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0718・建国王とマハル




 Side:マハル



 まさか戦闘の最中に無理矢理連れて行かれるなんて思ってもいなかった。おかげでボクはよく分からない所に運ばれている。何やらスラムのような所の気がするんだけど、暴れているので分からない。


 ただ5人掛かりで持ち上げられているからか、手足を1人ずつに持たれてて外せないんだ。【身体強化】をしたら外せるだろうけど、ボクが下手な所為で揺れているような状況じゃ集中できない。


 ミクさんが実戦で使えて一人前って言ってた意味が嫌というほど分かる。痛みとか恐怖とかで集中出来なくなると【身体強化】は使えなくなるんだ。それは身をもって教えてもらってた筈なのに、やっぱりボクはちゃんと理解できていなかった。


 おかげで敵の拘束を外せないし、暴れて抵抗する事しか出来やしない。それでも何とかしようと暴れていると、怒ったのかお腹をブン殴られた。その所為で咳き込んでしまい、暴れるなんて出来なくなる。


 咳き込むボクを運んでいる男達は、どこかの建物に入った後でボクを床に放り投げた。



 「あぐっ!」



 床に放り投げられたボクはすぐに立ち上がる。どうやら大きな屋敷のホールみたいな場所だ。それでも実家の侯爵邸よりは小さいみたいだけど。


 そして目の前には10人ぐらいのアルラウネが居た。何だかおかしな顔というか、陶酔したような気持ちの悪い顔でボクを見ている。いったい何なんだろう、この人達は?。


 そう思っていると、一番奥に居たアルラウネがボクを見つつ声を掛けてきた。



 「お前がテルケー侯爵家のマハルですね?」


 「そ、そうだけど、貴女達はいったい何なんだ!」


 「やはり! これで長年の夢が叶うのですね。やっと巡ってきたこのチャンス、絶対に逃しません! その者を今すぐ取り押さえなさい」


 「「「「「「「「「「かしこまりました」」」」」」」」」」



 周りのアルラウネが急にボクに迫ってきて、体を無理矢理床に押し付けられた。10人もに押さえつけられれば流石に動けない。動けないどころか体中が痛いし、体重が乗せられてて厳しい。骨が折れそうだ。



 「うふふふふふふ………。これでようやく私が女王として君臨出来る。テルケー公爵から連綿と続く血筋、始祖の建国王の血筋。それは自身に魅了されるという特殊な香りを持つ者の血筋なのよ。当然、私もその中に含まれる」


 「建国王……だって?」


 「あら、知らなかったの? 今の支配体制が揺らいでしまうものね、だからテルケー侯爵家は教えなかったのでしょう。自分に魅了されてしまう香り、それは建国王だけが持っていた特殊な香りなのよ。そして建国王はその名の通り、マンドレイクだったの」


 「そ、そんなバカな!」


 「あら、唯の事実よ。途中で愚王が現れた所為でね、当時の正妃が自身の聡明だった娘に後を継がせたのよ。そしてそのまま一族で国を乗っ取った。いつしかアルラウネの国となり、マンドレイクの国ではなくなったというわけ。ま、乗っ取られた愚王が悪いのよ」


 「何を……それじゃ、正統性が無いじゃないか」


 「あら、国に正統性なんて要らないのよ。誰かが上に立って統治すれば良いだけ、それが国というもの。誰が、なんてどうでもいい事であり、国が強く豊かになるなら誰だって構わない。当たり前の事ね。だからこうするのよ!!」


 「ガッ!?」



 ボクのあ、たま、何か、抜け……。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ファーダ



 おいおい。あのアルラウネ、マハルの頭の花を引っこ抜いたぞ。あれって抜かれたら生きて行けないとか、5人組のマンドレイクが言っていたが……どういう事だ。このままじゃマズいんじゃないのか?。


 流石に相手の狙いが分からなかったから見てたが、これはちょっと失敗した? マハルのヤツ、このまま死ぬんじゃないだろうな?。



 「うふふふふふ………。力を奪われた者はやがて衰弱して枯れていく。でも心配しないでちょうだい? 貴方の力は私が継いであげるわ。これで建国王の力は私のものよ。使うのを禁止させて放逐するなんて、侯爵家もバカな事をしたものねえ」



