表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/996

0070・60階のボス撃破




 41階以降は探索者も少なく、挑戦する者が殆ど居ないと言っていたヴェスの言う通りの状況だった。ミクにとっては生命力を感知すれば済むので難しくはなく、そして人間種の生命力が極端に少ないのはすぐに分かる。


 単純に言って、お金儲けをするならば21階~40階までで良く、わざわざ41階以降の危険な森で稼ぐ必要が無い。そのうえ森には毒を持つ魔物も出現する。40階までと違い死亡確率が跳ね上がるので、ここに来る者は多くないのであろう。


 そんな中を素早く走り抜けて行くミク。どんどんと下って行き、地図が公開されていない52階まで到達した。ここからは自力での攻略となるが、特に苦労などはしないだろうと思っている。


 第一に階段を探すには時間が掛かるだろうが、その反面魔物を倒すのに他人の目を気にしなくてもいい事。第二に5キロ四方しかない以上、そこまで時間もかからずに見つかるだろうという予想がある。


 実際、ミクが本気で走れば速いのだ。そして本体が本体空間で地図を描いている。骨の板に書いているものの、これは後で紙とペンとインクなどを買って提出すればいい。



 (別にそこまで詳しく描かなくてもいいみたいだし、貼り出してあった地図も子供の落書きレベルだった。その程度しか描けないのか、その程度に”わざ”としてあるのか。そこは分からないね)



 そんな事を考えつつも、目の前に出てきたオークの首を噛み千切る。右手を肉塊の口にしての一撃であったが、首がなくなったオークは当然のように即死。今は死体の血をレティーが吸い上げている。


 もちろんミクが走りながらであり、血を吸い終わった後はミクが貪った。糞尿は右手から捨て、ミクはダンジョン内を走り回る。


 階段を探しながら魔物を喰らい、一度も止まる事無く走り続けて60階。ミクはボス部屋前で、少し休憩をしていた。理由は疲れたからではなく、どうやってボスを倒すか相談しているからだ。



 『やっぱり普通にボスを倒した方が良いよねえ。じゃないと、どうやって勝ったんだとか五月蝿そうだし。ヴェスは名前を出していいって言ってたけど、それはそれでどうなのかな? って思うしねえ』


 『主の好きなようになさっていいと思いますが、ある程度は真面目に戦っておいた方が良いかもしれません。攻撃方法だったり防御方法で怪しまれる可能性もありますし、どうやって倒したと絶対に聞かれるでしょう』


 『だよねー……。冗談でも何でもなく、言い訳の為に色々考えなきゃいけないのは面倒臭い。適当に倒すと人間種じゃあり得ない結果になっちゃうし、でも人間種でも倒せる方法ってなると……』


 『私もそうですが、そもそも人間種の基準が分かりません。何処までなら人間種の範囲内なのか、どこからは人間種の範囲外なのか。イマイチ判断に欠けると言いますか、自信を持っては言えません』


 『私達は人間種じゃないしねえ。そうなってくると、当然人間種の感覚は持てないんだけど、ここにきて困った事になるとは……。仕方ない、探索者ギルドがしつこい時にはヴェスに丸投げだ』


 『それしかありませんね。あの人物もあまり信用なりませんが、それでも主を裏切る事は無いでしょう。裏切るとどうなるかの想像はついているでしょうからね』



 ミクは今後の確認をし、ボス部屋へと入っていく。どんなボスが出てきてもミクの相手にはならないのだが、地面の魔法陣が輝き、出現したのは赤い毛の巨大な熊であった。



 「Guooooooo!!!」



 立ち上がりミクを威圧するその姿は、推定4メートル。熊の体らしく、尋常ならざる筋肉と脂肪を持ち、更に切れ味鋭そうな爪と大きな牙を持っている。その熊が体を下ろして四つ足状態になり、ミクを睨みつける。


 そんな熊を見て何とも思わないミクは、構えるままに悠然としていた。それが気に入らないボス熊は、一気にミクを倒してやろうと走り出す。


 熊が接近してくるも余裕の態度を崩さないミク。それに腹を立てたボス熊は体当たりを仕掛けようとする。しかし距離が詰まった途端、ミクはカイトシールドをボス熊の顔面に放り投げた。


