0701・捕まった2人
Side:ミク
さてさて、どうなるのか楽しみだねえ。どのみち何をしてきたところで、どうとでも出来るんだよ。そもそも私を敵に回し、私に喧嘩を売った以上は破滅するしかないんだからさ。とりあえず門番に登録証を見せてっと……。
ここはすんなり通れたか。となると、まだ私達の名前は出回っていない? それとも夜中に暗殺でもするのかな? 既に<珍走団>がある程度やられている以上、舐められたら負けだとして色々とやってくると思ってたんだけど。
まずは狩人ギルドに行って獲物を売り、様子を見てみるかな。
……解体所に行って獲物を出しても普通の反応だね? 木札も普通に貰えたし、いったいどういう事なんだろうか?。
受付に木札と登録証を見せると、ここで止まった。成る程、解体所の者達は仕事をしていただけで、別に伯爵家とは関係ないのか。で、狩人ギルドが私達の敵になると。まあ、サブマスターが伯爵家の次女である以上、ほぼ乗っ取られてるんだろうね。
「貴女達には他の狩人を襲った嫌疑が掛けられているわ、悪いけど兵士が来るまでここに居てもらうわよ」
「ふーん……まあ、いいけど。結果として最悪を選んだのだから、その通りになっても文句は言わないようにね?」
「??? ……何を訳の分からない事を。それより貴女達を連れて行ってくれる者達が来たわよ。兵士達、狩人を襲った嫌疑があるのはこいつらだから、さっさと連れて行って頂戴」
「「「「「ハッ!」」」」」
私達が狩人ギルドの受付に来て、すぐにサブマスターが出てきて私達を拘束すると言い、そしてすぐ兵士達が来た。最初からグルじゃないと、こんなに早いなんてあり得ないんだけどねえ。随分と杜撰なやり口だし、もう少し隠せと思うよ。
私達は兵士達の詰め所へと連れて行かれ、そこにある牢に入れられた。アイテムバッグとアイテムポーチを奪われたし、ロフェルのアイテムバッグも奪われたようだ。私の方が先に牢に入れられたから多分だけど。
「あいつら私達のアイテムバッグを何処かに売り渡したりするんじゃないでしょうね。もしくは中身を盗んだりとか!」
「おそらくそれはしないんじゃないかな? お金を盗むっていう「ギャァァァァ!!!」可能性はあるけど……」
「………なに、今の?」
「多分だけど、私のアイテムバッグに手を突っ込んだんじゃないかな? あれは私以外が手を突っ込むと、突っ込んだ手が無くなるから」
「………何かそんな事を聞いたような気もするけど、本当の事だったんだ。確か手を突っ込むと、手が何処かの空間か次元に飛んで行くんだっけ?」
「そう。私じゃないと正常な空間へアクセス出来なくなってるから。後、あのアイテムバッグを破壊する事は、この星の文明だと不可能なんだよ。何でもαドラゴンの皮で出来てるらしいから」
「アルファドラゴン? ……って、どんなドラゴンなの?」
「知らない。私だって見た事が無いし、鑑定で初めて知ったドラゴンの名前だよ。αっていうくらいだから、おそらく<原初>か<始まりの>って意味だと思う。つまり最初のドラゴン?」
「………まあ、ドラゴンも生き物である以上は最初の1体が居る筈よね。それなら分からなくもないんだけど、それがどんなドラゴンかは想像がつかないわ」
「ガイアの神話じゃ、最初のドラゴンは神が生み出したと言われてるね。だから、もしかしたらαドラゴンは神どもが生み出したのかも。ドラゴンって脱皮するから、皮とか鱗とかは剥がれる筈だし」
「ああ。殺されたドラゴンの皮じゃないって訳ね。それなら納得……出来る訳ないけど、これは深堀しない方がいいタイプの話だから止める」
