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0706・テフィの町と魔境




 Side:???



 はぁ……今日は何とかお金を稼いでこないと、いつまでも持たされたお金で生活は出来ない。モンスターを仲間に出来れば良いんだけど、そう簡単には行かないって言うしなあ。


 それにモンスターテイマーの人達だって、だいたいは自分で稼げるようになってからモンスターを捕まえたって聞いた。そもそも自分で満足にお金も稼げないボクじゃどう考えても無理だ。


 どうにかしてお金を稼がないと、毎日の宿代と食事代でどんどんお金が減っていく。最後は路上で寝泊りするしかないけど、それをすると危険があるし怖い。って、そろそろボクの番だ。門番に登録証を見せて出よう。


 あれ? あの妙な狩人。鞄の上にモンスターを乗せてる? ……鞄の上に乗ってるのはよく分からない角持ちとスライムかー。あの狩人もモンスターテイマーかな? 自分で稼げるって良いなー、僕も何とかならないだろうか。


 いやいや、他の狩人を羨ましく思っても仕方ない。何とか今日こそ宿代と食事代を稼ぐんだ! そうじゃないと本当に持ってるお金が無くなってしまう。そうなるともう、いつ死ぬか分からない。


 とりあえず魔境の浅い所で魔物を1匹、いや2匹。とにかく一番弱い兎を2匹狩れれば何とか食事代は確保できる。宿代は難しいけど、上手く食事代を稼げるようになれば生きていける筈。



 …

 ……

 ………



 「よぉ、今日も必死に兎狩りか? お前ここ数日まったく狩れてねえもんなぁ、そろそろマズいんじゃねえの。懐具合がさぁ。このまま何も狩れず、金が無くならねえといいな? ギャハハハハハハ!!」


 「「「「ギャハハハハハハハ!!」」」」



 こいつらは毎日ボクに声を掛けてくるけど、碌な者達じゃない。いつも通り無視してさっさと森に行こう。いちいち相手をしていてもボクに何の得も無い。



 「おい、ちょっと待てよ! オレ達を無視するなんていい度胸してやがるじゃねえか!! ……チッ、あのクソガキ!」



 無視されるのは勝手に絡んでくるからであって、ボクの所為じゃないよ。だいたい何でボクがあんなのに絡まれなくちゃならないんだ。腹立たしいけど、怒っても何もならない。とにかく兎を何とか狩らないと。


 家を出る時に香りを使うのを禁止されているし、流石にアレを使うのはマズい。不特定多数に撒き散らしてしまうし、取り返しがつかない事になりかねないんだ。そして、そうなったら間違いなく極刑になってしまう、


 流石にボクも死にたくないから能力は封印するしかない。となると、まともには戦えないんだよね。それでも何とかしなきゃいけないんだけど……。


 兎を見つけた! まだキョロキョロしてるしこっちに気付いてない。今がチャンスだ。そーっと近付いて……「ドガッ!!!」……な、何!? 急に何の音!?。


 いったい何があっ、しまった! 兎が逃げてる!!。



 「おー、悪ぃなぁ。ちょっと足が滑っちまってよぉ。木にぶつかったちまったぜ。悪い悪い」



 くそ、またこいつら……って、もしかして今までもこうやって邪魔してたんじゃ!?。



 「おっと、今ごろ気づいたかボンボン。てめぇみてえなガキが上手く行かずに苦しんでるのを見ると楽しくてしかたねえぜ! なぁ」


 「ギャハハハハハハハ!! てめぇみてえなボンボンは、散々苦しんでから死ねばいいんだよ!」


 「「「ギャハハハハハハハ!!」」」



 くそ、こいつら……よくも!!。



 「ああ? 何かクソガキが調子に乗ってるみてえだなぁ。おい、お前ら。このクソガキに世の中の厳しさっつうもんを教えてやろうじゃねえか」


 「くくくくく……少々痛すぎても文句を言うんじゃねえぞ、クソガキ。恨むなら、てめぇの生まれを恨めや。な?」



 くそ、マズい。逃げない、ガッ!?。



 「おいおい。逃げられると思ってたのか? オレ達が逃がす訳ねえだろうが。ボンボンはこれだから困るぜ。世間の厳しさっつうもんを、しっかり学べや!!!」


 「グハッ! ガッ! ゴハッ! ゲブッ! ゴブェッ!!!」


 「ギャハハハハハハ! クソガキ、どうだ今の気分は? オレ達のようなのと違って甘っちょろい中で生きてきたんだろう? これからはオレ達と同じ平民なんだよ!! 調子に乗んな、クソガキが!!」


