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0727・帝都へ移動中




 Side:ロフェル



 朝食を食べた私達は村を出発し、南へと進んで行く。馬が2頭で牽く皇女の馬車はそれなりに速いけど、私達にとっては遅い。更にケンタウロスどもの足が遅いので、いちいち面倒な状況になっている。


 本当にあのケンタウロスどもは邪魔にしかなっていない。そもそも暗殺をやらかした連中だし、どの面下げてここに居るのかと思うも、よく考えたら【善なる呪い】で逃げられないのだという事を思い出す。


 連中は逃げたくても逃げられないのだし、それを理解すると笑うしかない。必死に足を動かして移動してるけど、その心の中はパニックかしら? 逃げたくても激痛で逃げられず、暗殺を考えると激痛を受ける。


 今は必死に何も考えず、無心になって移動してるって感じかしら? それしか方法が無いし、悪い事を考えると激痛地獄だものねえ。忘れた頃に思い出して激痛にのた打ち回ったりして……。



 「ギャァァァァァァ!!!」



 どうやらバカが出たみたい。何を考えていたのか知らないけど、判定アウトのヤツが出たけど全員スルー。激痛にのた打ち回ったヤツは一定時間で痛みが無くなるし、その後は必死に追いかけてくるでしょ。逃げられないんだし。


 そう思って走っていると、後ろから必死になって追いかけてきたわ。情けない奴ねえ、「ひーひー」言ってるじゃない。そもそも最初から下らない事を考えなければ良かったものを。


 その後も順調に走りつつ休憩し、村に立ち寄って昼食と補給を済ませると、また走る。昼を過ぎたあたりで町に到着したが、今日はこのまま進んで村で休むみたい。町で休まないのか聞いたら、町の方が暗殺確率が高くて危険とのこと。


 村なら騎士ぐらいしか命を狙ってこないって、皇女がハッキリ言ったわ。そしてそれを言われて目線を左右にそらすケンタウロスの騎士達。一度皇女の命を狙った以上は、怨まれて憎まれるのは当然よ。


 それに村の方が安全だと言われたら、「そうでしょうね」としか言えないしね。村には酒場が無いけど、代わりにミクが外で料理をすると言い出した。流石に町での夕食が無いから仕方ない。


 今日は大分前に狩っていた兎のモンスターの肉を使った野菜炒めに、ドラゴン肉のスープとチャパティで食事。相変わらずドラゴン肉が異様に美味しいのよねえ。兎の肉もそれなりに美味しいから、やはり魔境の肉は侮れない。


 そんな事を喋りながら食事をしていると、食堂での食事を終えた皇女が来て、何だか羨ましそうにしてる。匂いをいだのかしらね?。



 「その……スープはいったい何でしょう? 猛烈に良い香りがするのですが」


 「これ? これはドラゴン肉を使ったスープだよ」


 「ドラ……ゴン?」


 「信じるか信じないかは好きにしていいよ。特に信じてほしいとも思ってないし、私達が知っていればいいだけだしね。一応……はい、コレ。これがドラゴンの干し肉だよ。これを戻して使ってる」


 「そう、ですか……」



 皇女はミクから渡されたドラゴンの干し肉を手にとって色々な角度から確認した後、メイドが止めるのも無視して口に入れた。そして一心不乱に食べてる。


 私もマハルもそうだけど、一度食べ始めるとああなるのよねえ。うん、マハルも微妙な顔で見てる。


 メイドが声を掛けて何とか止めさせようとするも、皇女は全く耳に入っていない。流石はドラゴンの肉としか言えないわ。ついでにメイド2人にも渡したわね。何故かミクの方を睨んでるけど。



 「私を睨んだってどうにもならないよ。食べてみれば皇女がそうなってる理由も分かる。食べてみればね」



 メイド2人はミクを睨みつけてたけど、意を決してドラゴンの干し肉を口にした。以降は皇女と同じにしかならなかったわね。そもそもドラゴン肉のスープがこれだけ良い匂いなんだから分かるでしょうに。