そんな事を隣同士の牢で話しながら、私は【念送】を使ってこれからの事を話す。食事をとっていない為ロフェルにとっては厳しいだろうが、夜中に起こして食事をさせれば済む。
どうせ私のアイテムバッグは中を調べられないし、何処にあっても場所が分かる。ロフェルのアイテムバッグには私の血を付着させてあるので、やはり何処に行ったかはすぐに分かる。ただし中身を取り出せるので、少々集めるのは面倒かもしれない。
もしお金が減っていたら、後で私が補填しておこう。どうせ腐る程に余っているので、多少減ったところで気にもならない。そして盗んだ奴は悪人なので、喰ってレティーに脳を調べさせれば判明する。
然して難しくもない話だし、既にここの伯爵家がどうなるかは決まっている。これからその決まった結末へと進んで行くだけだ。まだ時間的には早いから少しゆっくりしておくかな。
ロフェルと【念送】で話しつつ、セリオとレティーが床に寝転がる。そういえばだけど、ここの兵士どもは纏めて私達を牢に入れたね? まあ、スライムをどうやって閉じ込めるんだと考えると、閉じ込めようが無いんだけどさ。
スライムが居る所為で脱獄したとか言ってくる可能性は……無きにしも有らずというところか。ま、そうなったらそうなった時で、結局は言い負かしてやれば済む。
…
……
………
どうやら夜になったら兵士達は見張りを残して居なくなるらしい。アイテムバッグの場所は分かるけど、多分あれは伯爵家だろう。奴等が奪っていったとはいえ、私のアイテムバッグに手を突っ込むかな?。
既に犠牲者は出てるっぽいし、そうである以上は一応報告してる筈。それでも家人に試させてたら、それはそれで面白いんだけどね。ま、気にしなくてもいいか。
ロフェルは牢屋の中で寝たらしく静かだ。兵士は見張りだろうに巡回にも来ない。捕まっているのは私達だけだからか、それとも元々やる気が無いのか。こっちにとって都合が良い事だらけだねえ、本当に。
私はファーダを出した後、すぐにムカデの姿になって牢を出る。そして詰め所内の兵士2人を調べるも、両方とも悪人だったので喰らって処分した。ファーダはさっさとスラムに行ったらしい。
私も外へと出ると、すぐに<珍走団>のアジトへと行く。既にアジトの場所は聞いているので、そこに居る奴等は全員呪いに掛ける事は決めているのだ。だからさっさと進んで行くのだが、聞いていた場所に居る人数が少ないな。
まずは中に入って、と。そして寝ている連中の部屋へと侵入するのだが、先に悪の神の権能を使って情報を引きずり出そう。呪いを掛ける場合、脳から情報を引きずり出せない。なので少しでも情報を得ておかないとね。
………微妙。とはいえ、何となく幹部連中の行き先は分かった。そっちはファーダに任せて、私はギルドの方へと移動する。既に数は少ないが、それでも狩人ギルドの中に残っている奴が居る。
伯爵家の次女が何処に居るか分からない以上は、調べてみない事には何とも……。場合によっては喰って脳を調べられる程度の奴かもしれないし。
「ほら! さっさと鳴け、ブタ!! お前は私のブタだろうが!! もっとイイ声で鳴け!!」
「ブヒィ! ブヒッ!! ブヒィィィ!!!」
バシッ! バシッ! と尻を叩く音がする。目の前で繰り広げられている事を見ていると、バカのバカによるバカの宴と言いたくなってきた。
伯爵家の次女と誰か知らない男オークが痴態を繰り広げているが、男オークはケツを叩かれて悦んでいるみたいで、顔は喜色満面といった様子だ。あまりにもバカバカしい絵面に呆れてくるしかない。
こいつらはギルドに残ってまで、いったい何をやっているのか? 仕事ではなく、こんな阿呆な事をする為に残っているとは……。
見られないように監視している奴等も下に居たが、ご苦労さんな事だ。




