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0725・第3皇女




 Side:セルウェーヌ・ラ・オーレクト



 「皇女様、宜しかったのですか? あのような得体のしれない狩人をお雇いになって。場合によっては、それ自体を突かれるやもしれませんが……」


 「構わないわ。そもそも私にとって最も重要なのは、逃げ切る事よ。できればヘリエルとサリエルと共に逃げられると一番良いのだけれど……」


 「私達は孤児でしかありません。皇女様が行かれる場所が、私達の行く場所です」


 「ありがとう。情けない話だけれど、ヘリエルとサリエル以外に信用できる者が居ないのよ。むしろ何も知らない狩人の方がまだ信用できるわ。しかも見た事もない種族のようだし」


 「危険……性は低いですか。見た事のない種族というだけで目立ちますし、顔も覚えられてしまいます。それでは間者や暗殺者として下の下。そんな者を使うとは思えません」


 「あの大声で喚く何処の紐付きか分からない騎士どもよりは、よっぽど信用できそうですね。とはいえあの少年? 青年? は怪しかったです。あまりに顔が整い過ぎていますから」


 「あら、一目惚れでもしちゃった?」


 「御戯れを。確かに顔は大変良いですが、そういう者は怪しすぎます。流石に顔が良いだけで警戒を解くなどあり得ません」


 「まあ、あの少年の感じからすると、あの女性2人を信頼している感じだったわ。それにあの女性2人も、あの顔の良さを気にしていないようだったし。むしろ、そういう女性だから一緒に居るのかしら。美男子も色々大変だと聞いた事があるわ」



 …

 ……

 ………



 馬車が止まった。おそらくは今日の宿に着いたのだろう。村か町かは分からないけれど、とにかく馬を休ませないといけないわ。まだまだ帝都へ戻るには時間が掛かるし、ここで足止めを受けるのはマズい。


 父である皇帝陛下の命だから行かなきゃいけなかったけど、そうでないなら継承権放棄の手続きに既に入っている筈だったのに……。おそらく父上の事、皇族に生まれた以上1度は襲撃や命の危険を乗り越えて見せろとい事でしょうね。


 馬車から出るとそこは村だった。やはり町までは行けなかったようね。馬車から降りた私達は村長に話を通し、1日だけ村長の家の離れに泊まる事になった。村長の家に泊まる事もあれば、こうやって泊まる者専用の離れを建てている村もある。


 貴族的にも離れがある方がありがたい。村の者となんて話が通じないし、何を話していいかも分からない。わざわざお互いが気まずい思いをするなら、離れに泊まる方がありがたいのが本音。



 「お食事も終わりましたし、そろそろお休みになられて下さい。私達も同じ部屋ですのでご安心を」


 「ありがとう。2人も無理せず早く休んでちょうだい。明日からも馬車の移動は続くわ」



 それはいいとして、そろそろ襲撃がある可能性が高い。今までの道程では暗殺者による襲撃は無かった。でもそろそろある筈だし、場合によっては………あの騎士達が襲ってくるでしょうね。


 元々から信用していないし怪しいのよ、あの騎士達。私の意見を碌に聞かないし、適当に聞き流して済ませてる。あそこまで露骨だと疑ってくれと言わんばかりよ。となると第2皇子の可能性が最も高い。


 皇太子殿下は主に近衛と文官達の家から支持されてる。そして第2皇子は軍。第3皇子は商人関係。基本的に皇女の実家は争いに加わらないっていうのが、今までの慣例ではある。


 とはいえ第1皇女の家は争いに加わる気満々だけど……。でも、第2皇女の家は私の所と一緒。


 そして末っ子である私が第3皇女であり、私も逃げの一手。皇族は必ず殺し合いを行い、最後の1人になるまで戦うしかない。でも、そこから離脱する方法はある。それは継承権放棄と皇族籍からの離脱。


