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0685・作戦会議




 Side:ロフェル



 「そもそも練習も無く、実戦でいきなり使って成果を出すという事の方がおかしい。何でもそうだが、いきなりで上手くいく事などある筈が無い。特に多くの者で成す事など練習が必須に決まっている」


 「言いたい事は分からぬではないが、今は言ったところで仕方がなかろう。今あるもので何とかせねばならんのだ」


 「だったら私を呼ばず、己らだけで何とかしろ。依頼を変更してまで呼んでおいて何をホザく」


 「「「「「………」」」」」



 まあ、ミクの言っている事は正論よねえ。今あるもので何とかするなら、私達への依頼を変更する必要もなかった筈。わざわざ途中で依頼を変更してまで呼んでおいて、いったい何を言っているのやら。自分達はいつでも正しいとでも言いたいのかしらね?。



 「他にはどんな策があるのだ?」


 「通常通りに砦攻めをする。魔法使いで入り口のみ燃やして炙り出す。夜中に奇襲する。不死玉を粉にして詰めて投げ入れる、等があるね。投げ入れるのは導火線を着けて爆弾のようにし、投石器を作って放り込む形になるかな」


 「導火線?」


 「縄でも紙でも良いけど、不死玉の粉を薄く中に入れた物だよ。それによって火を付ければずっと燃えていくわけ。で、その反対側は不死玉の粉に繋がってるんだよ。つまり最後には不死玉の粉に火が着いて爆発する。その為に必要な火を伝える物を導火線という」


 「つまりは爆発する物を砦に投げ入れるという訳か……。それも1つの手よな」


 「普通の砦攻めをするというのはありませんな。相手はこちらより兵数が多いのですから、こちらから攻めても被害ばかりが多く勝てませぬ」


 「魔法使いで入り口を燃やすのは、おそらく大盾隊を使って魔法が届くまで近付くのだろうが……上手く行くのか? 確かに一角でも燃やして潰してしまえば、砦など意味を為さなくなるが」


 「確かにな。そこの防御など既にあって無いようなものだ。そうなればこちらのもの……とは言い難いぞ。壊せば必ずや連中は打って出てくる。そうなればいつも通りに矢を撃ってくるし、いつもの戦いにしかならん」


 「だからこそ、そこを鳴り筒で叩くのだろうが。そうすれば奴等など恐るるに足らずよ、こちらの鳴り筒に連中は地に伏す事になる」


 「夜の奇襲は我等ゴブリン族ならお手の物だ。奴等コボルト族は嗅覚が鋭いが、夜目が利く訳ではない。我らの方が夜の奇襲は得意だ。しかし奇襲と言っても何をすれば良いのやら」


 「それこそ不死玉を詰めた物を投げ入れれば済む。これはむしろ嫌がらせの戦い方だな。相手の陣に爆発物を投げ入れる。もちろん出来れば見張りのいる所か固まって寝ている所にな。それを毎日毎日繰り返す」


 「そんな事をしていったい何の意味がある?」


 「相手は夜に眠れず、昼間は散発的に攻められる。すると眠る事が出来なくなっていく。どれだけ屈強な連中でも、3日まともに眠れていないならば戦闘能力は極めて落ちる。あとは攻め落とせばいいだけだ」


 「「「「「………」」」」」


 「成る程。相手の軍を眠らせない為に、大きな爆発を起こしたりするのね。それほどの音なら眼が覚めるでしょうし、自分の命が危険だとなれば誰だって起きるわ」


 「そう。唯でさえ戦場で熟睡するのは難しい。当たり前だけど、そんな優しい場所じゃない。だからこそ眠れなくしてやる事は難しくないわけ。3日や4日寝ていないとなれば、どんな生き物もまともに戦えない」


 「ただしそれは時間の掛かる策では?」


 「それはそうだ。相手の戦闘能力が低下するまでやらなければいけないからさ。ただし効果は高い。こちらは攻める側だから休みはとれるし、この戦法をされると守る側は不利になる。ただし拠点攻撃でしか使えないけどね」


