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0719・戦闘の終わりと変化




 Side:ファーダ



 殺したヤツは捨て置き、別の女に向かって突進する。相手はカウンターのつもりだったのかギリギリまで待っていたが、俺は右手で持つ短剣をいきなり投げつける。それには虚をかれたのだろう、回避できないままに胸に刺さった。


 俺はその短剣を右手で握り、ひねって押し込んでから引き抜く。ドッと血が噴き出してくるが無視し、次の女へ。流石に俺が強いと理解したのだろう。女達は俺を半包囲の陣形で囲もうとしたが遅い。


 俺は左端の女に一気に接近し、首を薙いでそのまま走り抜ける。半包囲している女どもの後ろに回りこんだ俺は、振り向いた女どもの背後に回る様に動く。今度は右へと抜けていくように首を撫で斬りにしたら、そのまま逆の端の女に襲いかかる。


 俺の速度が早すぎてついていけないのだろう、女達は俺の残像を追うかのように動いており反応が間に合っていない。その間にも首筋を切り裂いて次々に殺害。残りが3人になった段階で、女どもは縦一列になって突っ込んできた。


 まさかの<ジェットストリ○ムアタック>かと喜んだが、単に後ろの奴等を左右にバラけさせて襲うだけだった。当然俺は一番前のヤツの頭を踏む形で飛び越え、後ろに回ると【氷結嵐】を放った。


 いきなりの、しかも強力な魔法に耐えられる筈も無く、3人はあっと言う間に凍りついて死亡。残るは首魁ただ1人となった。



 「あらあら、本当に凄い。まさかここまでとは思わなかったわ。でも、ここで終わりよ。私には絶対に勝てない」


 「マハルの香りを奪ったからか? 随分と浅ましいヤツだ。借り物の力で誇るなど、みじめという言葉でしか表現できんな」


 「ふんっ! そんな事を言っていられるのも今のうちよ。この香りは国を纏めた最強の香り。これで今度は私の国を作るのよ。オーレクト帝国も支配し、新たな私の国をね!!」


 「つまらん。所詮はその程度の無様でみじめで矮小な存在だったか。己の事は分からぬものだが、実に卑しくて憐れな存在だな。貴様は」


 「………己に狂え!!!」



 これがマハルの持っていた能力の香りなのだろう。何だか水仙のような香りがするが、マハルは本気でナルキッソスだったのだろうか? そう思えてくるから不思議だ。ここまで符号するものだろうか。



 「ふふふふふふ、所詮は力しか持っていないヤツなんて敵じゃないのよ。無様なのはどちらなのかしらねえ?」


 「いや、お前だが? まさか香りを撒き散らせば勝てるとでも思っていたのか?」


 「は? ………何故この香りを受けていない!? これは一度受ければ自身に魅了される、究極の自己陶酔の香りなのよ!!」


 「憐れなヤツだ。香りを幾ら出せようが、魔力の量が少なければ相手には効かん。そんな事も知らんのか? 香りの種類だけでは優劣はつかんし、篭められる魔力量が少なければ大した意味など無い」


 「私の魔力が少ないとでも!? これ程までの魔力を持つ私の魔力が少ないなんてあり得ないのよ!!」


 「現に俺には全く効いてないぞ? まあ、浅ましい者の悪足掻きも見苦しいからな。そろそろ終わらせてやる。最後に言い残す事はあるか?」


 「言い残す事ですって!? 死ぬのはお前よ!!!」



 更に魔力を篭めたらしいが効かないな。ま、そもそも魔力が大量にあろうが無かろうが俺には効かないし、無意味なんだよ。もちろんこんな阿呆には教えてやらないがね。さて、そろそろフィナーレだな。



 「なぜ!? なぜ全く香りが効いていない!? こんな事はあり得ないでしょう!! 建国王が国を打ち立てる際に使った、敵軍を思いのままに倒した香りなのよ!?」


 「効かぬものは効かんよ。香りなどというものは小手先のものでしかない。そんな物を幾ら使おうが俺の相手にはならんし、その程度の下らんものでしかない」


 「そんな事がある訳ないでしょう!! これは「無駄だ」最強の……」


 「この最強の怪物たる俺達には、最初から香りというものなど効かんのだよ」



 肉の塊に口と牙と触手が付いているという本来の姿をさらけ出すと、女は驚愕で思考停止したらしい。俺はその瞬間に空間ごと手足を噛み千切り咀嚼する。あっと言う間に手足を失った女は床に倒れ、痛みを自覚した途端、激痛にのた打ち回る。