 この2つを行えば、継承権は無くなり皇族でも無くなる。この時点で帝位争いからは完全に無関係になるけど、代わりに命を狙われる事も無い。私としてはその状態になるのが目標。そしてどこかの下位貴族に雇われるのがベストね。


 少なくとも帝王学と統治学、それと商売に関してはキッチリと学んできたわ。それだけの知識があれば文官として十分にやっていける筈よ。そして文官として登用されれば十分に生きていける。


 何とかその方向に向か「ドサッ」って……? 部屋の外で何かが倒れた音かしら。2人は寝ているみたいだし、私が調べに行くしかないわね。気になって眠れないだろうし。


 扉を開けて外を見!?。



 「いいか、声を出すな。……分かったな、余計な声を出すなよ?」


 「(コクコク)」



 私は口に手を当てられて声を出せないようにされてしまった。後ろに居るのが誰か分からないけれど、ここは大きな声をあげてはいけない。最悪、殺されてしまう。まずは落ち着いて何とかしないと。



 「心配せずとも、大きな声を出さないなら何もせん。俺の名はファーダ。お前が契約した狩人である、ミクの知り合いだと言えば分かるだろう。この騎士どもが悪意を持ってお前の寝所に忍び込もうとしていたのでな、今は麻痺させている」



 えっ、あの狩人の知り合い? そして騎士達……! 倒れている騎士達は何か小さな呻き声を上げている。どうやら本当に麻痺しているみたいね。という事は、後ろに居る男は私を守ってくれた? ……あ、手を外されたわ。



 「起きているなら都合が良い。こいつらはどうする? 間違いなくお前の寝所を襲おうとしていたぞ。処分するなら居なくなっているようにしておく。殺してアイテムバッグに入れれば運べるからな。毒を使えば血も飛び散らん」



 何と言うか、殺すというより処理するといった感じね。何故か殺そうとしているようには見えないわ。


 それにしても、ケンタウロスなのに暗殺をしに来るとは……。可能性としては考えていたけれど、本当にするとなるとバカバカしいわね。


 廊下の幅ギリギリに寝かされているし、こんな大きな体で暗殺は流石に……。合っていなさ過ぎすぎるとしか言い様が無い。



 「しかし邪魔だな、この馬どもは。この体の大きさで暗殺を考えるとはバカなのか? それとも命じたヤツが底抜けのマヌケなのか?」


 「おっしゃりりたい事は本当に分かるわ。私もその通りとしか言い様がないもの。とりあえずですが、この者達を殺す訳には参りません。モンスターに襲われて殺されたならまだしも、村に居るのは色々な者に見られているのですから」


 「ふむ。ならば呪いを掛けておくとするか」


 「えっ?」



 ファーダという者が騎士達の頭を掴み、何やらブツブツと唱え始めました。すると騎士達の体に黒い紋様が現れ始め……あれが呪い?。



 「これは【善なる呪い】というものだ。刻まれたが最後、善行しか出来なくなり、悪行を為そうとすると激痛にのた打ち回る事になる。そういう呪いだ。後はこいつらだが、離れの外に放り出しておく。1日程度なら病気にもかからんだろう」


 「そうですわね。呪いというのが分かりませんが、私達を襲おうとしたのですもの、そのくらいは当然でしょう。明日も馬車で進まねば参りませんし、たとえ病気を患っても無理して移動させます。村の迷惑になりますから」


 「確かに。それじゃ、俺はこいつらを外に放り出して護衛に戻る」


 「宜しくお願い致します」



 そう言って私は扉を閉めましたが、あの者は紹介もされていませんでした。いったい今まで何処に居たのでしょう? 明日聞いてみましょうか、それとも黙っておいた方が良いでしょうか? 少々悩むところですわね。


 陰で護衛をしてくれるのであれば、日の下に出さない方が良いですし……。ま、明日考えましょう。今日はもう安全みたいだから、これで安心して眠れます。


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