0702・ゴミ処理中
Side:ミク
私は痴態を繰り広げている阿呆を捨て置き、まずは下の階、つまり受け付けなどがある場所で見張りをしている奴等を麻痺させる。続いて全員に【善なる呪い】を刻んだら、その後は上の階に戻ってバカ2人も麻痺させてから呪いを刻んだ。
面倒なので呪文も唱えていないし、やったのは透明ムカデの姿だが、逆に私がやった訳ではないと言えるだろう。それよりも阿呆どもへの呪いは終わったので、次は伯爵家だ。本命はこちらなので鳥になってさっさと向かう。
伯爵家の屋敷に着いた私は、すぐに窓から侵入して中へと入る。そしてその部屋に居たメイドの1人を早速喰らった。どうやら3人部屋らしいが、悪人は1人だけだったので残りの2人はスルーして次へ。
隣の部屋にも侵入して悪人を喰らい、脳に関しては本体空間に居るレティーに任せている。情報は入ってくるが、今のところは大したものが無い。メイドを含めて下っ端の情報だからだろう。
私は気にせず次々と喰らっていき、普通や善人だけを残していく。それにしても従僕や執事は軒並みアウトなのに、メイドの中に多少まともなのが居るのはどういう事だろう? 不思議な事もあるものだ。
上が腐れば下も腐るというが、男の方は軒並みアウトなのに、女の方にマシなのが居るという不思議。腐る場合は男も女も関係なく腐るし、まともな男も残る筈なのだが……。ああ、男の方は薬をやっているのか。
そしてまともなメイドは新人な訳ね。つまり薬に依存して駄目になったヤツは、人身売買の如く売っている訳か。本当にここの伯爵はゴミだな。碌なヤツじゃない。……おっと次男を見つけた。さっさと処理しておこう。
薬をやっている連中を根こそぎ喰いながら進み、やっと長男夫婦の部屋を発見した。しかし、こいつらも薬をやっているらしく相当に体が汚染されている。どうしようか困ったものの、善人に書き換えれば何とかなるだろうと思い、とりあえず書き換える。
それが終わったら部屋を出て、次の部屋へと向かう。また薬の中毒者だったので喰らい、脳はレティーに任せる。そうやって繰り返して行き、屋敷の2階右側の奥で当主夫妻とアイテムバッグを発見した。薬で汚染されているが、こいつらには遠慮をする必要が無い。
まずは麻痺毒を注入して麻痺させ、本体空間に移動させる。向こうに移動させたら目、鼻、耳、腕、足を落とし、傷口を焼いて止血。その後は【瘴気の苗床】を刻んで当主夫妻の部屋に戻す。
本体空間には瘴気は無いが、こちらには在るので吸い込み始める。それを確認したら、当主夫妻の体に薬物を流し込む。どうせ瘴気が死なせはしないのだから、薬が体中に大量に流れていても問題ない。
体がビクビクと痙攣し出したが、どんな効果でそうなっているのかは不明だ。特に調べる気も無いし、後は長男夫婦の部屋に戻るだけ。と、その前に霊水の壜を持っていかないとね。
私は苗床になった2人を無視して素早く移動し、長男夫婦の部屋に侵入すると、口元に霊水を少しずつ垂らしていく。飲み込んでくれると助かるのだが……。そう思っていると、少しずつ飲み込んでいくので胸を撫で下ろす。
この2人が正気でないと、私達が牢から出られないからね。幾ら善人でも薬で壊れていたら話にならない。なので薬の影響を無くしておきたいんだよ。
数滴飲ませるだけで薬の悪影響が無くなったので驚くも、都合が良いので流石は霊水としてスルーした。少々効能がおかしい気がするが、特に気にしなくても良いだろう。
長男夫婦を治した私は当主夫妻の部屋に戻り、霊水の壜を戻したらパンと干し肉と水樽と酒を本体空間に転送して出ていく。ロフェルのアイテムバッグを確認したけど、どうやら装備品は奪われていないようだった。後は知らない。