 そう言いながら女はマハルからむしり取った花の蜜を飲み込んだ。そうする事で香りを奪う事が出来るという事か? 先ほどから言っている事を総合すると、そんな風に聞こえるな。それよりも、そろそろマハルを助けないとマズい。


 俺は人型に変わり一気に接近すると、マハルを床に押し付けていた者どもを体当たりで飛ばし、右腕を肉塊にして一瞬でマハルを取り込む。後は本体が延命処置でも何でもするだろう。



 「何者!?」


 「何者でもよかろう。強いて言えば、お前ら外道を始末する者とでも思えばいい。どうせお前らはここで死ぬのだから、俺の事を覚えておく必要は無い」


 「あらあら。随分と大きな口を叩く小物が現れたものね。さっさと始末なさい」


 「「「「「ハッ!」」」」」



 マハルを連れてきた5人組が襲ってきたが、俺は素早く接近して殴りつける。その一撃でブッ飛び、あっさりと死亡する襲撃者。残りの4人が唖然とするが、そんな奴等を待ってやるほど俺はお人好しではない。


 首を掴んでし折りつつ隣の者に放り投げてぶつけ、まだ動けないヤツは蹴り飛ばして内臓を破裂させる。やっと動き出した阿呆は股間を蹴り飛ばし、呻いたところを掴んで首をし折る。


 最後に仲間を投げられて倒れているヤツの首を踏み抜いて潰したら、アルラウネどもの方を向いて口を開く。



 「高々この程度のザコどもで俺を止められると思っているのが驚きだ。お前達がどれだけ必死に抗おうと、俺に勝つ事は不可能なのだよ。そして次はお前達の番だ」


 「そこの者達を倒した程度で随分と偉そうね。まあ、そういう愚か者を叩き潰すのも、それはそれで一興というもの。ここに居る10人の親衛隊がマンドレイク如きより弱いと思っているのかしら」


 「心配するな。この世の全ての者が俺より弱いのだ。嘆く必要は無いし、悔しく思う必要も無い。それは当たり前の事なのだよ」


 「何を意味の分からない事を……。さっさと処分なさい」


 「「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」



 女どもが襲ってきたが、相変わらず俺達からすれば欠伸が出るほどに遅いな。この程度の速度でどうにかしようなど、100万年以上早い。まったく、調子に乗ったバカほど無様な者は居ないな。


 俺は左から襲ってきた女が隠し持っていた短剣、その突きをかわして腕をとり逆向きにし折る。そしてその女を右の女にぶつけた。その隙に足元の短剣を拾って左手に持つ。


 中央から襲ってきた女の短剣を左手の短剣で弾き、前蹴りで腹を蹴って後退させる。左から新手が襲ってきたが、短剣での斬撃をかわして腹を突き刺してから横に切り裂く。これで1人。


 右から俺の背後を襲ってきたヤツに腸をブチ撒けている女を放り投げ、その隙に短剣を右手で拾う。これでようやく両手に武器が持てた。腸をブチ撒けたのが出た事で、ようやく本気で俺を殺す気になった女ども。随分とこっちを舐めているようだな。



 「貴様っ!! よくも仲間を!!」


 「お前ら如きゴミは、そもそも皆殺しなのだ。それは最初から決まっている。つまり、お前達全員がここで死ぬんだよ」


 「ホザくな!!」



 激昂したのか形振なりふり構わず襲ってきたが、もしかして恋人か何かだったのか? アルラウネの国だし百合ぐらいは咲き誇っていても不思議ではないが……。まあ、その辺りはどうでもいいな。


 俺は襲ってきた女の攻撃を左の短剣で流すと、すぐさま返す刀で首を短剣で撫で斬りにする。あっと言う間に血を噴出した女は倒れたが、俺は次の女に襲いかかっていく。


 ゴミにいちいち時間を取られるなど無駄でしかない。


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