 「チッ! おい見ろ、もう気絶してやがるぜ。全く根性のねえクソガキだ。どうするよ?」


 「ハッ! このまま放っとけ。どうせモンスターが喰って終わりだ。オレ達が手を汚してやる必要もねえよ」


 「それにしても下らねえガキだぜ、あっと言う間に気ぃ失いやがってよ。これだからボンボンは根性が足りねえ」


 「全くだ。とはいえ誰かに見られちゃマズい。さっさと離れるぞ」


 「心配すんな、誰も見てねえよ。それに見えてようが聞こえてようが、何も言わねえっての。ボンボンが死んで清々するのは変わんねえだろうが」


 「まあな」


 「それでも早めにズラかるに越した事はねえんだ。さっさと行こうぜ」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ミク



 とりあえず宿は一ヶ月とれたから魔境に行くんだけど、先に狩人ギルドで情報を得てから行くか。ロフェルはちょっと違ってて、気になってたみたいだけど。



 「あの小さな花の少年。5人組に追いかけられてたのよね。何か目つきの悪い奴等だったし、急がない? 何だか嫌な予感がするのよ」



 確かに悪意持ちの5人だったけどね。そこまでロフェルが言うほどかな? とはいえ事前情報が無くても問題はないし、ここへは危険な薬物と売人を潰しに来てる。そんな情報は狩人ギルドには無いだろうから、実地で探すしかないんだけど。


 ロフェルに促されて魔境に行き、さっきの少年と5人組を探すも居ない。宿をとるのもそれなりに時間が掛かったし、その所為かな? ……ん? 5人組が森から出てきた?。



 「あのボンボンも今ごろモンスターに喰われて死んでるだろうがよ。それを見られねえのが残念だぜ」


 「デカい声で言うんじゃねえよ。何処で聞かれるか分からねえだろうが」


 「ハッ! 何をビビってやがる。オレ達に喧嘩を売ってくるような根性のあるヤツは居ねえよ。それにボンボンが死んで喜ぶヤツばっかだっての」


 「ちょっとあんた達、まさか狩人を襲ったんじゃないでしょうね? 今ごろモンスターに喰われてるってどういう事よ?」


 「あん? てめぇには何の関係もねえだろうが。鬱陶しいんだよ、ボケ」


 「は? あんた達を叩きのめして狩人を襲った罪でギルドに叩き出してもいいんだけど? っていうか実力の差も分からないってザコ過ぎでしょうが」


 「んだと、てめぇ!! 舐めた事ぬかしやがって、ブチ殺してやる!!」



 また調子に乗っただけのクソガキどもか。<珍走団>もそうだったけど、こういう奴等ってザコ過ぎるんだよねえ。ま、とりあえず叩きのめすか。……って、あーあー。ロフェルは容赦ないねえ。


 相手のパンチをかわしてのボディブロー。【身体強化】は使ってないけど、それでも小型ドラゴン程度のパワーは出るんだからさー。相手が悶絶してるじゃん。まあ、殺してないからセーフだけど。


 ロフェルの方を見てたら私の方にも来たけど、遅すぎてまともに相手をする気も無くなるね。相手のパンチを手で掴んで、そのまま股間を蹴り上げてやった。こっちの悶絶の方が苦しそうだけど、私の知った事じゃない。


 オークが3体と男アルラウネが2体だったんだけど、最初に男アルラウネをロフェルが沈めているから残りは1体。でも、そいつは後ろへ下がったね? 何か理由があるのかな?。


 次に襲ってきたヤツも、パンチを掴んで股間を蹴り上げやる。あっさり悶絶して沈んだけど、何やら男アルラウネの頭に魔力が集中してるみたいだ。



 「このクソアマどもが、よくもやってくれたな! とはいえ、オレのは麻痺の香りなんだよ! てめぇらはここで終わりだ、ギャハハハハハハハ!!!」



 ふーん。この撒き散らされてる匂いが、どうやら麻痺する香りなんだろうね。私どころかロフェルにすら効いてないっていうのに、何をバカ笑いしてるんだか?。



 「で、何時になったら麻痺の香りとやらは効いてくるのかしら。もしかして、ありもしない物をでっち上げてバカ笑いしてたの?」


 「なっ!? どういう事だ! オレの麻痺の香りは強力な筈! 今までこれに耐えられた者は居ねえんだぞ!?」


 「知らないわよ、そんな事。それより聞かせてもらおうかしら、あんた達が何を「ギャァァァァァァァ!!!」やったか……。ミクったら、もう【善なる呪い】を刻んだの?」


 「こいつら悪人だからね。だったら呪われても文句は言えないでしょ。心配しなくても、お前らゴミどもは等しく呪ってやる。ロフェル、そいつを逃がさないようにね」


 「当然。このゴミどもには、これから先ずっと苦しんで貰わないとね♪」



 すっかりゴミ潰しに躊躇ちゅうちょが無くなったねえ。ま、それでもロフェルの善性は欠片も変わらないんだけど。


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