牢屋に戻った私は、セリオを起こしてパンと干し肉を食べさせる。ついでに水樽から水を深皿に注いで、ロフェルの方へと透明の触手を伸ばす。
触手でロフェルを起こしたらパンと干し肉を渡し、ついでに酒も渡すと喜んだ。木の皿やコップなどは本体空間に置いてある木を使えばすぐに作れるので問題無い。セリオとロフェルは十分に食べて飲むと、また眠り始めたので寝かせる。
ロフェルはお酒を飲んでいるのでいいが、セリオは眠れるかと思ったのだが、思っていた以上にあっさりと寝た。まあ、眠れなくて困るよりはいいか。そろそろファーダの方も終わりそうだし、後は明日だね。
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Side:ファーダ
さて、今日も1人でスラムの掃除なんだが……それにしても腐った貴族そのものだな、ここの伯爵は。典型的と言えばいいのか分からんが、ここまでテンプレな悪徳貴族も珍しいんじゃないか? もうちょっと隠せと思うしな。
むしろここまでやっておいて、何故監査が入ったり足を引っ張られないのか不思議でしょうがない。仮に賄賂でどうにかしていても限度があるだろうし、他の貴族に足を引っ張られたら転落するだろう。
それとも監査に来た奴等を全員薬漬けにでもしてるのか? 何度考えても、こんな腐った奴等が生き永らえている理由が分からない。他の貴族に潰されない理由もだ。
おっと、スラムの外に出ている奴がまた居るな。新しくスラムに流れてきた奴か? ……いや、新しい薬の犠牲者か。男オークみたいだったが、薬を根絶しないとまともな町には戻らないだろう。
俺はスラムの外に居る連中を喰らい、その後は建物の中の連中を喰っていく。スラムなので悪人が大半だが、ここのスラムの場合は薬が蔓延しているので善人になれる可能性がほぼ無い。
どこかで薬に手を出してしまい、そして薬で狂ってしまう。そんな奴等があちこちに居てどうにもならない。薬で腐っている町、危険な薬物をやっているゾンビの町とでも言えば分かるだろうか? 正にそう形容するしか無いスラムだ。
幸運なのは、表にまでは出回っていない事だろうか? どうも裏側とか一部の商人ぐらいにしか出回っていないらしい。ただしバラ撒いている大元が伯爵家なので、根本を断つには伯爵家をどうにかするしかない。
しかし……そもそも伯爵家に薬を渡したのは誰だ? 最初から伯爵家が薬を売買していたなんて事はあり得ない。だったら何処かで伯爵家に薬を紹介した奴等が居る筈だ。伯爵になるくらいの家なんだ、最初から薬で大きくなった訳じゃあるまい。
となると誰かが伯爵家に持ち込んでいる筈。本当の根本はそっちだろうが、流石にそこまでは多分どうにも出来ないだろう。それに、どうにかするのは俺達じゃない。ここの長男夫婦だ。
俺達はその手伝いみたいなものだからな。……うん? 成る程。ミクが<珍走団>とか呼んでる奴等のトップ。つまり伯爵家の三男はスラムの娼館に居るらしい。それにしても薬で狂ってるのが多いな。
どこの建物に入ってゴミを処理しても薬をやってやがる。いい加減にしてほしいところだが、薬がそれだけ蔓延している証か。これが魔境に近い領都だっていうんだから、鼻で笑いそうになるな。
薬も何処かで焼いた方が良いかもしれん。仕返しとして注入しても限度がある。そう言えるほど本体空間に溜まってる以上は、どこかで燃やし尽くしてしまう方が良い。土地を汚染しても困るし、水の流れに乗ったら最悪だ。
そうならないように燃やし尽くすのが一番いい。まあ、それは最後にするとして、今はスラムの掃除を続けないといけない。それにしても広いし数が多いので、なかなか終わらないぞ。
ミクは表をやっているから協力は無理だし、気合い入れて頑張るしかないな、こりゃ。
エピソード3の人物紹介を更新しました




