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0704・元はどこ?




 Side:ミク



 伯爵家を出た私達は、そのまま食堂へ行き小銅貨20枚を払って遅い朝食を食べる。ロフェルはアイテムバッグの中を探っているけど、どうやら貨幣がそれなりに減っているらしい。なのでその分を私の方から補填しておいた。



 「大した額でも無いからね、特に問題無いよ。そもそもどうやって使おうかと頭を捻っているくらいだし、減らしたいくらいなんだから気にしなくてもいい。ここの孤児院にも大分置いてきたんだけど、それでも……ねえ」


 「孤児院に置いてきたんだ。となると善人にした?」


 「したよ。悪人かどうかの判断はつかなかったけど、善人でない奴は全員善人にしておいた。それは子供も同じ。薬で狂ってた子供も中には居たからさ。そういうのは強制的に善人にせざるを得なかった。でないとまた薬物に手を出す」


 「子供にまで……? 何処まで蔓延してるのかと言いたくなるわね。伯爵家がああなったから、これからは減るでしょうけど、でも売人がまたここに来る可能性は高いわ。だって薬がたくさん売れる場所だったんだし」


 「そう。だから少しの間この町に居て、薬の売人を探そうと思う。特に伯爵家に最初に売りつけたヤツ。そいつを炙り出せれば良いんだけど、最悪はルートさえ分かればいい。そこを潰しに行くから」


 「流石に危険な薬物というか、その元を売り捌いてる奴等は許せないわよねえ。それにしても何処で作っているのかしら? その場所さえ判明したら一気に潰せると思うんだけど……って、その為に売人を確保するのね」


 「そう。そいつだけは確実に脳をレティーに食わせて知識と記憶を引きずり出す。この町に薬を供給しに来るのが何時か分からないけど、そこまで待つ事になる。ごめんとしか言えないけど、それまでは本気でこの町に留まるから」


 「それは仕方ないし納得出来るから良いわよ。私だって1つの町をこんな状態にしたヤツを許す訳にはいかないもの。売り捌いたのは伯爵家だけど、最初に持って来たヤツがこの問題の元凶よ」



 そいつをどうにか捕まえたいというか、記憶を奪わなきゃいけない。流石に唯の悪人なら良いんだけど、薬で狂った悪人っていうのは納得がいかないしね。それって薬の所為である可能性もある訳だし。


 まあ、一番の理由は薬を使っているヤツは全員不味いという事なんだよね。肉を不味くする薬を蔓延させるなんて私が許す筈は無いんだし、叩き潰すのは当たり前の事でもある。ゴミを創り出す奴等にも鉄槌を下さないと気が済まない。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ファーダ



 薬の売人を探して一ヶ月と半分ほど。ようやく薬の売人が姿を現した。それまでにこの町を綺麗にし続け、薬を使っていたヤツは全員善人に書き換えた。老人から子供まで、今やこの町には普通のヤツか善人しか住んでいない。


 そんな状況になっていくのに困惑していたのが伯爵家の次女と三男だ。サブマスターである次女は混乱と今までの狂っていた伯爵家を思い出して絶望し、三男は悪さが一切出来ない状況に耐えられなくなり、結局はミクが善人に書き換えた。


 それ以外にも伯爵家の次男と<珍走団>の面々も全員善人に書き換えている。【善なる呪い】に耐えられなかったというべきか、悪事が身に着き過ぎていて激痛にのた打ち回る事が多すぎたんだ。その結果、善人に書き換えないと表に出られない程になっていた。


 悪事のやり過ぎというのもどうなのかと思うが、日常生活が悪事に染まっていたのだろう。連中がまともになれるという事自体が幻想だったらしい。まあ、今は元気に善人をやっているから良いと思う。


 ただし、あの悟りを開いたような穏やかな顔は別の意味で恐れられているがね。俺も見た事があるが、アレは酷いと言わざるを得なかった。なんと言うか、欲を感じ無さすぎて別の生物に見えてくるんだよ。


