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0707・少年救出




 Side:ロフェル



 「さて、貴様らに再度聞いてやろう。お前達が後ろをつけていた少年はどこだ? 事と次第では更なる呪いを施す。永遠に地獄の痛みを受け続ける呪いをな。そうなる前に喋る事を薦める。が、好きにしろ」


 「く、くそっ……てめぇら、なんぞに……」


 「あらら、その程度のザコの癖にいったい何を偉そうにしてるのかしら。頭の上の花の香りは全く効かなかったのにね? それとも、その花をむしってあげましょうか?」


 「ふ、ふざけんな! そんな事になったら生きていけねえじゃねえか!?」


 「へえ、アルラウネにとっては花をむしられるって相当の事なのねえ。じゃあむしりましょう。ゴミに生きている価値は無いんだし、生きていけないようにしておくべきよね?」


 「くそっ! あっちだ! あっちの方でガキが兎を狩ってたからボコボコにしてやった。あんなボンボンのクソガキをボコって何が悪い! 本当な、ギャァァァァァァ!!!」


 「本当にやりたかった事を想像したんでしょうね。バカバカしい。さっきも聞いたでしょうけど、それは【善なる呪い】。悪い事をしようとしたり考えたら激痛にのた打ち回る事になるわ。これからは真面目に生きる事ね」


 「ち、ちょっと待ってくれ。これは外してくれねえのか!?」


 「何で外さなきゃならないの? お前達が呪われるような事をするのが悪いんだよ。なぁに、悪い事をしたり考えなければ痛みは味合わずに済む。ロフェルも言ったように、これからは真面目に生きるんだね」


 「そうそう。それよりミク、早く行きましょ。もしかしたらモンスターに殺されてるかもしれないわ。あんた達は狩人を襲ってはいけないというルールに違反しているんだから、それに相応しい罰よ。諦めなさい!」



 それだけ言い残し、私達はボコボコにされたという少年の元に行く。ミクが【魂魄感知】や【存在感知】を使って探してくれているみたいだけど、死んでいたら極端に探しにくくなるそうだ。場合によっては見つからないかもしれない。


 たまたま見かけただけだけど、死なれると寝覚めが悪い。更に言えば連中はボンボンと言っていた。ならばお金持ちの家の子だというだけで理不尽な暴力を受けたという事になる。流石にそれは看過できない。


 嫉妬で暴力を振るうなんて、本当のゴミがする事よ。何でそんな事を、って居た! まだ大丈夫、魔力も感じるから死んでは居ない! それにしても酷い怪我ね。……ミクが薬を飲ませてるけど、アレって何かしら?。



 「これ? これは霊水。ガイアでドラゴンをブッ殺した後に入手したんだけど、何でも死亡以外は治る薬らしいよ。放っておいたら湧いてくる薬壜だから、時間が経ったら薬はまた満タンになってるっていう意味の分からない物」


 「死亡以外治るっていう時点で意味が分からないのに、薬を使っても湧いてくるの? そっちも意味が分からないから、訳が分からないっていうか考えない方が良いみたいね」


 「……ゴホッ! ゴホッ!」


 「おっと、目覚めたみたい。少年、ここであった事を覚えてる? 君はゴミどもにボコられて倒れてたんだけど、その事は覚えてる?」



 ミクが問いかけてもボーッとしてるけど、よほど怪我が酷かったのかしら? それとも怪我が治ったものの、何か後遺症とかが残ってる? でもメチャクチャな効果の薬みたいだし、そんな事は無さそうだけど……。



 「あっ、あの……ここはいったい? それに貴女方は?」


 「ここはテフィの町の近くの魔境の森の中。私は狩人のミク、こっちはロフェル。で、少年はゴミどもにボコボコにされて倒れていた。覚えてる?」


 「………あ、あいつらに殴られたり蹴られたりしたのは、覚えてます。でも、それから何があったかは……」


 「それからは知らないね。私達は町を出て行く少年と、それをつけている怪しい5人組が気になったんで来ただけだよ。そしたら襲ったとか聞こえたんでね、その5人組、つまりゴミどもは叩き潰した」