 「あ、れ? ………がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??!!!?!!」


 「ようやく痛みを自覚したか、所詮は生き物でしかない矮小な存在よ。貴様がいったい何を敵に回したか、この姿を見て理解したか? 理解したならば死ね」



 もはや痛みに喚くだけだったゴミを喰い、これでマハルが持っていた香りも手に入れる事が出来た。既に返したところで手遅れだし、マハルはマハルで面白い事になっているのでいいだろう。


 ミク達は皆殺しにし終わった奴等の掃除をしていたらしいが、ロフェルはミクに言われて宿の部屋に戻ったようだ。そしてミクはスラムの住民を食い荒らしているので、俺も参加するか。


 マハルの事は本体に任せればどうにでもするだろう。多少可哀想だと思わなくもないが、文句は神どもに言えばいい。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:本体



 マハルをどうするか悩んでいると、人の足に鼻が沢山生えている神がやってきた。いったい何の用か知らんが、嫌な予感がしてきたぞ? そう私が身構えていると、神は光り輝く葉の付いた枝のような物を寄越してきた。



 「マハルには延命処置を施したし、再誕させろと言うならば構わん。それにグリーンドラゴンを多少使う形でするつもりだったしな。しかし、この訳の分からん枝を粉にして使えとはどういう事だ? 木などという物は肉体に馴染まんぞ」


 「心配致すな。それは吸収される形で小僧の中に溶け込む、だから小僧の体に使っても問題無い」


 「溶け込むだと? ………まさか<理の樹>ではあるまいな!?」


 「ハッハッハッハッハッ! さっさと使わないと私が再誕用の肉体を作る事になるぞ」


 「何て物を持ち出すんだ! お前達は惑星の生命体を弄ぶ気か!? あまりにもメチャクチャだぞ、いったい何を考えている!」


 「その程度の枝で大きな問題なぞ起きん。さっさとやれ」



 くそっ! 私はどうなっても知らんぞ!!。


 マハルの元の肉体に私の血肉を混ぜ、更にはグリーンドラゴンの内臓を融合させて骨で骨格を作る。元のマハルの骨は不要なので排除し、新たな肉体に枝と葉を粉にして混ぜ込む。


 本当に大丈夫なのか怖いが、最後に脳を移植したら私の血肉が高速で作用を始める。もちろん本人を生かす為だが、何やら全身光輝き始めたぞ? こんな事は今までにない事だから、間違いなくあの枝の所為だ。


 いったいどうなるかは分からんが、せめてまともな生命体として再誕してもらいたい。おかしな姿だと連れて歩く事が出来んからな。


 ……光がおさまって来たので分かるようになったが、まず肌が緑色から人間と変わらない色になっている。そして身長が170を超えているし、頭の上の花は……無いままか。見た目は人間に非常に近い。


 髪の色は明るい茶色なので、木のような色と言えば良いのだろうか? そんな感じになっている。しかし最大の違いはその端整な顔だ。本当にナルキッソスみたいになっていないか?。


 <理の樹>がいったいどのように作用したのかは分からないが、見た目が随分と変わったな。元々アレッサ以外は多少変わっていたし、再誕したならば変わるのが普通とも言えるか。


 は? ロフェルも変えるのか? ……で、コレを使えと。嫌な予感しかしないが、コレはいったい何なのだ。説明くらいはしてもらえるのだろうな?。



 「なに、大した物ではない。それは鬼の牙だ」


 「鬼? いったい何の鬼だ?」


 「鬼と言えば、鬼に決まっておろうが」


 「………それはまさか、現象としての鬼ではなかろうな? それでは通常の鬼ではなく神霊ではないか!! しかもわざわざ持って来たという事は、完全に神クラスの物だろう!」


 「五月蝿いヤツだの。所詮は大した事の無い下っ端の者どものだ。使ったとて大した事にはならん。早うせい」


 「………仕方ない。ロフェルをこっちに連れて来てやるか」



 …

 ……

 ………



 ロフェルの体に鬼の牙を融合させたが、更に姿形が変わってしまった。身長は180近くまで伸び、犬歯が鋭くなっている。更には額の左右に小さいながらも角が2本生えてきた。瞳孔は縦ではなく人間と同じ、つまり元に戻っている。


 それと胸が大きくなっているが、これは何が理由なのだろうか? そこまで大きくはなっていないようだが……。


 ま、とりあえず宿の部屋に戻しておこう。朝になって起きたら分体で説明すればいい。流石に疲れた。


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