 善人に書き換えた奴等からは呪いを解除しておいたけど、流石は神の権能としか言えない変わり方だった。今や伯爵家の一族は全員アレだが、怖い一族になったなーとは思う。


 っと、下らない事をつらつらと考えていても仕方ない。そろそろ動き出すとするか。


 俺は日中でもこの町をウロウロしているんだが、今日ようやく売人らしきヤツが姿を現したんで尾行して見張っていた。その甲斐もあって薬の売人である事自体は確定したんだが、厄介な事にモンスターテイマーを連れてやがったんだよな。


 御蔭で微妙に距離を置いて監視するにとどめるしかなかったんだ。ま、その後はゆっくりと近付いたりしつつ調べた結果、ここのモンスターテイマーが連れているモンスターは俺の事が分かってないと判明。つまり俺の居場所は把握されていないって事だ。


 それさえ分かれば手を出すのは容易いんで、夜になって寝るまでジッと待ってたんだよ。これでようやく動き出せる。


 売人は薬をアイテムバッグで運んでる。なので小さな馬車で来ていた。むしろそれが怪しかったんで売人だと判明したんだがね。


 俺は宿の部屋の扉、その下にある隙間から部屋の中へと侵入。中に入って売人を確認し、寝る時までアイテムバッグを抱えているのを発見した。ここまでだと怪しすぎるだろうと思うが、見られるのは俺ぐらいだろうし微妙な話かね。


 俺は麻痺毒を打ち込み麻痺させると、まずはアイテムバッグの中身を漁る。その結果、薬物が出てきたので完全に黒と判明。言葉としては聞いていたが、こうして証拠が出てきた以上は売人である事に間違いはない。


 早速喰らって本体空間に居るレティーに脳から情報を引きずり出させる。その結果、テルケー領から来ている事が判明。それも危険な薬の元である葉は魔境で採れる物らしい。ただし向こうでは採取そのものが禁止されているようだ。


 とはいえアンダーグラウンドな連中がそれを諦める筈も無く、どこかで禁止薬物を採取しているのだろう。ついでに売人の仲間であるモンスターテイマーと鳥のモンスター、それに護衛の2人も喰らって転送。しかし大した情報は持っていなかった。


 どうやら残りの奴等は雇われただけらしい。とはいえ悪事を働く連中に雇われているのだから、当然真っ当な連中ではない。それはともかくテルケー領に行って現地で判断するしか方法は無いだろう。


 ミクもそれは分かっているだろうし、明日からは移動だな。ま、俺は本体空間に戻ってゆっくりとさせてもらうがね。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ロフェル



 昨日ミクから売人らしきヤツを見つけたと聞き、ファーダが見張っていたというのは聞いていたけど、まさかテルケー領というアルラウネの領地からの物だったなんてね。しかも向こうでは禁止薬物扱いをされているって事は犯罪って事でしょ。


 そんな犯罪を行って手に入れた物を、遠く離れたセプテンガル伯爵領で売るなんて……。犯罪組織がやっているとしても、これって明確な攻撃じゃない? 場合によったら2つの貴族間で戦争になっても不思議じゃない程の事でしょ、これは。


 セプテンガル伯爵家は薬でボロボロになってたから仕方ないとしても、果たして本当にテルケー侯爵とやらは知らないのかしら? 知ってて泳がしてるんじゃないの? そんな疑惑が無くならないのよねえ。


 貴族の間の駆け引きも戦いも熾烈しれつなものだって聞くし、分かっていて知らないフリぐらいはすると思うのよ。敵の不幸は蜜の味って言うらしいし。


 とはいえ、一家一族が薬でメチャクチャになってるのよ。それを蜜の味って………貴族なら言いそうね。ワルドー伯爵なんかはまさにそんな感じだし。


 私の勝手な想像だけど、本当なら貴族って救い様が無いわね。


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