 「それはどうして?」


 「町などだと、広い為に休息をとらせない程の大規模な攻撃は出来ない。だからこそ広い場所というか、大きな拠点相手では使えないんだよ。使うなら門などを突破する時ぐらいかな?」


 「まあ、拠点が広いなら確かに安全な場所で眠れば済むもんね。確かに狭い砦とかでしか全体には効かないか……」


 「そういえば私だけに聞いているが、お前達には何か無いのか? それとも最初から私に聞く事しかする気が無かったのか? 随分と偉そうに好き勝手言ってくれたが……」


 「なに!?」


 「止めぬか。それぞれに色々とあるようなので考えさせてもらう。どの策で戦うかはじっくりと話し合って決める」


 「それは好きにすればいい。私達は後方でゆっくりと見ている」



 そう言ってミクはテントを出たので、私もテントを出る。それにしても依頼を無理矢理に変更したにも関わらず、やらせる事がコレだとか……。ミクじゃないけど、何の為に依頼を変更したのか分からないわね。



 「仮に今回の事を自分達の手柄だと報告したところで、初めての武器の運用方法が何故分かるのかという疑問が生まれるのにね? それとも天才でも居た事にする気かしら」


 「普通は何度も実戦に投入して、ようやく様々な使い方が編み出されるものだからねえ。それがいきなり洗練された使い方で勝利。となったら明らかに不自然なんだけど、連中は分かってなさそうだった」


 「勝つ方法を受け入れられるなら良いんだけど、あれは受け入れないっぽいけど? もし矢が飛んで来なかったらどうするの?」


 「矢が飛んで来なかったら? そしたらファーダに盗んできてもらえば良いだけだよ。向こうに潜入したままだし」


 「………砦の中にファーダは居るの?」


 「そうだよ。向こうに潜入したまま情報を探ってる。当たり前だけど、そんな事を教えてやる義理は無いしね。だからこそ決定も何もかもを辺境伯側に任せたんだしさ」


 「もし、ミクだったらどうする?」


 「私? 私ならファーダを使って夜の間に敵の物資を全て奪うよ。次の日の朝、輜重の何もかもが無くなってる。そうなったら軍なんて崩壊するよ。食べる物が何も無いんだしねえ」


 「………それはもう敗北しかないわね。武器も碌に無いんじゃ、戦う事も出来ないわ。それに食料が無いなんて飢えるしかないし、砦に篭もってたって何の意味も無いじゃない。それこそ目の前の敵軍を倒して食料を得るか、すぐに逃げるしかないわよ」


 「問題は逃げたとて、飢えるまでに食料のある所へ戻れるかどうか分からない。連中はそもそも遊牧民族なうえ、ゴブルン王国近くまで入り込んでいる。ここから食料のある場所までの撤退となると、コボルト族でも大変な筈」


 「破れかぶれで前に出ても大半が死んでしまうし……。むしろ食料が無くなった軍って脆いんじゃない?」


 「脆いよ。内部分裂すら簡単に起こす程にね。誰もがそうだけど、食えないという状況には耐えられない。私は何の問題もないけど、ロフェルでも苦しいからねえ」


 「それはそうよ。飢えるなんて御免被るわ。そんな事になるくらいなら脱兎の如く逃げ出すわよ」


 「まあ、実際にそれで良いと思う。それより、あの連中がどの策を行うのか高みの見物だね。私としてはどれでも良いと思うし、どれであっても楽しい事になると思うよ」


 「何で?」


 「どうもゴブルン王国って、ただ軍同士をぶつけて戦わせる事しかしていないみたいなんだよ。それが作戦に基づいて兵を動かさなきゃいけない方法を提示したからね。果たして上手くいくのやら」



 今までより難しいって訳か。確かに難しい事を命令して、果たして上手くいくのかしら?。


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