せば中銀貨が貰えるって大きいけど、そこまで露骨に変わらなくてもと毎回思う。


 色々と聞いた情報はやはり役立つものが多い。お金の力は偉大だなと思う反面、あの中銀貨も悪人から奪ってきたものなんだよね。ま、言わなければ貨幣は貨幣でしかないから、言わぬが花ってところかな?。


 ボク達は情報収集を終えた後、酒場に行って夕食とお酒を注文して席に座る。すっかりお酒を飲むのも慣れちゃったよ。ここではお酒を飲んでおいた方が良いし、不用意な発言をしてもお酒の所為で済む。



 「それにしても厄介なのか都合が良いのかは微妙だね。数十年に一度の大繁殖らしいよ? シーサーペント。海に出てくるデカい蛇みたいなのが大量に居て、碌な海産物が獲れないって言ってたし、果たして大丈夫なのやら……」


 「そいつが陸の近くまで現れて、魚とか色々な物を食べ尽くす、かぁ……。腹立たしい事このうえないし、私達が食べようと思ってたものまで奪うなんて許せない。幾ら海の中とはいえ、何とかならないの?」


 「丈夫な縄と槍で戦うって言ってたじゃん。アレしかないと思うよ、私も。投げた槍が刺さったら引っ張り、シーサーペントを陸に揚げて殺す。今も頑張ってる漁師が居るらしいし、さっさと王都を出て最北の町に行こう」


 「町なんですよね、ボクも聞いて驚きましたけど。まさか北限の僻地にあるのが村じゃなくて町だとは思いませんでした。よっぽど儲かってるんでしょうね」


 「その儲けの元が海産物で、今年はそれが不漁で大ピンチなんだけどね。ま、私達が行って救うしかないんじゃない? ついでにシーサーペントも食べたら美味しいらしいから、頑張って沢山獲りましょう」


 「しかし海の蛇なのに美味しいんでしょうか? もちろん蛇肉だって食べられますけど、アレもそこまで美味しい物じゃありませんよ? 獣型のモンスターに比べれば、美味しい肉とは思えませんし」


 「それはね。流石に獣型と一緒にしちゃ駄目でしょ。それに食べた事が無いんだから、食べてみるまでは分からないじゃない? もしかしたら脂がのって美味しいかもしれないし」


 「期待が無い訳じゃありませんよ? でも裏切られた時の事を考えると、あまり大きく期待するのも……って思うだけです」


 「あー……言いたい事は分かった。私も初めての海って事で期待してたけど、ちょっと下げておくわ。あんまり期待し過ぎて酷い目に遭うのはヤダし」



 ボクもそれが一番良いと思う。そもそもミクさんは海というものを知ってるし、知らないボクとロフェルさんが色々と考えてるんだけど、多分に願望が入ってる気がしてきて、色々とマズいんじゃないかと思ったんだ。


 流石に希望が溢れすぎていて、その分だけ裏切られた時に凹むのも嫌だなと思うと、今から期待を下げておいた方が良いんだよね。期待通りの素晴らしいものなら問題ないんだけど、違ってたら色々とキツい。



 「何の為に遠くまでやって来たのかとか、北の海まで来る意味が無かったとかは思いたくないしね。それなりに長い時間を掛けて来たんだから、できれば納得できる場所であってほしい」


 「明日はゆっくり休んで、明後日に出発だね。そこまでは王都で色々と見たり、何か買っておく物があれば購入しておかないといけないし」


 「了解。ま、ここまで来たら残り僅かだし、後はそこまで急ぐ事でも無いわ。ゆっくりしてから進みましょう」



 本当はスラムを掃除するのに2日か掛かるっていうだけなんだけど、流石にそんな事はここでは言えないから休むという話になる。実際はミクさんとファーダさんが頑張っても難しいので、1日目は無理のない範囲で掃除するのがいつもの事のようだ。


 その辺りはボクの知るべき事じゃないし、知らない方が良い。知ってどうにかなる情報でもなければ、知らない方が良い事も世の中には沢山ある。ミクさんも知らない事が最強の盾になる事もあると言っていたし。


 食事も終わったし、そろそろ宿へと戻ろう。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ファーダ



 さてマリウェン王国の王都スラム、そこの掃除を始めるんだが……。この国には魚族が多いな。首から上が魚で首から下が人間というのがよく分からんし、おまけに手首と足首に鱗が付いていて、手と足の指の間が水かき状になっている。


 思わずサハギンかと思ったものの、サハギンなら胴体部分も鱗が付いていて魚みたいな姿でないとおかしい。こいつら魚族は首から下は人間に近いんだよ。それが猛烈に違和感を持つ場所だ。肌は薄青いのでそこは人間と違うがな。


 デヴェルヴェ王国はリザードマンが主体だったし、北の国は寒さに強い種族が住んでいるんだろう。それでも凍死する奴が毎年出るっていうんだから、どれ程までに寒いのかがよく分かる。俺には全く効かない寒さだけどな。


 それはともかく、スラムの外に居る奴等をまずは喰っていこう。そう思うんだが、思っているよりも人数が多くて厄介だ。なんと言ってもここには娼館が多い所為で、男どもの数がかなり多い。


 そのうえ善人も普通に客として来ているらしく、いちいち選別に気を使うというか使わざるを得ない。幾らなんでも善人を喰い殺すのはマズいからな。今までも適当じゃないが、ここは集中して選別しなきゃならん。


 特に善人の連中は生かす必要があるので絶対に見られる訳にはいかないし、不審がられるのも面倒だ。今までなら多少不審がられても喰えば済んだので気にもならなかったのだが、ここでは善人を中心にして喰うかどうかのタイミングを図るしかない。


 思っている以上に面倒臭いが、ここで放り出す訳にもいかない。きっちりと処理しておかないといけないし、悪党など生かしても碌な事にならないしな。誰かが被害を受けるかもしれない以上は、率先して始末しておく。


 全てを自分で始末するという事は無いが、それでも悪党どもが滅んでいくように仕向ける事は出来る。というか数を減らせば淘汰されていくだろう。必要悪はそもそも悪党とは違うしな。


 それにしても進みが遅いから、明日も早くから始めてギリギリかもしれん。最後には<眠りの香り>で寝かせれば済むので、そこまで苦労はしないだろうが、とにかく数が多い間が厳しい。早めに減らしたいがちょこちょこ善人の奴等が立ち話をしてやがる。


 娼館に来たんじゃないのかと言いたくなるが、立ち話をしている奴等はお喋りに夢中になっているようだ。もしかして周囲を見ていないなら喰っても大丈夫か?。


 一度やってみるか。不審がられたら別の場所に行けばいい。


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