 「えっと……」


 「心配しなくても、そいつらにはミクが【善なる呪い】を掛けたから大丈夫よ。あの呪いを刻まれたが最後、善行しか出来なくなるから。悪意や悪行を為そうとしたら激痛にのた打ち回る事になる、そういう呪い」


 「は、はあ……」


 「ま、とりあえず立てるなら立ちな。ここは魔境の中だし、寝転がっていて良い場所じゃない。私達が来るまでにモンスターに襲われてなかったから良かったものの、場合によれば殺されていた。動けるなら動いた方が良い」


 「あ、はい! すぐに立ちます!」



 そう言って少年は立ったけど、小さいわねえ。元の私よりは大きいとはいえ、今の私よりも小さいじゃない。さっきの奴等はそうでもなかったから、アルラウネって別に小さい種族じゃないわよね?。



 「とりあえず外に出ながら話そうか。さっきも言ったけど私はミク、こっちはロフェル。で、少年の名は?」


 「す、すみません。助けてもらったのに名乗りもせず、ボクはマハルと言います。あいつらがボクを襲ったのは、多分ですけどボクがテルケー侯爵家の者だったからだと思います。ボンボンと言われましたので……」


 「えっ? それだけ!?」


 「え、ええ……多分ですけど」


 「下らない理由だね。まあ、呪いを掛けてやったからどうでもいいし、変な事は言えなくなってるから大丈夫だろうけどさ。もし奴等が嘘を撒き散らそうとしても、それも悪行だから痛みにのた打ち回る事になる」


 「しっかし、侯爵家の者なんでしょ? マハルは。何でそんな相手を襲うわけ? 貴族家の家の者だし、狩人を襲う事自体が罪よ? 二重の意味で襲う理由が無いじゃない」


 「ボクは15歳になったので家を出されましたし、それに庶子なうえにマンドレイクですからね。暴力を振るわれたとしても、家が助けてくれる訳ではありませんし……」


 「マンドレイク?」


 「ガイアでは植物の名前、またはアルラウネの男性形の言葉として使われるね。となると女性がアルラウネで男性はマンドレイクと呼ぶんだろうと思う。それはともかく、マンドレイクだからと言うって事は、アルラウネの名の通り女性が後を継ぐ?」


 「はい。男であるマンドレイクは例外無く全員外に出されます。基本的に女性優位と決められてますし、それは古い時代から変わりません」


 「成る程ねー……さっきの奴等の暴力は侯爵家に生まれたヤツっていう嫉妬が元かしら? 何だかそんな気がしてくるわね」


 「そんな事ですか……。ボクは庶子ですから多少のお金だけで、それ以外には何も無いんですけどね。だから必死にお金を稼ごうとしてたのに……」


 「嫉妬なんて何でも良いんだよ。大体が唯の妄想なんだからさ。あれが羨ましい、これが羨ましい。勝手な妄想で勝手に嫉妬する。それがねたみやそねみというものさ」


 「そんな勝手な……」


 「いや、ミクの言う通り勝手なものよ? そもそも他人を妬まずに自分を良くしていけば良いのに、それをしないから恨むのよ。その恨みこそが嫉妬の根源でしょうね。誰かのものが自分のものより良く見える、そうやって嫉妬するの。だって相手を見ていないから」


 「相手を見ていない?」


 「そう。ロフェルの言う通り、そもそも嫉妬っていうのは自分本位であり身勝手なんだよ。相手の苦労も辛さも何も知らず、ただ侯爵家に生まれたというだけで何の苦労も無いと決め付け妬む。ね、自分勝手でしょ?」


 「………」



 そんな自分勝手でボコボコにされたんだものねえ。そりゃ何かを言う気も失くすでしょうよ。


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