 その後、私達が食事を終えた頃に皇女は覚醒した。どうやらドラゴンの干し肉を食べ終わったらしい。急に正気に戻ってキョロキョロし始めたわ。



 「あれ? ……私はいったい何を?」


 「おかえり。ドラゴンの干し肉を渡したら、一心不乱に食べてただけだよ。横のメイドみたいに」


 「えっ? ……ヘ、ヘリエル!? サリエルも!? いったい何が……!」


 「見たら分かるでしょ。ドラゴンの干し肉を一心不乱に食べてるだけよ。っていうか皇女もそうだったんだけど、本人は一心不乱で全く気付かないのよねえ」


 「え、ええ……? そうなんですの?」


 「そうですよ。こちらから話し掛けても全く耳に入らないんです。とはいえ、それは誰でもそうなるんですけどね。ある程度食べ慣れないと、ボク達もそうなりましたし」


 「そうそう、ドラゴンの肉って強烈なのよねえ。ある意味では罠みたいな物かしら。食べさせている間は一心不乱だから、暗殺とか絶対に成功しそう。肉が勿体なさ過ぎるけど」


 「ドラゴン肉ですからね。仮に暗殺という最低な事であっても使う物がおかしいですし、誰か手に入れられるんでしょうか?」


 「手に入れたって無駄じゃない? 私はブチ殺してすぐに血抜きとか色々してるけど、普通は死骸を手に入れるくらいでしょ? それじゃ既に駄目になってる肉の可能性が高いし、美味しい干し肉は作れないと思うけどね」


 「干し肉という言葉は分かるのに、その手前にドラゴンと付くと、途端に意味不明になるのは何故かしら?」


 「心配しなくても、仲間の私達も意味が分からないからね。気にしなくてもいいよ。私だって一度ドラゴンと話した事があるくらいだし、それ以外には会った事もないわよ」


 「一度話した事があるだけで十分過ぎる気がするんですけど、ボクの気のせいでしょうか?」


 「私もそう思いますよ? そもそもドラゴンと話すなど皇帝陛下でも無理な事」


 「そりゃ城から殆ど出ないんだから無理に決まってるじゃん。ドラゴンが何処かの国の都にわざわざ飛んでくる事も無いんだしさ。飛んでくるとしたら報復ぐらいかな?」


 「止めて下さい。そんな事があったら我が国が滅んでしまいます」


 「「ハッ!? な、何が……」」


 「あっ、復帰したわね。どうやら食べ終わったみたい」



 メイド2人がキョロキョロし出したので、皇女がどうなっていたのか教えているわ。そして愕然としてる。一心不乱に食べていたという話で皇女の事を思い出したのだろう、なんとも言えない顔をした。


 私達からすればどっちも同じとしか言えないし、それは私達でも変わらない事なのよ。だから口に出して笑ったりしないし、ドラゴン肉の誘惑に耐えられたのはミクぐらいらしいからね。


 セリオもレティーも無理だったみたいだし、流石は最強の怪物としか言えないわ。そういうところも最強らしい。


 さっきは冗談で言ったけど、本気でドラゴンの干し肉を食べさせている間の暗殺は成功しそうなのよねえ。何気に恐ろしい武器になりそうだけど、そんな事をさせるくらいなら普通に食べるでしょう。


 どれだけ有用性を理解してても、一度でも口に入れたら暗殺に使うなんていう勿体ない事は言い出さない筈よ。むしろ王や皇帝なら全部自分の物にしても不思議じゃないわ。


 それぐらい魔性の魅力を持っているのがドラゴン肉なのよねえ。強すぎてミク以外誰も勝てないし、私は勝てそうとか言われたけど勘弁してほしいのが本音よ。絶対に戦いたくない。


 メイド2人も復帰したし、そろそろ村長の家に戻りなさい。騎士どもは命を狙えないけど、今度はどんな方法で命を狙われるか分からないわよ?。


 そう言うと慌てて村長の家に行ったけど、自分が狙われてるという自覚が無くなってる? 大丈夫かしら、あの皇女……。



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