 流石のボス熊も顔に飛んでくる物を無視は出来ない。立ち止まり顔を下に向けて防ぐも、頭に「ガァン!!」とぶつかる。痛みは多少あり、その事に怒りを持った瞬間、ボス熊の左後ろ足に激痛が走った。



 「Guoaaaaaa!!!」



 ボス熊が咆哮するも、既に左足は潰れた後である。ミクが【陽炎の身体強化】を使って攻撃し、潰したからだ。四つ足の生物の弱点は、1本でも足が潰されると、途端に戦闘力が落ちる事である。


 2本足も変わらないが、2本足よりは顕著に落ちるのだ。そもそも4本足で巨体の生物は強い。だが、強いだけに足が潰された後の弱体化は、目を覆う程に酷いのである。それが目の前のボス熊の現状だ。



 「Ga! Ga! Guooo」



 何とか威嚇して相手よりも優位に立とうとするも、既に左後ろ足が使えずに引き摺る事しか出来ていない。つまり危険な体当たりや、素早い動きなどは完全に殺されてしまっている。


 この時点でボス熊の力の大部分を奪えているのだから、最初の一撃はあまりにも大きな意味を持つ。というより、アレでほぼ戦いは決まったと言っていい。


 後の戦いは蛇足と言ってもいいのだろう、既にボス熊の目には優位な者の傲慢さはなく、完全に追い込まれて怯えた者の目であった。それでもミクが隙を晒す事などなく、冷静にカイトシールドを拾って構える。


 ジリジリと近付くと、ボス熊が腕を振ってくるも、盾で流して頭にウォーハンマーを振り下ろす。今度は【身体強化】をしていない為、ボス熊の頭に穴を開けただけになった。


 それでも夥しいほどの鮮血を噴き出し、ボス熊の意識は永遠の闇に閉ざされる。


 ミクはレティーに言い、ある程度の血を吸わせたらボス熊の死体をアイテムバッグに回収。その後は奥の魔法陣から脱出した。そこまで苦労する事は無かったが、本当に苦労をするのはこの後である。



 (さて、認める認めないの話になったら、さっさとヴェスに話を通そうか。流石に認めないとか言い出したら喧嘩を売ってるからね。正面から叩き潰さないと駄目だ)



 ミクはダンジョンを出た後、近くにある雑貨屋に寄って買い物をする。買うのは紙とペンとインクだが、一番安いのがペンだった。全部で中銀貨1枚を支払い購入したら、アイテムバッグに入れるフリをして本体空間に送る。


 本体は送られた紙を使って素早く地図を作成。紙とペンとインクに地図を分体に転送。分体は王都フィラーへの道を歩きつつ、右手の先を肉塊にしてアイテムバッグに仕舞った。


 これで説明用の地図も完成し、ミクは万全の態勢で王都フィラーの探索者ギルドへと行く。後は交渉と内容によって、ミクが判断して決めればいい。



 『最悪の場合はスヴェストラに頼らなければなりませんが、そこまで強硬に主の言い分を否定するでしょうか?』


 『ギルドもギルドで後ろに誰がついてるか分からないからねえ。一応建前上は独立してる事になってるけど、そんな建前は誰も信じてないでしょ。神どももそんな事を言ってたし』


 『成る程。場合によってはスヴェストラの権力が及ばない場合がありますね。伯爵位ですし将軍ですけど、侯爵を含め、上には上がいるようですから』


 『そうなんだよ。まあ、400年生きている以上、色々なコネも弱みも握ってるんだろうけどさ。ああいうのは水面下で色々やってると思うし、その関係で命を狙われた事もあるでしょ』



 何故か神々から権力闘争の事や、権謀術数の事を聞いているミク。面倒な連中も喰うので、その為に教えたのだろうか? その辺りは分からないものの、ミクが権力関係について多少知っているのは事実である。


 着いたので無駄なお喋りは止め、扉を開いてギルドに入っていく。果たして上手くいくのであろうか?。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